逢瀬
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さて、どうしたものかな。とナマエはリビングに配置されたあまり大きくない革のソファーに腰掛けながら、家に自分一人なのをいい事に、背をみっともなく丸めながら目を瞑ってぼーっと考え事をしていた。
ナマエは数日後に、この都会とも田舎とも言えない小さな街を出て、別の場所で一人暮らしをする予定であった。別の場所、と言ってもこのシンオウ地方を出ていくという訳ではない。いくら生活費を払っていると言えどもいつまでも親に甘えている訳にもいかない。だが、だからと言って都会にいきなり飛び出す度胸なんざ持ち合わせていないので、取り敢えず近くのアパートでも借りて練習がてら1人で暮らしてみよう。という何とも小さい規模の独り立ちなのだが、一つ問題があった。弟がナマエの一人暮らしにあまり乗り気ではないのである。
一つ勘違いして欲しくないのだが、ナマエの弟は別にシスコンという訳では無い。むしろお互いに興味無し、血の繋がった他人と言った方が正しいくらい、この姉弟はお互いに関心を向けた事など無いに等しいのだ。それなのに、何故弟がナマエの一人暮らしに反対の意を示しているのかと言えば、それはナマエ達姉弟の祖父母らが住んでいた家に問題があった。
「…パパもママも、あんな大きい家、とっとと売りに出せば良かったのに」
そんなナマエが頭を抱える原因である例の祖父母の家とは一体どんな家なのかと言うと、今でこそパッと見ただちょっと大きいだけの廃れた日本家屋にしか見えないが、まだナマエ達の親でさえ生まれてくる前のずっとずっと昔の時代、それこそナマエのご先祖様らが刀を持って戦っていた時代には、そこそこの地位や財に土地を持ち合わせ、大変栄えていた名家だったらしいのだ。初めてこの話を母から聞いた時、ナマエや弟は「あんな小汚い廃れた家がそんな名家な訳あるか」と跳ね除けたのだが、いざその祖父母の家を探索してみると、巻き物やら刀やら、当時の貴重品らがまあ出るわ出るわ。流石に疑り深いこの姉弟も、この先祖らの遺した証拠らを目の前にしては、信じる他無かったのである。
閑話休題、今でこそそんな貴重品らは歴史に微塵も興味のない弟にゴミ袋に入れて燃やされ、沢山あった土地は祖父母が亡くなった時に親戚らがこぞって売りに出し、そこそこ敷居の高かったあの家は、子孫らにでかくて邪魔くさいお荷物扱いされているという酷い結果を迎えており、昔の栄光なんぞ見る影も無い悲惨な形となってしまっているのだが。ご先祖様は泣いていいだろう
「でもいつまでもママ達のお荷物になる訳にもいかないしな〜…」
先程も言った通り、何もナマエの弟は姉の事を大切に思っているから一人暮らしを反対している訳では無い。還暦を過ぎた両親の面倒を見ながらあのだだっ広い家の管理を一人でするなんてまっぴらごめんであるので、何とか道連れを作って自分の苦労を少しでも減らしたいが為にナマエを引き止めているだけなのである。勿論ナマエもそんな自分勝手な弟の主張に乗ってやる気はさらさら無い為、こうして何とか穏便に済ませる方法は無いかと頭を抱えている訳なのだが。
「せめて誰かに相談出来れば良いのに…」
両親やポケモン達には自分の綺麗な部分しか見せたくない、だからと言って今まで全く興味関心すら抱いて来なかった弟と対立するにしても相手の事を何も知らないので分が悪い。ああもう本当に誰か助けてくれよ、とソファに寝そべりながら、ナマエは溜息をついた。
ナマエは数日後に、この都会とも田舎とも言えない小さな街を出て、別の場所で一人暮らしをする予定であった。別の場所、と言ってもこのシンオウ地方を出ていくという訳ではない。いくら生活費を払っていると言えどもいつまでも親に甘えている訳にもいかない。だが、だからと言って都会にいきなり飛び出す度胸なんざ持ち合わせていないので、取り敢えず近くのアパートでも借りて練習がてら1人で暮らしてみよう。という何とも小さい規模の独り立ちなのだが、一つ問題があった。弟がナマエの一人暮らしにあまり乗り気ではないのである。
一つ勘違いして欲しくないのだが、ナマエの弟は別にシスコンという訳では無い。むしろお互いに興味無し、血の繋がった他人と言った方が正しいくらい、この姉弟はお互いに関心を向けた事など無いに等しいのだ。それなのに、何故弟がナマエの一人暮らしに反対の意を示しているのかと言えば、それはナマエ達姉弟の祖父母らが住んでいた家に問題があった。
「…パパもママも、あんな大きい家、とっとと売りに出せば良かったのに」
そんなナマエが頭を抱える原因である例の祖父母の家とは一体どんな家なのかと言うと、今でこそパッと見ただちょっと大きいだけの廃れた日本家屋にしか見えないが、まだナマエ達の親でさえ生まれてくる前のずっとずっと昔の時代、それこそナマエのご先祖様らが刀を持って戦っていた時代には、そこそこの地位や財に土地を持ち合わせ、大変栄えていた名家だったらしいのだ。初めてこの話を母から聞いた時、ナマエや弟は「あんな小汚い廃れた家がそんな名家な訳あるか」と跳ね除けたのだが、いざその祖父母の家を探索してみると、巻き物やら刀やら、当時の貴重品らがまあ出るわ出るわ。流石に疑り深いこの姉弟も、この先祖らの遺した証拠らを目の前にしては、信じる他無かったのである。
閑話休題、今でこそそんな貴重品らは歴史に微塵も興味のない弟にゴミ袋に入れて燃やされ、沢山あった土地は祖父母が亡くなった時に親戚らがこぞって売りに出し、そこそこ敷居の高かったあの家は、子孫らにでかくて邪魔くさいお荷物扱いされているという酷い結果を迎えており、昔の栄光なんぞ見る影も無い悲惨な形となってしまっているのだが。ご先祖様は泣いていいだろう
「でもいつまでもママ達のお荷物になる訳にもいかないしな〜…」
先程も言った通り、何もナマエの弟は姉の事を大切に思っているから一人暮らしを反対している訳では無い。還暦を過ぎた両親の面倒を見ながらあのだだっ広い家の管理を一人でするなんてまっぴらごめんであるので、何とか道連れを作って自分の苦労を少しでも減らしたいが為にナマエを引き止めているだけなのである。勿論ナマエもそんな自分勝手な弟の主張に乗ってやる気はさらさら無い為、こうして何とか穏便に済ませる方法は無いかと頭を抱えている訳なのだが。
「せめて誰かに相談出来れば良いのに…」
両親やポケモン達には自分の綺麗な部分しか見せたくない、だからと言って今まで全く興味関心すら抱いて来なかった弟と対立するにしても相手の事を何も知らないので分が悪い。ああもう本当に誰か助けてくれよ、とソファに寝そべりながら、ナマエは溜息をついた。