ストーリー•序章
冷たく澄んだ空気が城を包みこむ朝、俺は剣術の稽古のため練習場へ向かっていた。
朝日が差し込む廊下を足早に歩く。
「ノルン、今日は早いな」
アゼル隊所属のラトが声をかけてきた。
剣術の稽古は、アゼル隊と一緒にやるためラトと話すことも多くそれなりに話せる人の一人だった。
「たまたま、目が覚めてな」
俺は、ラトに歩くスピードを合わせ練習場へ向かう。
ぶつかり合う金属音が近づいたころ、見慣れた金髪が近づいてくる。
「今日は遅刻しなかったんだね。迎えに行こうかと思ったよ」
冗談交じりに言う親友に向かって、
「王子がみずから迎えに行くっておかしいだろ」
と返し、ため息をつく。
親友カミューは、隣にいるラトを見て、いつもありがとう。と一言言って自分の稽古へと向かっていった。
ラトは、緊張していたのか片言で返答していた。
カミューを見送って、アゼル隊の集合場所へ足を進めた。
隊は全部で3つあり、
アゼル隊は、街の警備や周りの魔物討伐が主な活動。
ジラーヴ隊は、近隣に出た強個体の魔物の討伐や遠方の魔物の多い地域への定期的な遠征を行うことが多く、王国一の剣豪ジラーヴが隊長としているという事で憧れて入ってくる人が多い隊になる。
ロア隊は、必要な時王族の身辺警護や重鎮の警護などをしている。
人数は少ないが、その分全体の質は高くとても優秀だと隣国からも一目置かれている。
アゼル隊の訓練は日が昇ってからと遅めで、いくつかのグループに分かれて順番に訓練をすることになっている。
体力作りのランニングから始まり、剣の素振り模擬戦などそれらが終わるころにはだいぶ日が昇っていることが多い。
号令の後、解散するのだが俺はラトを探した。
昨日の噂話がどこまで広がっているか気になったからだ。
「ラト!少し時間いいか?」
「良いけどどうしたんだ?いつもなら姫様の様子を見に、王子と二人でいなくなるのに」
不思議そうにこちらを見る。いつもそうしている訳ではないはずだが、そうみられていることに少し驚く。
「いや少し気になっていることがあって、枯れない花の噂ってしってるか?」
キョトンとしたラトは、
「伝承の中の話だろ?噂っていうかみんな知ってる昔ばなしみたいなものじゃないのか?」
「それが今、実在するって噂が流れててな」
「は?おとぎ話だろう。誰が信じるんだよ」
笑いながら言うラトは全く信じていないようだ。
「そうだよな」
そう言って挨拶もそこそこに、ラトと別れ廊下を行く当てもなく歩く。
あの反応だと、噂についてはほとんど知らないだろう。
昨日ラトは午後から外回りだったはずなので、外で噂が流れていない可能性が高い。
しかし、城の中の噂の流れは速かった。意図的に流されたものなのだろうか。
いつもの中庭について、腰を下ろす。
風が、髪を揺らす。
この風が、不安もすべて吹き飛ばしてくれればいいのにと空を見上げていると声を掛けられる。
「またここにいたのか」
カミューが、ふわりと笑いながら隣に座る。
「ちょっと考え事をな」
「…まさか昨日の噂話じゃないだろうね?」
あきれたように言うカミューに、
「王宮の魔術師が関わっている。と言ったら?」
一瞬固まり、カミューの顔がゆがむ。
「まさか、あいつらが?昨日クラウディアから聞いた話だと、廊下の使用人の話を聞いたと言っていたが魔術師については聞いていない」
「お前が嫌ってるのがわかってるからだろう」
「当たり前だろう!大型結界術式に大きな貢献さえしてなければあいつらを追い出「それ以上は・・・」
俺はカミューの声を遮り、首を振る。
苦虫をつぶしたような顔のカミューを置いて、城に戻るため歩き始める。
「まさか魔術師のところへ行くんじゃないだろうね?」
すぐに追いかけてくるカミューに、
「行かないよ、昼飯食べに行く。お前は公務があるだろう?またな」
「絶対に君だけは、あそこに行ってはだめだと分かっているよね?」
