ケモノとヒトのコ
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「…ねえお母さん、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
夕食を終えて、私はフルーツが沢山乗せられたヨーグルトを母と共に貪っていた。そんな平和な雰囲気を壊す様で悪いが、私は母にずっと聞きたかったことがあった。
母は父が出て行ってからも、涙一つ見せずに私を女手一つで立派に育て上げてくれた。…だが、そこには幾つかの謎があった。母は私が生まれてから、チャンピオンを辞めて手に職を持っていない状態だった。旅をしていた頃の貯蓄があったとしても、それだけで十数年も母1人子1人、そして最終進化を終えた母の手持ち達の衣食住が賄える筈も無い。だが年中食べ盛りの娘とポケモン達が家に居ても尚、母は全くお金に困った様子を見せていなかった。これはもう、誰かが援助してくれていると考えるのが妥当だろう。子供の頃は特にうちの金銭面について考えた事は無かったけれど、私だってもう大人だ。これくらいの事は予想出来る。
「…どうかしたの?」
「お母さんは私を女手一つで育ててくれた。それは精神的にも金銭的にも、とても大変な事だったと思う。けれど、うちにはずっとまとまったお金があった。…そのお金、どこで手に入れてたの?」
私からそんな言葉を聞いて、母は珍しく表情を曇らせた。それを見て少しばかり申し訳ない気持ちに陥る。子供から家の金銭事情を聞かれて、何も思わない母親は居ないだろう。だがそれでも、私はどうしても真実を確かめたかった。
「…そうよね。なまえももう大人だものね。いい加減話さなくちゃ」
「そのお金はね、あなたのお父さんがいつも送ってきてくれてたの」と、母は案外簡単に口を割った。そこで発された''お父さん''という言葉に、私の心が僅かに反応する。
「お父さん?でもお父さんって…」
「…そう。あなたのお父さんは、確かに貴女が物心つく前に家を出て行った。でもそれはね、貴女と私を守る為の事だったの」
母はコップに白く瑞々しい手を添えると、静かに喉を潤した。私もそれに習って、ヨーグルトをまた1口だけ口に含む。
「あのね、なまえ。私の手持ちポケモンの6匹目、誰だか知ってる?」
「え…それは、」
「知らないのも無理ないわ。だってあなたはあの人に似て勘が良いから…だから、きっと全て勘づかれてしまうと思って教えられなかった」
「…ねえお母さん、その6匹目の手持ちポケモンって、もしかして」
私がそう言った途端、母は「ようやく分かったか」とでも言いたげににっこりと微笑み、「えぇ。そのポケモンが、貴女のお父さん」と言って、懐から1枚の写真を取り出した。…そこには、誰しも一度は手持ちに入れる事を憧れる伝説の鳥ポケモンが…サンダーが、母と並んで写っていた。
夕食を終えて、私はフルーツが沢山乗せられたヨーグルトを母と共に貪っていた。そんな平和な雰囲気を壊す様で悪いが、私は母にずっと聞きたかったことがあった。
母は父が出て行ってからも、涙一つ見せずに私を女手一つで立派に育て上げてくれた。…だが、そこには幾つかの謎があった。母は私が生まれてから、チャンピオンを辞めて手に職を持っていない状態だった。旅をしていた頃の貯蓄があったとしても、それだけで十数年も母1人子1人、そして最終進化を終えた母の手持ち達の衣食住が賄える筈も無い。だが年中食べ盛りの娘とポケモン達が家に居ても尚、母は全くお金に困った様子を見せていなかった。これはもう、誰かが援助してくれていると考えるのが妥当だろう。子供の頃は特にうちの金銭面について考えた事は無かったけれど、私だってもう大人だ。これくらいの事は予想出来る。
「…どうかしたの?」
「お母さんは私を女手一つで育ててくれた。それは精神的にも金銭的にも、とても大変な事だったと思う。けれど、うちにはずっとまとまったお金があった。…そのお金、どこで手に入れてたの?」
私からそんな言葉を聞いて、母は珍しく表情を曇らせた。それを見て少しばかり申し訳ない気持ちに陥る。子供から家の金銭事情を聞かれて、何も思わない母親は居ないだろう。だがそれでも、私はどうしても真実を確かめたかった。
「…そうよね。なまえももう大人だものね。いい加減話さなくちゃ」
「そのお金はね、あなたのお父さんがいつも送ってきてくれてたの」と、母は案外簡単に口を割った。そこで発された''お父さん''という言葉に、私の心が僅かに反応する。
「お父さん?でもお父さんって…」
「…そう。あなたのお父さんは、確かに貴女が物心つく前に家を出て行った。でもそれはね、貴女と私を守る為の事だったの」
母はコップに白く瑞々しい手を添えると、静かに喉を潤した。私もそれに習って、ヨーグルトをまた1口だけ口に含む。
「あのね、なまえ。私の手持ちポケモンの6匹目、誰だか知ってる?」
「え…それは、」
「知らないのも無理ないわ。だってあなたはあの人に似て勘が良いから…だから、きっと全て勘づかれてしまうと思って教えられなかった」
「…ねえお母さん、その6匹目の手持ちポケモンって、もしかして」
私がそう言った途端、母は「ようやく分かったか」とでも言いたげににっこりと微笑み、「えぇ。そのポケモンが、貴女のお父さん」と言って、懐から1枚の写真を取り出した。…そこには、誰しも一度は手持ちに入れる事を憧れる伝説の鳥ポケモンが…サンダーが、母と並んで写っていた。