Extraordinary!
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
食料品売り場にて夕食の買い出しを終え、私はスイクンさんと2人でエンジュシティのデパートから出て屋敷までの帰路に付いていた。
スイクンさん曰く、ジョウト地方の中でもこのエンジュシティは特に栄えている街なのだが、人間に住処を暴かれない様にスイクンさんはわざと他の家や街灯のない物静かな所を選んで拠点にしたらしい。その為屋敷に近づくにつれて段々と周囲の景色が見えなくなってゆき、もう遅い時間なのも相まって夜目の効かない私はスイクンさんの服の裾を掴ませてもらって何とか迷子にならずに足を進める事が出来ていた…筈なのだが。
「あれ、スイクンさん…?スイクンさん!?」
なんということでしょう。気が付いたら私は1人真っ暗な場所で保護者のスイクンさんとはぐれて迷子状態になっていました。迷子の迷子のナマエちゃん、あなたのおうちはどこですか。と聞いてくれる犬のおまわりさんも都合よく現れてくれるはずがなく、気がついた時には完全に詰んでいて1人地面に座り込む事しか出来なくなっていましたとさ。
いまここで大きな声でスイクンさんの名前を呼んだら気づいてもらえるかな…と不意に閃いたが、散々言っている通りスイクンさんはかなり珍しいポケモンだ。そんな中私が彼の名前を大きな声で叫んだら、最悪伝説のポケモンであるスイクンがこの辺に生息していると他人に気づかれてしまう可能性もある。何のためにスイクンさんがあの屋敷をミラーコートで隠していると思っているんだ私の馬鹿野郎。とすぐにその案は却下されたが、だからといって別の案が頭に浮かんでくる訳でもない。…何か今の状況、この世界にくる直前に倉庫の中に閉じ込められてたのを思い出すなあ。
そんな事を呑気に考えていると、不意に後ろから生き物の唸り声の様なものが聞こえたような気がした。びっくりして思わず身体が大袈裟に跳ねたが、そんなこと気にしてる場合じゃない。え、もしかしなくともポケモンの声だよねこれ。元の世界でたまに見かけた野良猫とかならともかく、そこにいるのは人間離れした身体能力と不思議な技を操る獣だ。こんな非力な私がポケモンも持たずに遭遇したら多分一撃で病院送り、最悪墓の中だろう。今からでも走って逃げるべきだろうか、だがそんな事したら余計にスイクンさんとはぐれてしまう。嗚呼もうほんとにどうしようこの状況。
取り敢えず襲われる前に逃げなければ。と、ガタガタと身体を震わせながら必死に声を抑えてここから離れようと、私は震える足に鞭打ちながら無理やり身を捩って立ち上がった。だがその途端、恐怖で足がよろけてしまい、傍にあった木に身体を思いっきりぶつけてしまった。ああもう何やってるの私…!と自分を責めた時にはもう遅く、獣が徐々に此方へと迫ってくる足音が嫌でも耳に入ってくるのが分かった。
『…そこに誰かいるのか!』
「ひぃっ…!」
住処を荒らす物は皆殺しだと言わんばかりの殺気を携えて私の所へ現れたのは、原形時のスイクンさんくらいの大きさをして身体中に熱気を纏わせたかのようなポケモンだった。夜風に吹かれて相手の熱が私の身体を掠めた途端、私の身体が何とも言えない恐怖に支配されたのがわかった。それにスイクンさんのように嫋かな体躯ではなく、全体的にがっしりとしていて威圧感も増し増しの図体なのが更に私の恐怖心を煽る。真っ暗だからどんな色をしたポケモンかまでは見えなかったけれど、この際色なんてどうでも良かった。
『…ここは昔、我らが拠点と決めた地!この地に近づく人間は誰であろうと許さん!』
「あ、あの…!わざと入った訳じゃ無いんです私!ちょっと保護者とはぐれて迷っちゃっただけなんです!どうか見逃してくださいお願いします!」
回らない舌で何とかそのポケモンに許しを乞うが、相手は未だに私を殺気立った目で捉えながら低く唸っているばかりだ。これ、襲われて病院送りになるだけじゃ済まないかもしれない。最悪墓の中にすら入れず此処でこのポケモンに喰われて死ぬかも。ていうかもうその未来しか見えないんだけど。
『そんな言い訳信じられるか汚い人間め!我らを襲い捕らえるだけに飽き足らず、遂に住処まで暴くか!その何とも汚らしい根性、万死に値する!』
「だから違うんですううう!!私は貴方を襲って捕獲する気も無ければ、住処を暴く気もありません!!どうか見逃して下さいいい!」
もう半ば半狂乱だった。とにかく生き延びる為には相手にどれだけ話が通じなくともこちらの言い分を分かってもらう他ない。先人の言葉に「筋肉は全てを解決する」という名言があったが、生憎相手は未知の獣。ちょっと鍛えた人間程度の力でどうこうできる相手ではない。それに、そもそもの話私には筋肉が微塵も付いていない。ふざけるな無力にも程があるだろこの状況!!
こうなりゃヤケだ。敵に対して背中を見せてはいけないとよく聞くが、弁明しても聞き入れて貰えないし力では敵いっこないんだから隙を見て逃げるしかない。運が良ければスイクンさんと合流出来るかもしれないし。一か八かにかけてみるしかない。
そう思って静かに1歩後ずさった時だった。
「ナマエ頭下げとき!!」
…え?
