「なあナマエ、交尾しないか」

午後20時のやる事を全て終えた自由な時間に、彼にいきなりそんな事を言われた。耳に入ってきた情報と脳の処理が追い付かなくて、思わず彼を凝視する。

今日一日のやる事を全て終えて、ソファでぼーっとテレビを見ていた所、隣に座っていた万年発情期の天空ポケモンにそんな事を言われた私の感情を30字以内で答えてみよ。

…否、実際は吃驚しすぎてもはや虚無だったので感情もクソも無いのだがまあそれはさておき。

「いきなり何よ、万年発情期の伝説ポケモンさん」

「誰が万年発情期だ誰が！そんな不名誉な二つ名を付けるな！」

そう眉を顰めてプンスカ怒り始めたその万年発情期さんに可哀想な眼差しを向けて、「何で交尾したいの」と面倒くさそうに問うてみると。

「…好いた女が隣に居れば喰いたくなるのが男の性だろう」と、至極当たり前といった顔でそう言われて心底うんざりする。果たして此奴は本当に伝説のレックウザなのか。何と言うかあまりに中身が残念すぎる気が。

「それを万年発情期って言うんじゃないの」

腰と胸元に伸びて来た破廉恥な手を慌てて振り解きながらそう零してみれば。

「何でそんな事言うんだナマエ。人間だってほぼ年中発情期みたいなものだし、1回や2回くらい減るもんでもないだろ」

「いや思いっきり減るわこのバカ男」

取り敢えず今日はレックウザをボールに閉じ込めておいた方が良さそうだ。と考えながら、私は近付いてきたレックウザの胸板を思いっきり押し返した。