グラードン
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昔から暗闇が嫌いだった。暗闇に1歩でも足を踏み入れてしまえば、暗くて、周りを見渡しても何も見えなくて、まるで自分自身がナニかに飲み込まれてしまった様な感覚に必ず襲われてしまうのだ。幼少期からずっとこのままで、何度暗闇に入ったとしても決してこの感覚に慣れる事は無かった。
その為、夜に布団に入って眠る時も必ず豆電球は付けっぱなしにして寝ていたし、帰りが夜遅くなってしまわない様に必ず夕暮れ時までには帰路につく様にしていた。気の知れた友人や身内には「子供の門限じゃないんだから…」と苦笑まじりに呆れられる事もしばしばあったが、これは暗闇に身を投じるという恐ろしい行為から少しでも身を引く為の自己防衛でもあった為、私はこれまでずっと暗闇を避けて生きてきた。
やがて私も自分自身の進む道を決める歳になり、散々迷った末にポケモンと共に旅をする事にした。野宿に対してはかなり抵抗があったが、ポケモンセンターに宿泊する事も出来ると先輩トレーナーに教えて貰う事が出来た為、旅自体はかなり順調に進める事ができ、やがてホウエン地方の伝説と呼ばれる大陸の化身、グラードンを仲間に加えるという偉業さえも達成してみせる事が出来た。
…だがこのグラードンは、かなり難儀な性格の持ち主であった様だ
「…ねえグラードン、もう18時半だよ。そろそろ帰らないと」
「はァ?何言ってンだナマエ、子供じゃあるまいし。もう少しこの辺のトレーナー達倒してから帰ろうぜ?」
そう言ってポケモンセンターの方へ向かおうとした私の腰を、ガッシリとした太腕を回して捕まえる大陸の化身…グラードン。私の手持ちに入ってもう数ヶ月程経つのだが、どうにもこうにもポケモン特有の闘争本能が強く、私がもう帰るよと言っても全然言う事を聞いてくれる事が無い。一応私はこいつのトレーナーである筈なのだが、果たしてグラードン側には私のポケモンという自覚はあるのだろうか。
「あのねグラードン、前にも言ったけれど私、暗闇は」
暗闇は嫌いなの。…そう言おうとしたその束の間、グラードンの大きな手が私の口をそっと塞ぐ。急な事に驚いて目を見開きながらグラードンの高い背丈を見上げてみると、そこにはニヤニヤと笑みを浮かべた意地の悪い表情のグラードンが私を見下ろしていた。その何とも性格の悪そうな笑みに、思わず私の眉間に小さな皺が寄る。
「ちょっとどういうつもりよ」
「いや?俺のナマエは随分とお子ちゃまだと思ってな」
「その歳になってまだ暗い所が怖いなんて、可愛いとこあるじゃねえか」と揶揄うように笑って、私の口から片手を離したグラードン。こっちは一刻も早く帰りたくて堪らないというのに、未だ意地の悪い笑みを浮かべて此方を見下ろしているグラードンがやけに腹立たしい事この上ないのだが、生憎私は力でも口でも此奴には敵わない為、下からじっとグラードンを睨み付けることしか出来ないのである。
「安心しろよナマエ。俺が隣に居れば十分眩しいだろ?」
「何処が安心出来るのよ何処が」
どうやらコイツには本気でまだ帰る気が無さそうだ。このままではすぐに太陽が沈んでしまい、自分のSAN値がゴリゴリと削られていくだけだと瞬時に察知した私は、鞄からグラードンのボールを出すと油断している背中にそれをぶち当ててグラードンをボールの中に仕舞い、ポケモンセンターへとダッシュで直行するのであった。…ちなみに掌で握り締めているグラードンのボールが不満げにガタガタと揺れているが無視しておく事にしよう。背に腹はかえられぬとは本当によく言ったものだ、と私は頭の片隅で考えるのであった。
その為、夜に布団に入って眠る時も必ず豆電球は付けっぱなしにして寝ていたし、帰りが夜遅くなってしまわない様に必ず夕暮れ時までには帰路につく様にしていた。気の知れた友人や身内には「子供の門限じゃないんだから…」と苦笑まじりに呆れられる事もしばしばあったが、これは暗闇に身を投じるという恐ろしい行為から少しでも身を引く為の自己防衛でもあった為、私はこれまでずっと暗闇を避けて生きてきた。
やがて私も自分自身の進む道を決める歳になり、散々迷った末にポケモンと共に旅をする事にした。野宿に対してはかなり抵抗があったが、ポケモンセンターに宿泊する事も出来ると先輩トレーナーに教えて貰う事が出来た為、旅自体はかなり順調に進める事ができ、やがてホウエン地方の伝説と呼ばれる大陸の化身、グラードンを仲間に加えるという偉業さえも達成してみせる事が出来た。
…だがこのグラードンは、かなり難儀な性格の持ち主であった様だ
「…ねえグラードン、もう18時半だよ。そろそろ帰らないと」
「はァ?何言ってンだナマエ、子供じゃあるまいし。もう少しこの辺のトレーナー達倒してから帰ろうぜ?」
そう言ってポケモンセンターの方へ向かおうとした私の腰を、ガッシリとした太腕を回して捕まえる大陸の化身…グラードン。私の手持ちに入ってもう数ヶ月程経つのだが、どうにもこうにもポケモン特有の闘争本能が強く、私がもう帰るよと言っても全然言う事を聞いてくれる事が無い。一応私はこいつのトレーナーである筈なのだが、果たしてグラードン側には私のポケモンという自覚はあるのだろうか。
「あのねグラードン、前にも言ったけれど私、暗闇は」
暗闇は嫌いなの。…そう言おうとしたその束の間、グラードンの大きな手が私の口をそっと塞ぐ。急な事に驚いて目を見開きながらグラードンの高い背丈を見上げてみると、そこにはニヤニヤと笑みを浮かべた意地の悪い表情のグラードンが私を見下ろしていた。その何とも性格の悪そうな笑みに、思わず私の眉間に小さな皺が寄る。
「ちょっとどういうつもりよ」
「いや?俺のナマエは随分とお子ちゃまだと思ってな」
「その歳になってまだ暗い所が怖いなんて、可愛いとこあるじゃねえか」と揶揄うように笑って、私の口から片手を離したグラードン。こっちは一刻も早く帰りたくて堪らないというのに、未だ意地の悪い笑みを浮かべて此方を見下ろしているグラードンがやけに腹立たしい事この上ないのだが、生憎私は力でも口でも此奴には敵わない為、下からじっとグラードンを睨み付けることしか出来ないのである。
「安心しろよナマエ。俺が隣に居れば十分眩しいだろ?」
「何処が安心出来るのよ何処が」
どうやらコイツには本気でまだ帰る気が無さそうだ。このままではすぐに太陽が沈んでしまい、自分のSAN値がゴリゴリと削られていくだけだと瞬時に察知した私は、鞄からグラードンのボールを出すと油断している背中にそれをぶち当ててグラードンをボールの中に仕舞い、ポケモンセンターへとダッシュで直行するのであった。…ちなみに掌で握り締めているグラードンのボールが不満げにガタガタと揺れているが無視しておく事にしよう。背に腹はかえられぬとは本当によく言ったものだ、と私は頭の片隅で考えるのであった。
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