ホウオウ
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不規則かつ不健康な生活が災いしたのか、はたまた昔から病弱な体質だった為かは定かでは無いが、とにかく私は風邪を引いてしまったようだ。
体温計を脇に挟んで測り終わるのを待っていると、すぐさまピピピと体温計から電子音が鳴った。恐る恐るそれに目を向けてみると、まさかの39度。この体温の高さは最早風邪というより熱じゃないか。
ひりつく喉の痛みを打ち消すかの如くゲホゲホと咳を出していたら、自室の扉が乱暴に開くと同時に、色鮮やかな赤い派手な髪を持つ男がこちらへとやってきた。ただでさえ熱のせいで熱くて汗が止まらないのだから、今だけは空気を読んで大人しくボールの中にいて欲しかったがそんな事はもう後の祭りである。
「ナマエ、体調崩したのか」
「ホウオウ…」
吸った酸素が身体に循環する前に、私の喉のひりついた部分を素知らぬ顔で刺激していく。その感覚に僅かな不快感を覚えながら、私はその男の言葉を朦朧とする意識の中で必死に耳の中へと拾い上げた。妙に低くて聞き心地の良いその声が、身体の痛みのせいでただの雑音にしか聞こえない事が妙に悲しい。
「…見たらわかるでしょそのくらい」
「ははっ、声ガッサガサじゃねえか」
「大丈夫か〜?」と笑って私の額に張り付いた前髪をくしゃりと撫でるホウオウの手を力の入らない腕で払い除けて、ふいっと彼から目を逸らす。熱で浮かされた私の頭は惚れた男の顔を見るだけですぐショートしてしまう。持ち主と似て何とも使えない脳みそだ。
そして何よりも、私自身好きな男に対してこんなみっともない姿を晒している事に嫌悪感を少なからず抱いていた。病で伏せって熱に浮かされた姿の女なんて、みっともない事この上ないだろう。嗚呼、おねがいだからポケモンらしくボールの中に入っていてほしい。出来るだけ早く、叶うなら今すぐに。
「食べたいものとかねえか?」
「…お粥と水。台所にある。お粥は卵じゃなくて梅粥の方ね。」
「わかった、すぐに用意してくるからちょっと待ってろよ」
そう言って赤い髪を靡かせながら部屋を出て台所に向かうホウオウの後ろ背を見送って、私はふう、と肩の荷を下ろすように軽くため息をつくと、熱い額に手をそっと乗せる。体調が悪化してきたからか、はたまた好きな男に心配されて身体が浮かれているからか、どちらかは定かでは無いが、私の額は先程よりも遥かに熱を帯びていた。
体温計を脇に挟んで測り終わるのを待っていると、すぐさまピピピと体温計から電子音が鳴った。恐る恐るそれに目を向けてみると、まさかの39度。この体温の高さは最早風邪というより熱じゃないか。
ひりつく喉の痛みを打ち消すかの如くゲホゲホと咳を出していたら、自室の扉が乱暴に開くと同時に、色鮮やかな赤い派手な髪を持つ男がこちらへとやってきた。ただでさえ熱のせいで熱くて汗が止まらないのだから、今だけは空気を読んで大人しくボールの中にいて欲しかったがそんな事はもう後の祭りである。
「ナマエ、体調崩したのか」
「ホウオウ…」
吸った酸素が身体に循環する前に、私の喉のひりついた部分を素知らぬ顔で刺激していく。その感覚に僅かな不快感を覚えながら、私はその男の言葉を朦朧とする意識の中で必死に耳の中へと拾い上げた。妙に低くて聞き心地の良いその声が、身体の痛みのせいでただの雑音にしか聞こえない事が妙に悲しい。
「…見たらわかるでしょそのくらい」
「ははっ、声ガッサガサじゃねえか」
「大丈夫か〜?」と笑って私の額に張り付いた前髪をくしゃりと撫でるホウオウの手を力の入らない腕で払い除けて、ふいっと彼から目を逸らす。熱で浮かされた私の頭は惚れた男の顔を見るだけですぐショートしてしまう。持ち主と似て何とも使えない脳みそだ。
そして何よりも、私自身好きな男に対してこんなみっともない姿を晒している事に嫌悪感を少なからず抱いていた。病で伏せって熱に浮かされた姿の女なんて、みっともない事この上ないだろう。嗚呼、おねがいだからポケモンらしくボールの中に入っていてほしい。出来るだけ早く、叶うなら今すぐに。
「食べたいものとかねえか?」
「…お粥と水。台所にある。お粥は卵じゃなくて梅粥の方ね。」
「わかった、すぐに用意してくるからちょっと待ってろよ」
そう言って赤い髪を靡かせながら部屋を出て台所に向かうホウオウの後ろ背を見送って、私はふう、と肩の荷を下ろすように軽くため息をつくと、熱い額に手をそっと乗せる。体調が悪化してきたからか、はたまた好きな男に心配されて身体が浮かれているからか、どちらかは定かでは無いが、私の額は先程よりも遥かに熱を帯びていた。
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