Extraordinary!
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「あの…昨日教えてくれた、スイクンさんと一緒に蘇ったライコウさんとエンテイさんというポケモンとは、一緒に暮らしてないのですか?」
昨日お粥を食べさせて貰った後、私はシャワーを浴びさせて貰い、すぐ眠りについてしまった。この屋敷は知っての通りかなり広い為脱衣所からこの居間に戻って来るだけで一苦労だったのだが、スイクンさんが案内してくれたので道には迷わずに済んだ。いや、家の中で迷子になるなんて聞いた事ないんだけど…ここ、何畳くらいあるんだろ。
そして顔を洗ってスイクンさんと一緒に朝ご飯を貪りながら、私はスイクンさんに気になった事をのべつまくなしに色々と質問している所だった。この世界やスイクンさん自身について知らない事ばかりなのだから、気になった事は何でもいいから脳味噌に叩き込んでおきたいと思ったのだ。
「…あぁ、あの2人なあ。昔はこの屋敷で3人一緒に暮らしてたんやけどな…アウトドア派の2人とインドア派の俺とじゃどうにも一緒に暮らすのが難しくてなあ。今2人はこの屋敷を出て、気ままにジョウト地方を放浪しとるんよ」
「まあ月に1回はここに帰って来るし、あんまり心配はしてないんやけど」とあっけらかんとした物言いでそう言ったスイクンさんは、棚の上に置いてあった1枚の写真を、昨日の本と同じ様にテーブルの上に優しく置いて私に見せてくれた。それを受け取って見てみたら、その写真にはそれぞれとても個性的な4人の男性が写っていた。今と変わらない雰囲気で微笑を浮かべたスイクンさんと、金髪赤目で遊び人の様な風貌をしたいかにもチャラチャラした雰囲気の男性。そして写真越しでも分かるくらいに威厳のある佇まいをしている男性と、その人とは対照的に満面の笑みでピースサインを出しながらスイクンさんの肩に手を回している男性。尚、この対照的な2人はどちらも赤い髪だ。ついでに言っておくと皆さん大変整ったお顔立ちをしていらっしゃる。くそう、平凡な顔の此方からすれば羨ましい事この上ない。
「…1人ずつ紹介してくで?まず、このいかにも素行の悪そうな赤いタレ目の金髪野郎がライコウ。俺ら3人の中でいっちばん性格悪くて女遊び激しいから気ぃつけるんやで。後、この目つきの悪い厳つい兄ちゃんがエンテイ。堅物やけど性根はライコウほど腐ってないから安心しとき。…で、この1番背ぇ高い、エンテイよりちょっとだけ明るめの赤い髪しとる男が、俺ら3人を蘇らせたホウオウや。いっつも笑顔やけどモラルと常識が欠如しとるジョウトの異端児やから、もし見かけても近付いたらあかんで」
「い、異端児なんですか…?昨日の話だと、ホウオウさんは強さと優しさを兼ね揃えた凄いポケモンってイメージだったんですが…」
「…まあ、やる時はやる男なんやコイツ。常識無いだけで優しいところは一応あるしな…多分」
多分って…。今のスイクンさんから教えて貰った印象をそのまま鵜呑みにした場合、ホウオウさんとライコウさんはかなりの性格破綻者という事になってしまいそうな気がするのだが、一応この人達その辺の人間より長い時を生きてる珍しいポケモンなんだよね…?昨日スイクンさんに見せて貰った本には、ホウオウが3匹を蘇らせたのは150年程前って書かれてたし…まだこの世界に来て日が浅いから何とも言えないけれど、上に立っているポケモンがこんな性格してて大丈夫なのかなここ。いや、まだスイクンさん以外のポケモンに会った事が無いからあまり推測しすぎるのも良くないけど。
「ほんまにナマエ保護したの俺で良かったわ…!これがもしライコウやったら、出会って即裸の付き合いになっとっても不思議じゃないもん…」
「そんなに遊んでる方なんですね…ライコウさん」
