ケモノとヒトのコ
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ハナダシティを颯爽と駆け抜け、イワヤマトンネルの中をゴルバット達に追いかけられながらひたすら突き進んで来た結果、私達はようやく父のいるであろう無人発電所へと到着する事が出来た。
ちなみにここに本当に父がいるのかは分からない。あくまでネットの海に漂う情報の中から1番信憑性の高そうな物を抜粋しただけだし、母でさえ父の居場所は知らないとの事だったので、ここに父がいなければまた振り出しに戻ってしまう。それだけは頼むから勘弁して欲しい。
「…よし、行こう」
この辺には落ちている道具類に擬態してビリリダマやマルマイン達が眠っている為、わざわざその子達を刺激してしまわないよう、2匹にはボールに戻ってもらった。野生のポケモンもわんさか出てくる場所を生身で突き進むとは命知らずも良い所だと自分でも思ったが、2匹とも図体が大きい子なので仕方が無い。
マルマイン達を刺激しないように恐る恐る発電所内を進んでいると、何やら身体中に重苦しいプレッシャーの様なものがのしかかって来た。そのプレッシャーはボールの中にまで伝わって来たのか、私の事を守るようにしてすぐさまボールの外へと2匹が飛び出す。そんな2匹の背中に隠れながらも何とか発電所の最奥へ着いた途端、そこに居たのは。
「…おとう、さん?」
何度も何度も写真で見た、ツンツン逆立っている金色の髪を思い出させるその羽根に、ガッツリとアイラインを引いたようにつり上がったその目付き。写真で見た人間の姿ではない、私のお父さん本来の姿がそこにあった。グルルと唸って警戒している様子の2匹をまたボールに戻し、羽根を広げている父の姿を凝視する。
…どうやら父は眠っているらしかった。トレーナーや野生ポケモンが毎日やってくるこの場所で優雅に昼寝だなんて呑気なものだ。自分の種族の珍しさと、それがもたらす恐ろしさを何よりも自覚しているからこそ父は家を出ていったのだろうに、警戒心がまるで無いじゃないか。というかまずこんな所で寝るな。なんで私の両親揃いも揃って寝るのが大好きなんだよお似合い夫婦か。
父が眠りながらも器用に放っているそのプレッシャーは、恐らく野生のポケモンやトレーナー避けの為だろうか。そんな器用な特技身に付けてまでぐっすり寝たいのか私の父は。と色々と突っ込みを入れたいところはあれど、まずは父を起こさねば話は進まない。起こした途端に敵認定されたらどうしようと一瞬起こすのを躊躇ったが、そんなメンタルで父を家に連れて帰れる訳が無いだろう頑張れ私。と自分を奮い立たせて父を起こす事にした。
「…お父さん、お父さん!起きてお父さん!」
腹から声を思いっきり出して父を起こそうと奮闘するが、父も父で中々しぶとい。だからと言ってウインディ達の力を借りては父が最悪瀕死になってしまうので、私は父が起きるまでずっとお父さんお父さんと呼び続ける事にした。なし崩しにも程があるが許してほしい。私だって実の父に手荒な真似はしたくないのだ。
「お父さん、お父さん…!お父さん!!!!!!!」
『うるせえ!!!!』
「…やっと起きた!」
寝起き特有のご機嫌斜めな顔でギロりと此方を睨んできたお父さんは、私の顔を見るなりギョッとした顔をして後ずさった。だがここで逃げられてはマズいと思い、私もすかさず空いた分の距離を詰め直す。
「…久しぶり。お父さん」
『なまえお前…何で此処に、』
『嘘だろ』だの『有り得ねえ』だのぶつぶつと独り言を繰り返しながら、父は身体を人の形に変えた。それと同時に先程から私の身体に纏わりついていた重苦しいプレッシャーがパッと消える。体が軽い!と1人喜びながら父の顔を見てみたら、写真で見た時と全く同じ顔と見た目で此方を凝視している父と目が合った。
「…お父さん?」
「あ、いや…お前何で此処に…つーか娘と十数年ぶりに再開した時って、何話せば良いんだ」
「あははっ、何それ」
そう言って父の言葉を軽く笑い飛ばしてみせたが、かくいう私もこうして父と対面するのが初めてなので、一丁前に緊張してしまっている。私は写真で何度も何度も父を見ていたのでちょっとだけ慣れてはいるが、父の記憶の中に居る私は赤ん坊の姿のままで止まっているのだから、こうやって成長した私の姿を見るのは父にとって初めてな訳で。その為、違和感が拭えないのも仕方無い事なのだろう。…ていうか改めて見てみると私のお父さん顔良いな。なんで私お母さん似なんだろ、無性に悲しくなってきた。
