ミュウツー
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大人になるにつれ、人はみな純粋さを失ってゆくものだ。
私だって幼少の頃はサンタクロースは実在すると信じていたし、テレビの中には人が入っているものだと思い込んでいた。ぬいぐるみは私が夜寝ている間に動いていると思ってたし、子供は結婚すれば1人でに出来ると信じ込んでいたものだ。
…まあ、これらは全て子供の頃に両親から吹き込まれた法螺話ばかりなのだが、小さな子供を騙して夢を見せるにはあまりに丁度良いものばかりだと思わないだろうか。誰だってテレビの映像はただ動画を垂れ流していると伝えられるより、箱の中に人が入って芝居をしていると伝えられた方が面白く感じるに決まっている。あなたがそう感じなくとも、少なくとも私はそう感じる。
「ねえミュウツー、あなたもそう思わない?」
「…何の話だ、急にどうした。ナマエ」
「誰だって真実を伝えられるより、少し夢見がちになった方が生きやすいって話よ」
「…くだらん。実にくだらんな。夢見がちになってどうする。今ここで実際に見聞きしている真実から目を背けるなんて、現実を見ようともしない愚者のする事だ」
読んでいる本から顔も上げずにそう返答を返した彼は、この話題に1ミリも興味が無いと言った様子で本のページを1枚ペラりと捲った。
そんな彼の無愛想な態度に私は少々ムッとして眉間に皺を寄せたが、残念ながら読書に熱中している彼が私のそんな様子に気付いてくれる筈も無く。只々読書をしている男の隣で滑稽な顔をした女が誕生してしまっただけであった。嗚呼なんと虚しい事か。
「現実から目を背けるなって言う癖に、私からは目を背けるんだね」と意地悪を言いたくなったが、生憎私はそんな面倒臭い女に成り下がった憶えは無い。意地悪を言いたい気持ちをぐっと堪えて、私は本を読むミュウツーの端正な横顔を眺めながら、静かに時間を潰すのであった。
幼稚な理想を持って生きる私だけれど、現実を見ながら生きる賢いあなたのことが何よりも大好きなんです。
私だって幼少の頃はサンタクロースは実在すると信じていたし、テレビの中には人が入っているものだと思い込んでいた。ぬいぐるみは私が夜寝ている間に動いていると思ってたし、子供は結婚すれば1人でに出来ると信じ込んでいたものだ。
…まあ、これらは全て子供の頃に両親から吹き込まれた法螺話ばかりなのだが、小さな子供を騙して夢を見せるにはあまりに丁度良いものばかりだと思わないだろうか。誰だってテレビの映像はただ動画を垂れ流していると伝えられるより、箱の中に人が入って芝居をしていると伝えられた方が面白く感じるに決まっている。あなたがそう感じなくとも、少なくとも私はそう感じる。
「ねえミュウツー、あなたもそう思わない?」
「…何の話だ、急にどうした。ナマエ」
「誰だって真実を伝えられるより、少し夢見がちになった方が生きやすいって話よ」
「…くだらん。実にくだらんな。夢見がちになってどうする。今ここで実際に見聞きしている真実から目を背けるなんて、現実を見ようともしない愚者のする事だ」
読んでいる本から顔も上げずにそう返答を返した彼は、この話題に1ミリも興味が無いと言った様子で本のページを1枚ペラりと捲った。
そんな彼の無愛想な態度に私は少々ムッとして眉間に皺を寄せたが、残念ながら読書に熱中している彼が私のそんな様子に気付いてくれる筈も無く。只々読書をしている男の隣で滑稽な顔をした女が誕生してしまっただけであった。嗚呼なんと虚しい事か。
「現実から目を背けるなって言う癖に、私からは目を背けるんだね」と意地悪を言いたくなったが、生憎私はそんな面倒臭い女に成り下がった憶えは無い。意地悪を言いたい気持ちをぐっと堪えて、私は本を読むミュウツーの端正な横顔を眺めながら、静かに時間を潰すのであった。
幼稚な理想を持って生きる私だけれど、現実を見ながら生きる賢いあなたのことが何よりも大好きなんです。
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