突発的

他の人間よりもほんの少しだけバトルが上手かっただけ。他の人間よりも人に頼られる事が多かっただけ。他の人間よりも正義感が強かっただけ。

それだけで英雄と崇められて、抱えきれないものを山ほど背負わされて。気付いたら自分がどこにいるのか分からなくなっていた。どこを目指していたのか、何になりたかったのか。周囲の人間に言われるがままがむしゃらに走っていた私には、もう自分が無くなってしまっていた。

もう死のう。限界をとうに超えていた頭の片隅で、不意にそんなアイデアが浮かんだ。

天井に掛けられた縄の、輪っかの部分に手を掛ける。そうして椅子を蹴ろうとした瞬間、私の鞄の中から何かが顔を出しているのに気が付いた。ふと気になって椅子から降りてその鞄を漁ってみると、それは以前誰かから貰ったマスターボールだった。使い所が分からず鞄の中にしまい込んでいたが、これも何かの縁か。

不意に死ぬことから気を逸らした事で考え方が変わってしまったか、はたまた元から死ぬ気なんて無かったのか。確かな事は分からないが、このボールを使ってもいいと思えるくらいのポケモンが現れるまでは生きていようと、未だ回らない頭の片隅でふとそんな事を思った。

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太宰治さんの「葉」を読んでいたら急にこんなのが思い浮かんできました。いつも書いてるゆめしょと違って伝ポケ出て来てないし会話文もないし地の文ばっかりで読みにくいですけど、最近文章全く書いてなかったのでリハビリには丁度良かったですね。管理人でした。