「まあエンテイっていうストッパーが近くにおるさかい、今はもう昔みたいに遊び呆けとらんと思うけど…あかん、考えたら心配になってきたわ。まさかその辺の女孕ませとったらどないしよ」
それはもはやチャラ男超えてクズ男なのでは…と思ったが、本気で同胞を心配しているスイクンさんに対してそんな事は言えず、私は頭を抱えるスイクンさんを横目に写真をじっと眺めている事しかできなかった。こうやって各々自由な表情で写真を撮っている所を見るに、少なくとも4人の仲は悪くないんだと思う。…良いなあ。そういえば元の世界の友達、元気にしてるかな。放課後にコンビニ寄ったりカラオケ行ったり、行事の時はお揃いの髪型にしたりしたなあ。私、ちゃんと元の世界に帰れるのかな。
元の世界に対する未練が、自分の中にふつふつと湧き始める。そうだ、スイクンさんは秘密の多い不思議な方だけど、こうして私にフレンドリーな態度で接してくれる。…でも、私は元々この世界の人間じゃないからいずれ元の世界に帰る日が来るのかもしれない。それはもしかしたらあと数日後かもしれないし、数十年後かもしれない。もし長い年月を経て元の世界に帰る事になった場合、私はこの世界に対する未練を捨てる事は出来るだろうか。そしてもし元の世界に帰る事が出来ない場合、元の世界に対する未練を捨ててこの世界で生きる覚悟は持てるのだろうか。
両親に甘やかされてぬくぬくと育って来た私は、今までそんな重大な選択を迫られた事は無いに等しい。それに加えて私には優柔不断な側面もある。元の世界に今すぐ帰れるなら帰りたいけれど、まだお世話になったスイクンさんに恩の一つも返してない為、まだ此方の世界に残っていたい気持ちも…だめだ、私がどうしてこの世界に来たのか理由は定かでは無いけれど、私の本当の居場所は元の世界にしか無いのだから、元の世界しか選択肢が無いのは一目瞭然じゃないか。
いずれ絶対、元の世界に帰れる糸口が見つかる筈だ。それだけを心の支えにして、私はお味噌汁を1口啜った。…美味しい。スイクンさん料理上手…
昨日お粥を食べさせて貰った後、私はシャワーを浴びさせて貰い、すぐ眠りについてしまった。この屋敷は知っての通りかなり広い為脱衣所からこの居間に戻って来るだけで一苦労だったのだが、スイクンさんが案内してくれたので道には迷わずに済んだ。いや、家の中で迷子になるなんて聞いた事ないんだけど…ここ、何畳くらいあるんだろ。
そして顔を洗ってスイクンさんと一緒に朝ご飯を貪りながら、私はスイクンさんに気になった事をのべつまくなしに色々と質問している所だった。この世界やスイクンさん自身について知らない事ばかりなのだから、気になった事は何でもいいから脳味噌に叩き込んでおきたいと思ったのだ。
「…あぁ、あの2人なあ。昔はこの屋敷で3人一緒に暮らしてたんやけどな…アウトドア派の2人とインドア派の俺とじゃどうにも一緒に暮らすのが難しくてなあ。今2人はこの屋敷を出て、気ままにジョウト地方を放浪しとるんよ」
「まあ月に1回はここに帰って来るし、あんまり心配はしてないんやけど」とあっけらかんとした物言いでそう言ったスイクンさんは、棚の上に置いてあった1枚の写真を、昨日の本と同じ様にテーブルの上に優しく置いて私に見せてくれた。それを受け取って見てみたら、その写真にはそれぞれとても個性的な4人の男性が写っていた。今と変わらない雰囲気で微笑を浮かべたスイクンさんと、金髪赤目で遊び人の様な風貌をしたいかにもチャラチャラした雰囲気の男性。そして写真越しでも分かるくらいに威厳のある佇まいをしている男性と、その人とは対照的に満面の笑みでピースサインを出しながらスイクンさんの肩に手を回している男性。尚、この対照的な2人はどちらも赤い髪だ。ついでに言っておくと皆さん大変整ったお顔立ちをしていらっしゃる。くそう、平凡な顔の此方からすれば羨ましい事この上ない。
