Insensitive girl!
逢瀬番外編
己の住処であるエイチ湖の中心で、2匹の龍が水飛沫を上げながら戯れ合っている。1匹は虹色の鱗を太陽の光に反射させ、最も美しいポケモンの名に恥じない華麗な動きで湖を泳ぐミロカロスで、もう1匹は凶悪ポケモンの名に相応しい動きで激しく水飛沫を飛び散らせ泳いでいる凛々しいギャラドス。2匹とも、醜くか弱いヒンバスとコイキングだった頃から彼女に大切に育てられて来た、言わば手持ちと言うより家族の様な存在なんだとか。確かに2匹の光り輝く鱗や体躯を見るに、彼女に大切にされているのが伺える。
そんな日常の眩しい一幕を、最愛の女性と共にぼーっと眺める午後1時。そんな私の幸福に満ちた優雅な一時を、邪魔する者は何処にも居ない。普段から口煩い同胞らに尽く休みを邪魔される私にとって、今は正に至福の時間であった。
引越しの準備や手続きで休息が殆ど取れていないやら、弟が未だに自分の独り立ちに対して肯定的でないやら、そんな彼女の零す愚痴にうんうんと相槌を打つ傍ら、その愛しい横顔をじっと見つめる。まだ丸みを帯びたあどけない少女の面影を残しながらも、年頃の女性らしく長く伸ばされた睫毛に縁取られたその瞳。彼女のそれは今、横に居る私ではなく湖で泳いでいる2匹の龍に向けられている。
彼らと彼女の間には、長い年月の中で然りと築き上げてきた厚い信頼と絆がある。その絆の中に、厚かましく入り込もうなんて馬鹿な事はしない。そんな無粋な真似をしては知識の神の肩書きが廃るし、何より彼女からどんな顔で見られるか。長年生きてきた身としてそれなりに精神力は鍛えている方だが、そんな物など惚れた女性の前では無に等しいのである。彼女と出会ってからというもの、恋とは何て難しいのだろうとつくづく思う日々だ。
「…ごめんね、本当は1人で来る予定だったのだけど、あの2匹が水辺に行くなら自分達も行きたいって聞かなくて」
「いえいえ。賑やかなのはいい事ですから。何より貴女のポケモン達に此処が気に入って貰えて、私も嬉しい限りです」
申し訳なさそうに眉を下げてそう呟く彼女の頬に軽く触れ、にこやかにそう告げる己の唇。相変わらずよく回る口と頭だなと自分に感心しながら、彼女ににこりとまた笑いかければ、彼女もまた私に花が咲いた様な笑顔を向けてくれた。その笑顔は、初めて彼女と会った時を彷彿とさせる様な眩しくもどこか暖かい、彼女の見せる表情の中で私が一等好きなものだ。その笑みが自分だけに向けられるならばどれだけ良いだろうと思わずにはいられない程、私は彼女のこの笑顔が大好きだった。
「…綺麗、ですね」
彼女の笑顔を見て、ふと口をついて出てきたその言葉。「綺麗」なんて世にありふれた陳腐な言葉では到底表せない程、私にとって彼女の笑みは美しい筈なのに、いざ前にすると中々思い通りの表現が出て来ない。知識の神としてなんと言う体たらくだ。と一人脳内で己を恥じながら彼女から目を逸らして未だ湖で泳いでいる2匹に視線を戻すと、彼女がまた笑みを浮かべたまま嬉しそうに口を開いた。
「そうでしょう?何せ私の育てたミロカロスだもの」
その言葉を聞いて「嗚呼、自分の恋路は思っていたよりまだまだ遠いのだな」と、何となく複雑な気持ちに襲われた私は悪くない…筈だ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
時系列的にはユクシーとエイチ湖でブラウニー食べてた時とエムリットと夜道で偶然ぶつかる時の中間って感じです。逢瀬はけっこう詰め詰めで書いてたので番外編書くのが難しい事この上ない
逢瀬絵画夢主、弊サイトの長編夢主の中だとトップクラスで賢い子の筈なんですが、如何せん箱入り娘かつ夢小説のヒロインポジなので恋愛面ではこのように鈍感&天然ぶちかますタイプです。愛おし