スイクンさん曰く、ジョウト地方の中でもこのエンジュシティは特に栄えている街なのだが、人間に住処を暴かれない様にスイクンさんはわざと他の家や街灯のない物静かな所を選んで拠点にしたらしい。その為屋敷に近づくにつれて段々と周囲の景色が見えなくなってゆき、もう遅い時間なのも相まって夜目の効かない私はスイクンさんの服の裾を掴ませてもらって何とか迷子にならずに足を進める事が出来ていた…筈なのだが。
「あれ、スイクンさん…?スイクンさん!?」
なんということでしょう。気が付いたら私は1人真っ暗な場所で保護者のスイクンさんとはぐれて迷子状態になっていました。迷子の迷子のナマエちゃん、あなたのおうちはどこですか。と聞いてくれる犬のおまわりさんも都合よく現れてくれるはずがなく、気がついた時には完全に詰んでいて1人地面に座り込む事しか出来なくなっていましたとさ。
いまここで大きな声でスイクンさんの名前を呼んだら気づいてもらえるかな…と不意に閃いたが、散々言っている通りスイクンさんはかなり珍しいポケモンだ。そんな中私が彼の名前を大きな声で叫んだら、最悪伝説のポケモンであるスイクンがこの辺に生息していると他人に気づかれてしまう可能性もある。何のためにスイクンさんがあの屋敷をミラーコートで隠していると思っているんだ私の馬鹿野郎。とすぐにその案は却下されたが、だからといって別の案が頭に浮かんでくる訳でもない。…何か今の状況、この世界にくる直前に倉庫の中に閉じ込められてたのを思い出すなあ。
そんな事を呑気に考えていると、不意に後ろから生き物の唸り声の様なものが聞こえたような気がした。びっくりして思わず身体が大袈裟に跳ねたが、そんなこと気にしてる場合じゃない。え、もしかしなくともポケモンの声だよねこれ。元の世界でたまに見かけた野良猫とかならともかく、そこにいるのは人間離れした身体能力と不思議な技を操る獣だ。こんな非力な私がポケモンも持たずに遭遇したら多分一撃で病院送り、最悪墓の中だろう。今からでも走って逃げるべきだろうか、だがそんな事したら余計にスイクンさんとはぐれてしまう。嗚呼もうほんとにどうしようこの状況。
取り敢えず襲われる前に逃げなければ。と、ガタガタと身体を震わせながら必死に声を抑えてここから離れようと、私は震える足に鞭打ちながら無理やり身を捩って立ち上がった。だがその途端、恐怖で足がよろけてしまい、傍にあった木に身体を思いっきりぶつけてしまった。ああもう何やってるの私…!と自分を責めた時にはもう遅く、獣が徐々に此方へと迫ってくる足音が嫌でも耳に入ってくるのが分かった。
『…そこに誰かいるのか!』
「ひぃっ…!」
住処を荒らす物は皆殺しだと言わんばかりの殺気を携えて私の所へ現れたのは、原形時のスイクンさんくらいの大きさをして身体中に熱気を纏わせたかのようなポケモンだった。夜風に吹かれて相手の熱が私の身体を掠めた途端、私の身体が何とも言えない恐怖に支配されたのがわかった。それにスイクンさんのように嫋かな体躯ではなく、全体的にがっしりとしていて威圧感も増し増しの図体なのが更に私の恐怖心を煽る。真っ暗だからどんな色をしたポケモンかまでは見えなかったけれど、この際色なんてどうでも良かった。
『…ここは昔、我らが拠点と決めた地!この地に近づく人間は誰であろうと許さん!』
「あ、あの…!わざと入った訳じゃ無いんです私!ちょっと保護者とはぐれて迷っちゃっただけなんです!どうか見逃してくださいお願いします!」
回らない舌で何とかそのポケモンに許しを乞うが、相手は未だに私を殺気立った目で捉えながら低く唸っているばかりだ。これ、襲われて病院送りになるだけじゃ済まないかもしれない。最悪墓の中にすら入れず此処でこのポケモンに喰われて死ぬかも。ていうかもうその未来しか見えないんだけど。
『そんな言い訳信じられるか汚い人間め!我らを襲い捕らえるだけに飽き足らず、遂に住処まで暴くか!その何とも汚らしい根性、万死に値する!』
「だから違うんですううう!!私は貴方を襲って捕獲する気も無ければ、住処を暴く気もありません!!どうか見逃して下さいいい!」
もう半ば半狂乱だった。とにかく生き延びる為には相手にどれだけ話が通じなくともこちらの言い分を分かってもらう他ない。先人の言葉に「筋肉は全てを解決する」という名言があったが、生憎相手は未知の獣。ちょっと鍛えた人間程度の力でどうこうできる相手ではない。それに、そもそもの話私には筋肉が微塵も付いていない。ふざけるな無力にも程があるだろこの状況!!
こうなりゃヤケだ。敵に対して背中を見せてはいけないとよく聞くが、弁明しても聞き入れて貰えないし力では敵いっこないんだから隙を見て逃げるしかない。運が良ければスイクンさんと合流出来るかもしれないし。一か八かにかけてみるしかない。
そう思って静かに1歩後ずさった時だった。
「ナマエ頭下げとき!!」
…え?