帰ろう
黄色い同胞と友達を失ってから、彼は絶え間なく苦しい日々に永遠と首を絞められ続けていた。あの時こうしていれば、上手く立ち回っていたら、そもそも人間に肩入れなんてしていなければ──そんなタラレバを心の中で何度も何度も繰り返し、夜中に枕と顔を涙で濡らす日々。最初は慰めに来てくれていた青い同胞も、いつまでもうじうじと悩んでいる彼に愛想を尽かしてしまったのか、最近はめっきりシンジ湖に顔を出さなくなってしまった。
白く薄い、透き通るような肌は日々募るストレスですっかり荒れ果て、性別という枠組みをも忘れさせてしまう中性的で端正な顔立ちは、暗い表情と栄養不足によって老け込んでしまっている。己の美貌に絶対的な自信を持ち、毎日はしゃぎ回りながら周りを掻き回していた愉快な感情の神の面影はもうどこにも見当たらない。今ここにいるのは、兄弟と友を一度に亡くし、自責の念に囚われ続けながら日に日にやつれ細っていくただの青年だけである。大好物のダージリンも全然飲まなくなってしまった。あの大好きな味も、すっかり忘れてしまったような気がする。
「…流石に何か食べよう」
普段の活気に溢れた女言葉を使う気力も無いのか、何でもないようにそう呟き、空になった胃を抱えて湖の外へ顔を出す。久しぶりに見たシンジ湖の畔は、いつもと変わらず美しい自然の緑に囲まれていた。擦りすぎてすっかり腫れて赤くなった目を休める様にその風景を眺めながら、青色の同胞が差し入れにと持って来てくれたトバリのブラウニーを無心で貪った。以前もこのブラウニーを同胞と、そして友と共に食べた思い出がエムリットの脳に蘇る。その不意打ちによってまた彼の瞳に涙の膜が張り、重力に従って静かに頬へ流れ落ちた。
「…人と神が痴情の縺れで無理心中するって、ほんと意味分からない」
ぽつりと零した彼のその言葉に対し、後ろで誰かが"本当にその通りですね"と、皮肉でも言う様に涼しげな返事を返したような気がした。
白く薄い、透き通るような肌は日々募るストレスですっかり荒れ果て、性別という枠組みをも忘れさせてしまう中性的で端正な顔立ちは、暗い表情と栄養不足によって老け込んでしまっている。己の美貌に絶対的な自信を持ち、毎日はしゃぎ回りながら周りを掻き回していた愉快な感情の神の面影はもうどこにも見当たらない。今ここにいるのは、兄弟と友を一度に亡くし、自責の念に囚われ続けながら日に日にやつれ細っていくただの青年だけである。大好物のダージリンも全然飲まなくなってしまった。あの大好きな味も、すっかり忘れてしまったような気がする。
「…流石に何か食べよう」
普段の活気に溢れた女言葉を使う気力も無いのか、何でもないようにそう呟き、空になった胃を抱えて湖の外へ顔を出す。久しぶりに見たシンジ湖の畔は、いつもと変わらず美しい自然の緑に囲まれていた。擦りすぎてすっかり腫れて赤くなった目を休める様にその風景を眺めながら、青色の同胞が差し入れにと持って来てくれたトバリのブラウニーを無心で貪った。以前もこのブラウニーを同胞と、そして友と共に食べた思い出がエムリットの脳に蘇る。その不意打ちによってまた彼の瞳に涙の膜が張り、重力に従って静かに頬へ流れ落ちた。
「…人と神が痴情の縺れで無理心中するって、ほんと意味分からない」
ぽつりと零した彼のその言葉に対し、後ろで誰かが"本当にその通りですね"と、皮肉でも言う様に涼しげな返事を返したような気がした。