ホウオウさんと

Extraordinary番外編

この世界の事を何も知らずにトリップしてきたひよっこの私は、流石にこのまま幼稚園児以下の知識量で生きていくのは無理がある!と思い立ち、スイクンさんに家庭教師を付けてもらった。まあその家庭教師さんが、昔スイクンさん達を蘇らせた物凄く膨大な力を持つ伝説のポケモン、ホウオウである事は予想外だったが。

…まあ長年生きている凄い存在であるという事は、それだけホウオウさんに備わっている知識量もえげつないという訳であって…それにスイクンさんと仲もいい様だし、これほど適任な人は他に居ないだろうという訳で私は今日もホウオウさんと勉強に勤しんでいるというわけである。元々この世界の住民でない上に、トリップして来て僅か数週間足らずの平凡な小娘であるこんな私がこんなに伝説のポケモンと出会ってしまって良いのか、という疑問は少なからず湧いているが…まあ良しとしよう。細かいこと気にしていたらこの先一生先に進めない。

「こぉら小娘!手止まってんぞ」

「あっ!す、すみません…」

「お前覚えは悪くねえのに何でそんなに考え事ばっかりしてんだ?前も問題解いてる途中で手ぇ止めてたよな?…もしかして、細かい事はウジウジ悩んで考えちゃうタイプか〜?駄目だぜそんな生き方!石橋を叩いて渡るなんて言語道断!若いなら猪突猛進でひたすら突き進んで行ったほうが得だぜ?」

「た、確かにそういう生き方はスリル満点で良いと思いますけど!でも私、そんな度胸を持てる様な経験積んで来てないので…」

「何だよ引っ込み思案だな…ま、知らない世界にいきなり知識ゼロでほっぽり出されればそうなるのも無理ねえよな。俺一応力と地位だけはあるから、何かあったら頼って来いよ」

あっけらかんとそう言って笑って私の背中をポンと叩き、もう片方の手を私の頭に乗せてワシワシと力強く撫でてきたホウオウさんの手は、ほのおタイプが入っているせいか妙に温かくて、思わず肩の力がふっと抜けて行くような安心感を覚えてしまった。お父さんもこうして、私の髪がグチャグチャになるのも構わず、頭を撫でてくれたっけ。

「ホウオウさんって見た目はイケメンって言うより美人さんに近いのに、言動はお父さんみたいですよね」

「俺が父親?ははは小娘、お前冗談上手いなあ全く。そんなお前には問題集プラス10ページだ!ほら頑張れよ!」

「あ!もうホウオウさん酷い!これ完全にパワハラですよパワハラ!スイクンさん雇い主に言いつけてやる!」

「はっ!やれるもんならやってみろ!」

まあ伝説のポケモンという大層な肩書きに反して、少々言動が子供っぽいのは勘弁して欲しいのだが。