ケモノとヒトのコ
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一瞬、母親が嘘を付いているんじゃないかと疑ってしまった。でも、母の隣にいるリザードンでさえ本当だと言うように私の事を見つめているのだから、信じる他無かった。
「…じゃあ、お父さんはポケモンの中でもとっても珍しい種族だから、私たちの傍に居たらいずれハンターに狙われて、私達まで巻き込んじゃうかもしれないから出て行ったって事?」
「ええそうよ。あの人はとっても不器用だから、きっとそうする事でしか私たちを守れないと思ったんでしょう。」
「本当に馬鹿なひと」と呆れたようにポツリと吐き捨てて、母は棚の上に置かれた空のモンスターボールを懐かしげに見つめた。トレーナーとしての強さを確かに持っている母ならば、父を探しにカントー中を駆け回る事なんて造作もないだろうに。…それをしなかったのは、母も母で父の不器用な気持ちを尊重したのだろう。
「私は、ポケモンと人間の、間の子…」
「…なまえ。そんなに重く考え詰めないで」
そう言って母は、私の肩を静かに抱いた。そんな母の優しさに私は涙を流すでも無く、父の正体を知れた事を嬉しがるでも無く、ただひたすら棚の上に置かれたモンスターボールを見つめていた。
*
取り敢えず長旅を終えて疲れているだろうから、と母は温かいお風呂を入れてくれて、ついでにドライヤーで髪も乾かしてくれた。髪を乾かしてもらっている最中、もしかしたら父がここにいてくれたら、私の髪をこうして乾かしてくれていただろうかと想像して、また瞳が潤んだ。そうしてまた母の優しさにひとしきり甘えた後、私は部屋に戻ってウインディのお腹に頭を預けながら、リビングから掠めてきた空のモンスターボールをじっと見つめていた。
「ねえカメックス。私のお父さん、あなた達と同じなんだってさ」
私のそんな独り言のような話し声にも、カメックスはぐあっと一言だけ鳴いて応えてくれた。その後ろではウインディも、尻尾をブンブンと振って反応してくれている。そんな2匹の頭を撫でながら、私は鞄から地図と携帯を取り出すと、ふと気になった事を調べ始めた。
「…じゃあ、お父さんはポケモンの中でもとっても珍しい種族だから、私たちの傍に居たらいずれハンターに狙われて、私達まで巻き込んじゃうかもしれないから出て行ったって事?」
「ええそうよ。あの人はとっても不器用だから、きっとそうする事でしか私たちを守れないと思ったんでしょう。」
「本当に馬鹿なひと」と呆れたようにポツリと吐き捨てて、母は棚の上に置かれた空のモンスターボールを懐かしげに見つめた。トレーナーとしての強さを確かに持っている母ならば、父を探しにカントー中を駆け回る事なんて造作もないだろうに。…それをしなかったのは、母も母で父の不器用な気持ちを尊重したのだろう。
「私は、ポケモンと人間の、間の子…」
「…なまえ。そんなに重く考え詰めないで」
そう言って母は、私の肩を静かに抱いた。そんな母の優しさに私は涙を流すでも無く、父の正体を知れた事を嬉しがるでも無く、ただひたすら棚の上に置かれたモンスターボールを見つめていた。
*
取り敢えず長旅を終えて疲れているだろうから、と母は温かいお風呂を入れてくれて、ついでにドライヤーで髪も乾かしてくれた。髪を乾かしてもらっている最中、もしかしたら父がここにいてくれたら、私の髪をこうして乾かしてくれていただろうかと想像して、また瞳が潤んだ。そうしてまた母の優しさにひとしきり甘えた後、私は部屋に戻ってウインディのお腹に頭を預けながら、リビングから掠めてきた空のモンスターボールをじっと見つめていた。
「ねえカメックス。私のお父さん、あなた達と同じなんだってさ」
私のそんな独り言のような話し声にも、カメックスはぐあっと一言だけ鳴いて応えてくれた。その後ろではウインディも、尻尾をブンブンと振って反応してくれている。そんな2匹の頭を撫でながら、私は鞄から地図と携帯を取り出すと、ふと気になった事を調べ始めた。