ルギア
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視界の端。艶のある銀色がふわりと揺れた。
それに続いて、やわらかな春風が私の頬を撫でる。その優しい感覚がどうにも心地よくて、暫く風に身も心も委ねてしまっていた。春風は未だ止む気配が無い。他人に寄り添う事を放棄する人間が多いこのご時世、この春風の様な自然現象の方がまだ人に対して優しいのでは無いだろうか。という疑問は私の口から吐き出されることなくどこかへ消えた。
「ナマエ、ナマエ」
「どうしたの。ルギア」
「今日はどこまで歩くのだ」
「あなたと私が満足するまで」
意地っ張りでプライドが高くて、でもどこか臆病な側面も持ち合わせているという何とも人間臭い性格をした海の神様は、どうやらこの平凡でちっぽけな女にご執心らしい。トレーナーとポケモンという主従関係と一つのボールからの繋がりによって芽生えた恋。なんとまあロマンチックなものだ。と、どこか他人事の様にその事実を捉えている私が此処に居る。
然し、それを内心まんざらでもないと思っている私もまた、ルギアと同じ様に高すぎるプライドだけを携えているだけの小心者に過ぎなかった。
未だ春風に弄ばれ続けている彼の銀の髪を一房手に取る。
女の髪よりも柔らかくしなやかで、太陽の光に反射して艶々とキューティクルを輝かせているその髪は、そこら中にありふれた陣腐な言葉では到底言い表すことが出来ない程に目を引くものだった。
どうしたらこんなに滑らかな手触りの髪になるのか。と彼を尋問...否、問い詰めたくなったが、自身についてどこか無頓着な質でいる彼は、きっと私がどれだけ聞いても「何もしていないが」の一点張りなのだろう。その事実に最早嫉妬心すら抱かなくなってきた私はおかしいのだろうか。いや、きっと彼がおかしいだけで私は至って正常な筈だ。そう思わないとやっていけない。
伝説のポケモン...しかもそれだけでなく''海の神様''という肩書きまで我が物にしている存在の彼なのだから、人間と比べ何もかもが一線を画しているのは当然のことじゃなかろうか。
「夜ご飯は何にしようか、ルギア。何か食べたいものはある?」
「カレーが食べたい」
「甘口のやつ?」
「あぁ」
「人参もちゃんとたべてね」
春風と一緒になってルギアの髪を弄んでいる私の手を優しく取って、その甲にそっと口づけを落としたルギア。そんな彼の事を「格好良い」とも「美しい」とも形容できないまま、ただルギアのことが愛しくて仕方ないといった様子で頬を赤く染めている私もまた、どうしようもなくこの恋に酔っている愚かな女というわけだった。
それに続いて、やわらかな春風が私の頬を撫でる。その優しい感覚がどうにも心地よくて、暫く風に身も心も委ねてしまっていた。春風は未だ止む気配が無い。他人に寄り添う事を放棄する人間が多いこのご時世、この春風の様な自然現象の方がまだ人に対して優しいのでは無いだろうか。という疑問は私の口から吐き出されることなくどこかへ消えた。
「ナマエ、ナマエ」
「どうしたの。ルギア」
「今日はどこまで歩くのだ」
「あなたと私が満足するまで」
意地っ張りでプライドが高くて、でもどこか臆病な側面も持ち合わせているという何とも人間臭い性格をした海の神様は、どうやらこの平凡でちっぽけな女にご執心らしい。トレーナーとポケモンという主従関係と一つのボールからの繋がりによって芽生えた恋。なんとまあロマンチックなものだ。と、どこか他人事の様にその事実を捉えている私が此処に居る。
然し、それを内心まんざらでもないと思っている私もまた、ルギアと同じ様に高すぎるプライドだけを携えているだけの小心者に過ぎなかった。
未だ春風に弄ばれ続けている彼の銀の髪を一房手に取る。
女の髪よりも柔らかくしなやかで、太陽の光に反射して艶々とキューティクルを輝かせているその髪は、そこら中にありふれた陣腐な言葉では到底言い表すことが出来ない程に目を引くものだった。
どうしたらこんなに滑らかな手触りの髪になるのか。と彼を尋問...否、問い詰めたくなったが、自身についてどこか無頓着な質でいる彼は、きっと私がどれだけ聞いても「何もしていないが」の一点張りなのだろう。その事実に最早嫉妬心すら抱かなくなってきた私はおかしいのだろうか。いや、きっと彼がおかしいだけで私は至って正常な筈だ。そう思わないとやっていけない。
伝説のポケモン...しかもそれだけでなく''海の神様''という肩書きまで我が物にしている存在の彼なのだから、人間と比べ何もかもが一線を画しているのは当然のことじゃなかろうか。
「夜ご飯は何にしようか、ルギア。何か食べたいものはある?」
「カレーが食べたい」
「甘口のやつ?」
「あぁ」
「人参もちゃんとたべてね」
春風と一緒になってルギアの髪を弄んでいる私の手を優しく取って、その甲にそっと口づけを落としたルギア。そんな彼の事を「格好良い」とも「美しい」とも形容できないまま、ただルギアのことが愛しくて仕方ないといった様子で頬を赤く染めている私もまた、どうしようもなくこの恋に酔っている愚かな女というわけだった。
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