食い下がる心配性の親友に、適当に手を振り廊下を歩く。
朝日が差し込む廊下を足早に歩く。
「ノルン、今日は早いな」
アゼル隊所属のラトが声をかけてきた。
剣術の稽古は、アゼル隊と一緒にやるためラトと話すことも多くそれなりに話せる人の一人だった。
「たまたま、目が覚めてな」
俺は、ラトに歩くスピードを合わせ練習場へ向かう。
ぶつかり合う金属音が近づいたころ、見慣れた金髪が近づいてくる。
「今日は遅刻しなかったんだね。迎えに行こうかと思ったよ」
冗談交じりに言う親友に向かって、
「王子がみずから迎えに行くっておかしいだろ」
と返し、ため息をつく。
親友カミューは、隣にいるラトを見て、いつもありがとう。と一言言って自分の稽古へと向かっていった。
ラトは、緊張していたのか片言で返答していた。
カミューを見送って、アゼル隊の集合場所へ足を進めた。
隊は全部で3つあり、
アゼル隊は、街の警備や周りの魔物討伐が主な活動。
ジラーヴ隊は、近隣に出た強個体の魔物の討伐や遠方の魔物の多い地域への定期的な遠征を行うことが多く、王国一の剣豪ジラーヴが隊長としているという事で憧れて入ってくる人が多い隊になる。
ロア隊は、必要な時王族の身辺警護や重鎮の警護などをしている。
人数は少ないが、その分全体の質は高くとても優秀だと隣国からも一目置かれている。
アゼル隊の訓練は日が昇ってからと遅めで、いくつかのグループに分かれて順番に訓練をすることになっている。
体力作りのランニングから始まり、剣の素振り模擬戦などそれらが終わるころにはだいぶ日が昇っていることが多い。
号令の後、解散するのだが俺はラトを探した。
昨日の噂話がどこまで広がっているか気になったからだ。
「ラト!少し時間いいか?」
「良いけどどうしたんだ?いつもなら姫様の様子を見に、王子と二人でいなくなるのに」
不思議そうにこちらを見る。いつもそうしている訳ではないはずだが、そうみられていることに少し驚く。
「いや少し気になっていることがあって、枯れない花の噂ってしってるか?」
キョトンとしたラトは、
「伝承の中の話だろ?噂っていうかみんな知ってる昔ばなしみたいなものじゃないのか?」
「それが今、実在するって噂が流れててな」
「は?おとぎ話だろう。誰が信じるんだよ」
笑いながら言うラトは全く信じていないようだ。
「そうだよな」
そう言って挨拶もそこそこに、ラトと別れ廊下を行く当てもなく歩く。
あの反応だと、噂についてはほとんど知らないだろう。
昨日ラトは午後から外回りだったはずなので、外で噂が流れていない可能性が高い。
しかし、城の中の噂の流れは速かった。意図的に流されたものなのだろうか。
いつもの中庭について、腰を下ろす。
風が、髪を揺らす。
この風が、不安もすべて吹き飛ばしてくれればいいのにと空を見上げていると声を掛けられる。
「またここにいたのか」
カミューが、ふわりと笑いながら隣に座る。
「ちょっと考え事をな」
「…まさか昨日の噂話じゃないだろうね?」
あきれたように言うカミューに、
「王宮の魔術師が関わっている。と言ったら?」
一瞬固まり、カミューの顔がゆがむ。
「まさか、あいつらが?昨日クラウディアから聞いた話だと、廊下の使用人の話を聞いたと言っていたが魔術師については聞いていない」
「お前が嫌ってるのがわかってるからだろう」
「当たり前だろう!大型結界術式に大きな貢献さえしてなければあいつらを追い出「それ以上は・・・」
俺はカミューの声を遮り、首を振る。
苦虫をつぶしたような顔のカミューを置いて、城に戻るため歩き始める。
「まさか魔術師のところへ行くんじゃないだろうね?」
すぐに追いかけてくるカミューに、
「行かないよ、昼飯食べに行く。お前は公務があるだろう?またな」
「絶対に君だけは、あそこに行ってはだめだと分かっているよね?」
食い下がる心配性の親友に、適当に手を振り廊下を歩く。