「…1人ずつ紹介してくで?まず、このいかにも素行の悪そうな赤いタレ目の金髪野郎がライコウ。俺ら3人の中でいっちばん性格悪くて女遊び激しいから気ぃつけるんやで。後、この目つきの悪い厳つい兄ちゃんがエンテイ。堅物やけど性根はライコウほど腐ってないから安心しとき。…で、この1番背ぇ高い、エンテイよりちょっとだけ明るめの赤い髪しとる男が、俺ら3人を蘇らせたホウオウや。いっつも笑顔やけどモラルと常識が欠如しとるジョウトの異端児やから、もし見かけても近付いたらあかんで」
「い、異端児なんですか…?昨日の話だと、ホウオウさんは強さと優しさを兼ね揃えた凄いポケモンってイメージだったんですが…」
「…まあ、やる時はやる男なんやコイツ。常識無いだけで優しいところは一応あるしな…多分」
多分って…。今のスイクンさんから教えて貰った印象をそのまま鵜呑みにした場合、ホウオウさんとライコウさんはかなりの性格破綻者という事になってしまいそうな気がするのだが、一応この人達その辺の人間より長い時を生きてる珍しいポケモンなんだよね…?昨日スイクンさんに見せて貰った本には、ホウオウが3匹を蘇らせたのは150年程前って書かれてたし…まだこの世界に来て日が浅いから何とも言えないけれど、上に立っているポケモンがこんな性格してて大丈夫なのかなここ。いや、まだスイクンさん以外のポケモンに会った事が無いからあまり推測しすぎるのも良くないけど。
「ほんまにナマエ保護したの俺で良かったわ…!これがもしライコウやったら、出会って即裸の付き合いになっとっても不思議じゃないもん…」
「そんなに遊んでる方なんですね…ライコウさん」
「まあエンテイっていうストッパーが近くにおるさかい、今はもう昔みたいに遊び呆けとらんと思うけど…あかん、考えたら心配になってきたわ。まさかその辺の女孕ませとったらどないしよ」
それはもはやチャラ男超えてクズ男なのでは…と思ったが、本気で同胞を心配しているスイクンさんに対してそんな事は言えず、私は頭を抱えるスイクンさんを横目に写真をじっと眺めている事しかできなかった。こうやって各々自由な表情で写真を撮っている所を見るに、少なくとも4人の仲は悪くないんだと思う。…良いなあ。そういえば元の世界の友達、元気にしてるかな。放課後にコンビニ寄ったりカラオケ行ったり、行事の時はお揃いの髪型にしたりしたなあ。私、ちゃんと元の世界に帰れるのかな。
元の世界に対する未練が、自分の中にふつふつと湧き始める。そうだ、スイクンさんは秘密の多い不思議な方だけど、こうして私にフレンドリーな態度で接してくれる。…でも、私は元々この世界の人間じゃないからいずれ元の世界に帰る日が来るのかもしれない。それはもしかしたらあと数日後かもしれないし、数十年後かもしれない。もし長い年月を経て元の世界に帰る事になった場合、私はこの世界に対する未練を捨てる事は出来るだろうか。そしてもし元の世界に帰る事が出来ない場合、元の世界に対する未練を捨ててこの世界で生きる覚悟は持てるのだろうか。
両親に甘やかされてぬくぬくと育って来た私は、今までそんな重大な選択を迫られた事は無いに等しい。それに加えて私には優柔不断な側面もある。元の世界に今すぐ帰れるなら帰りたいけれど、まだお世話になったスイクンさんに恩の一つも返してない為、まだ此方の世界に残っていたい気持ちも…だめだ、私がどうしてこの世界に来たのか理由は定かでは無いけれど、私の本当の居場所は元の世界にしか無いのだから、元の世界しか選択肢が無いのは一目瞭然じゃないか。
いずれ絶対、元の世界に帰れる糸口が見つかる筈だ。それだけを心の支えにして、私はお味噌汁を1口啜った。…美味しい。スイクンさん料理上手…