己の住処であるエイチ湖の中心で、2匹の龍が水飛沫を上げながら戯れ合っている。1匹は虹色の鱗を太陽の光に反射させ、最も美しいポケモンの名に恥じない華麗な動きで湖を泳ぐミロカロスで、もう1匹は凶悪ポケモンの名に相応しい動きで激しく水飛沫を飛び散らせ泳いでいる凛々しいギャラドス。2匹とも、醜くか弱いヒンバスとコイキングだった頃から彼女に大切に育てられて来た、言わば手持ちと言うより家族の様な存在なんだとか。確かに2匹の光り輝く鱗や体躯を見るに、彼女に大切にされているのが伺える。
そんな日常の眩しい一幕を、最愛の女性と共にぼーっと眺める午後1時。そんな私の幸福に満ちた優雅な一時を、邪魔する者は何処にも居ない。普段から口煩い同胞らに尽く休みを邪魔される私にとって、今は正に至福の時間であった。
引越しの準備や手続きで休息が殆ど取れていないやら、弟が未だに自分の独り立ちに対して肯定的でないやら、そんな彼女の零す愚痴にうんうんと相槌を打つ傍ら、その愛しい横顔をじっと見つめる。まだ丸みを帯びたあどけない少女の面影を残しながらも、年頃の女性らしく長く伸ばされた睫毛に縁取られたその瞳。彼女のそれは今、横に居る私ではなく湖で泳いでいる2匹の龍に向けられている。
彼らと彼女の間には、長い年月の中で然りと築き上げてきた厚い信頼と絆がある。その絆の中に、厚かましく入り込もうなんて馬鹿な事はしない。そんな無粋な真似をしては知識の神の肩書きが廃るし、何より彼女からどんな顔で見られるか。長年生きてきた身としてそれなりに精神力は鍛えている方だが、そんな物など惚れた女性の前では無に等しいのである。彼女と出会ってからというもの、恋とは何て難しいのだろうとつくづく思う日々だ。
「…ごめんね、本当は1人で来る予定だったのだけど、あの2匹が水辺に行くなら自分達も行きたいって聞かなくて」
「いえいえ。賑やかなのはいい事ですから。何より貴女のポケモン達に此処が気に入って貰えて、私も嬉しい限りです」
申し訳なさそうに眉を下げてそう呟く彼女の頬に軽く触れ、にこやかにそう告げる己の唇。相変わらずよく回る口と頭だなと自分に感心しながら、彼女ににこりとまた笑いかければ、彼女もまた私に花が咲いた様な笑顔を向けてくれた。その笑顔は、初めて彼女と会った時を彷彿とさせる様な眩しくもどこか暖かい、彼女の見せる表情の中で私が一等好きなものだ。その笑みが自分だけに向けられるならばどれだけ良いだろうと思わずにはいられない程、私は彼女のこの笑顔が大好きだった。
「…綺麗、ですね」
彼女の笑顔を見て、ふと口をついて出てきたその言葉。「綺麗」なんて世にありふれた陳腐な言葉では到底表せない程、私にとって彼女の笑みは美しい筈なのに、いざ前にすると中々思い通りの表現が出て来ない。知識の神としてなんと言う体たらくだ。と一人脳内で己を恥じながら彼女から目を逸らして未だ湖で泳いでいる2匹に視線を戻すと、彼女がまた笑みを浮かべたまま嬉しそうに口を開いた。
「そうでしょう?何せ私の育てたミロカロスだもの」
その言葉を聞いて「嗚呼、自分の恋路は思っていたよりまだまだ遠いのだな」と、何となく複雑な気持ちに襲われた私は悪くない…筈だ。
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時系列的にはユクシーとエイチ湖でブラウニー食べてた時とエムリットと夜道で偶然ぶつかる時の中間って感じです。逢瀬はけっこう詰め詰めで書いてたので番外編書くのが難しい事この上ない
逢瀬絵画夢主、弊サイトの長編夢主の中だとトップクラスで賢い子の筈なんですが、如何せん箱入り娘かつ夢小説のヒロインポジなので恋愛面ではこのように鈍感&天然ぶちかますタイプです。愛おし