ちなみにここに本当に父がいるのかは分からない。あくまでネットの海に漂う情報の中から1番信憑性の高そうな物を抜粋しただけだし、母でさえ父の居場所は知らないとの事だったので、ここに父がいなければまた振り出しに戻ってしまう。それだけは頼むから勘弁して欲しい。
「…よし、行こう」
この辺には落ちている道具類に擬態してビリリダマやマルマイン達が眠っている為、わざわざその子達を刺激してしまわないよう、2匹にはボールに戻ってもらった。野生のポケモンもわんさか出てくる場所を生身で突き進むとは命知らずも良い所だと自分でも思ったが、2匹とも図体が大きい子なので仕方が無い。
マルマイン達を刺激しないように恐る恐る発電所内を進んでいると、何やら身体中に重苦しいプレッシャーの様なものがのしかかって来た。そのプレッシャーはボールの中にまで伝わって来たのか、私の事を守るようにしてすぐさまボールの外へと2匹が飛び出す。そんな2匹の背中に隠れながらも何とか発電所の最奥へ着いた途端、そこに居たのは。
「…おとう、さん?」
何度も何度も写真で見た、ツンツン逆立っている金色の髪を思い出させるその羽根に、ガッツリとアイラインを引いたようにつり上がったその目付き。写真で見た人間の姿ではない、私のお父さん本来の姿がそこにあった。グルルと唸って警戒している様子の2匹をまたボールに戻し、羽根を広げている父の姿を凝視する。
…どうやら父は眠っているらしかった。トレーナーや野生ポケモンが毎日やってくるこの場所で優雅に昼寝だなんて呑気なものだ。自分の種族の珍しさと、それがもたらす恐ろしさを何よりも自覚しているからこそ父は家を出ていったのだろうに、警戒心がまるで無いじゃないか。というかまずこんな所で寝るな。なんで私の両親揃いも揃って寝るのが大好きなんだよお似合い夫婦か。
父が眠りながらも器用に放っているそのプレッシャーは、恐らく野生のポケモンやトレーナー避けの為だろうか。そんな器用な特技身に付けてまでぐっすり寝たいのか私の父は。と色々と突っ込みを入れたいところはあれど、まずは父を起こさねば話は進まない。起こした途端に敵認定されたらどうしようと一瞬起こすのを躊躇ったが、そんなメンタルで父を家に連れて帰れる訳が無いだろう頑張れ私。と自分を奮い立たせて父を起こす事にした。
「…お父さん、お父さん!起きてお父さん!」
腹から声を思いっきり出して父を起こそうと奮闘するが、父も父で中々しぶとい。だからと言ってウインディ達の力を借りては父が最悪瀕死になってしまうので、私は父が起きるまでずっとお父さんお父さんと呼び続ける事にした。なし崩しにも程があるが許してほしい。私だって実の父に手荒な真似はしたくないのだ。
「お父さん、お父さん…!お父さん!!!!!!!」
『うるせえ!!!!』
「…やっと起きた!」
寝起き特有のご機嫌斜めな顔でギロりと此方を睨んできたお父さんは、私の顔を見るなりギョッとした顔をして後ずさった。だがここで逃げられてはマズいと思い、私もすかさず空いた分の距離を詰め直す。
「…久しぶり。お父さん」
『なまえお前…何で此処に、』
『嘘だろ』だの『有り得ねえ』だのぶつぶつと独り言を繰り返しながら、父は身体を人の形に変えた。それと同時に先程から私の身体に纏わりついていた重苦しいプレッシャーがパッと消える。体が軽い!と1人喜びながら父の顔を見てみたら、写真で見た時と全く同じ顔と見た目で此方を凝視している父と目が合った。
「…お父さん?」
「あ、いや…お前何で此処に…つーか娘と十数年ぶりに再開した時って、何話せば良いんだ」
「あははっ、何それ」
そう言って父の言葉を軽く笑い飛ばしてみせたが、かくいう私もこうして父と対面するのが初めてなので、一丁前に緊張してしまっている。私は写真で何度も何度も父を見ていたのでちょっとだけ慣れてはいるが、父の記憶の中に居る私は赤ん坊の姿のままで止まっているのだから、こうやって成長した私の姿を見るのは父にとって初めてな訳で。その為、違和感が拭えないのも仕方無い事なのだろう。…ていうか改めて見てみると私のお父さん顔良いな。なんで私お母さん似なんだろ、無性に悲しくなってきた。