ケモノとヒトのコ
Name Change
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「お母さん!」
「なまえ!」
お父さんと一緒に家の前へと着地し、そのまま私は電気タイプの子供の名に恥じない目にも止まらぬ速さでお母さんに強く抱き着いた。そんな私の強い力に負けず劣らず、お母さんもぎゅっと私の体をその細い腕で抱き締め返してくれた。途端にお母さんの落ち着く香りと温かい優しさに包まれ、身体からふっと力が抜けて行くのを感じてじんわりと瞼が熱くなった。
「…名前」
私とお母さんがお互いの身体を押し潰さん限りの力で抱きしめ合っているのを後ろで見ていたお父さんが、1歩前に踏み出して恐る恐るお母さんの名前を呼んだ。その途端、お母さんがそっと腕の中から私を解放し、おずおずとお父さんの方に向き直る。
「サンダー…!」
「ただいま」とも「おかえり」とも言わず、お父さんとお母さんは互いの存在を確かめ合う様にずっと手を握り合っていた。お父さんがお母さんの姿を視界に捉えた途端、堪えきれなくなった様にポロポロと涙を流せば、お母さんが呆れたようにそれを見ながら静かにその涙を片手で拭った。
「おかえりなさい!サンダー、なまえ!」
お母さんが微笑みながらそう言って、先程私にした様にお父さんを腕の中にぎゅっと強く閉じ込めた。急に抱き締められた事に驚いたのか、涙で濡れた睫毛を瞬きでバシバシと上下に揺らしながらお父さんが動揺している。それが何だか面白おかしくて吹き出してしまいそうになったが、感動の再会を壊してしまいたくない為必死にそれを堪えた。
「…今日から、家族3人で幸せに暮らせるのね。この日をどれだけ待ち侘びたかしら」
感慨深そうにそう呟いたお母さんの言葉を肯定する様に「…あぁ」と呟いたお父さん。それに習って私も首を縦に振れば、お母さんはぱあっと花が咲いた様な笑みを此方に向けて、一筋だけ涙を零した。私が生まれて初めて目にした、娘に見せる最初で最後であろう母の涙だった。
「悪かった、名前。お前になまえの事を全て押し付けて」
「謝らないで、サンダー」
謝る為に帰って来た訳じゃ無いでしょう。と悪戯っぽく天真爛漫に微笑んで見せたその笑みは、私がいつも見てきた強かな母の笑顔だった。父もその笑顔を見て表情筋を緩ませると、私と母の肩に手を置き、久方ぶりに見る我が家をじっと見据え、「ただいま」と懐かしむかのようにそう呟いた。私もそれを真似する様に「ただいま!」と放つ。
父の両手が塞がっているので母が家の扉を開けると、中で待っていたリザードンも私達の姿を見て「おかえり」と言うようにスっと目を細めて出迎えてくれた。相変わらず感情表現が下手くそな子だなあと思っていると、父も同じ事を考えていたのか、苦笑している様な表情でまたフッと声を漏らしていた。
「…ただいま」
「「おかえりなさい、お父さん!」」
「なまえ!」
お父さんと一緒に家の前へと着地し、そのまま私は電気タイプの子供の名に恥じない目にも止まらぬ速さでお母さんに強く抱き着いた。そんな私の強い力に負けず劣らず、お母さんもぎゅっと私の体をその細い腕で抱き締め返してくれた。途端にお母さんの落ち着く香りと温かい優しさに包まれ、身体からふっと力が抜けて行くのを感じてじんわりと瞼が熱くなった。
「…名前」
私とお母さんがお互いの身体を押し潰さん限りの力で抱きしめ合っているのを後ろで見ていたお父さんが、1歩前に踏み出して恐る恐るお母さんの名前を呼んだ。その途端、お母さんがそっと腕の中から私を解放し、おずおずとお父さんの方に向き直る。
「サンダー…!」
「ただいま」とも「おかえり」とも言わず、お父さんとお母さんは互いの存在を確かめ合う様にずっと手を握り合っていた。お父さんがお母さんの姿を視界に捉えた途端、堪えきれなくなった様にポロポロと涙を流せば、お母さんが呆れたようにそれを見ながら静かにその涙を片手で拭った。
「おかえりなさい!サンダー、なまえ!」
お母さんが微笑みながらそう言って、先程私にした様にお父さんを腕の中にぎゅっと強く閉じ込めた。急に抱き締められた事に驚いたのか、涙で濡れた睫毛を瞬きでバシバシと上下に揺らしながらお父さんが動揺している。それが何だか面白おかしくて吹き出してしまいそうになったが、感動の再会を壊してしまいたくない為必死にそれを堪えた。
「…今日から、家族3人で幸せに暮らせるのね。この日をどれだけ待ち侘びたかしら」
感慨深そうにそう呟いたお母さんの言葉を肯定する様に「…あぁ」と呟いたお父さん。それに習って私も首を縦に振れば、お母さんはぱあっと花が咲いた様な笑みを此方に向けて、一筋だけ涙を零した。私が生まれて初めて目にした、娘に見せる最初で最後であろう母の涙だった。
「悪かった、名前。お前になまえの事を全て押し付けて」
「謝らないで、サンダー」
謝る為に帰って来た訳じゃ無いでしょう。と悪戯っぽく天真爛漫に微笑んで見せたその笑みは、私がいつも見てきた強かな母の笑顔だった。父もその笑顔を見て表情筋を緩ませると、私と母の肩に手を置き、久方ぶりに見る我が家をじっと見据え、「ただいま」と懐かしむかのようにそう呟いた。私もそれを真似する様に「ただいま!」と放つ。
父の両手が塞がっているので母が家の扉を開けると、中で待っていたリザードンも私達の姿を見て「おかえり」と言うようにスっと目を細めて出迎えてくれた。相変わらず感情表現が下手くそな子だなあと思っていると、父も同じ事を考えていたのか、苦笑している様な表情でまたフッと声を漏らしていた。
「…ただいま」
「「おかえりなさい、お父さん!」」
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