ホウオウ
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーー車が出ます。ご注意下さい
駅前の立体駐車場にて、そんな機械音声が鳴り響く。しかし馬鹿な私はちょうどその時、イヤホンを耳にはめて爆音で音楽を聴きながらそこを通り過ぎようとしていた。命知らずもいい所である。
車のクラクションの音がイヤホン越しにも聞こえてきて、思わず横を見る。するとそこには大きな赤い自動車が。
人間の命を奪うに容易い鉄の塊が、私へと迫ってくる。これぞ辻キス5秒前。あ、これ死んだな。と、突如として脳内に流れ出す走馬灯。どうか来世も人間に生まれることが出来ますように。そう願って静かに目を閉じた瞬間。
「この馬鹿女!」
「きゃ、」
途端に、ふわりと身体が浮き上がる感覚。
目を開けてみると、そこは上空。あれ、私もう死んだのかな。と思って下を見てみると、虹色に光る鮮やかな赤い羽根が視界に入った。
「…ホウオウ」と、その羽根の持ち主の名前を呼んでみる。
羽に触れると、静かに伝わってきた温かい感触。それは、今私が生きている証拠。そのままホウオウは私を人気のない公園に下ろすと、いつもの如く人の姿へと形を変えた。
「ホウオウ」と、また彼の名前を呼んでみると。
「…頼むから命を大事にしろ!」
と、手中のイヤホンを引ったくられてそのまま地面に投げ捨てられる。ちょっとアグレッシブすぎませんか、というツッコミは心の中に留めておくことにした。流石に命を救ってもらった身だ。下手な事は言えまい
「…ごめん」
「驚かせんじゃねえよほんとに…!」
羽根と同じ色をした鮮やかな色の髪を振り乱しながら、ホウオウは私の身体を己の腕の中に閉じ込める。もう涼しい季節に差し掛かる時期だというのに、彼の額に汗が滲んでいるのが見えた。
「ホウオウ、ごめんね」
「お前ぜってえ反省してねえだろ」
「してるよ。さすがに死にかけたんだから」
「助ける俺の身にもなれよ…」
眉根を顰めて私の体を離さないホウオウ。ただの主従関係なのに、傍から見るとカップルにしか見えないから正直辞めてほしいのだが、命の恩人にそんな事言える度胸なんざ生憎持ち合わせていないので大人しく黙っておく事にした
「ナマエ、もうお前外出んな」
「…いくらなんでもそれは無理よ」
「じゃあ俺が毎回乗せてってやるから」
もう今回の様な事はこりごりだ。とでも言いたげな顔で、彼は整った顏を歪ませる。こいつなら死者蘇生くらい訳無いだろうに。どうして自分の命すら大事に出来ないこんな人間をこんなに心配できるのか私には不思議でならない。
「ごめんなさい」と、本日何度目かも分からない謝罪をすれば。
「この馬鹿め…」
ポン、と温かい手のひらが頭上に置かれた。そういえば小さい頃に絵本で読んだっけ。「お外には危険がいっぱいだ」って。まさかそれを大人になった今痛感するとは。
取り敢えずもうイヤホンして外歩くのは止めよう。と私は猛省したのだった。これ以上死にかけたくないからね。
駅前の立体駐車場にて、そんな機械音声が鳴り響く。しかし馬鹿な私はちょうどその時、イヤホンを耳にはめて爆音で音楽を聴きながらそこを通り過ぎようとしていた。命知らずもいい所である。
車のクラクションの音がイヤホン越しにも聞こえてきて、思わず横を見る。するとそこには大きな赤い自動車が。
人間の命を奪うに容易い鉄の塊が、私へと迫ってくる。これぞ辻キス5秒前。あ、これ死んだな。と、突如として脳内に流れ出す走馬灯。どうか来世も人間に生まれることが出来ますように。そう願って静かに目を閉じた瞬間。
「この馬鹿女!」
「きゃ、」
途端に、ふわりと身体が浮き上がる感覚。
目を開けてみると、そこは上空。あれ、私もう死んだのかな。と思って下を見てみると、虹色に光る鮮やかな赤い羽根が視界に入った。
「…ホウオウ」と、その羽根の持ち主の名前を呼んでみる。
羽に触れると、静かに伝わってきた温かい感触。それは、今私が生きている証拠。そのままホウオウは私を人気のない公園に下ろすと、いつもの如く人の姿へと形を変えた。
「ホウオウ」と、また彼の名前を呼んでみると。
「…頼むから命を大事にしろ!」
と、手中のイヤホンを引ったくられてそのまま地面に投げ捨てられる。ちょっとアグレッシブすぎませんか、というツッコミは心の中に留めておくことにした。流石に命を救ってもらった身だ。下手な事は言えまい
「…ごめん」
「驚かせんじゃねえよほんとに…!」
羽根と同じ色をした鮮やかな色の髪を振り乱しながら、ホウオウは私の身体を己の腕の中に閉じ込める。もう涼しい季節に差し掛かる時期だというのに、彼の額に汗が滲んでいるのが見えた。
「ホウオウ、ごめんね」
「お前ぜってえ反省してねえだろ」
「してるよ。さすがに死にかけたんだから」
「助ける俺の身にもなれよ…」
眉根を顰めて私の体を離さないホウオウ。ただの主従関係なのに、傍から見るとカップルにしか見えないから正直辞めてほしいのだが、命の恩人にそんな事言える度胸なんざ生憎持ち合わせていないので大人しく黙っておく事にした
「ナマエ、もうお前外出んな」
「…いくらなんでもそれは無理よ」
「じゃあ俺が毎回乗せてってやるから」
もう今回の様な事はこりごりだ。とでも言いたげな顔で、彼は整った顏を歪ませる。こいつなら死者蘇生くらい訳無いだろうに。どうして自分の命すら大事に出来ないこんな人間をこんなに心配できるのか私には不思議でならない。
「ごめんなさい」と、本日何度目かも分からない謝罪をすれば。
「この馬鹿め…」
ポン、と温かい手のひらが頭上に置かれた。そういえば小さい頃に絵本で読んだっけ。「お外には危険がいっぱいだ」って。まさかそれを大人になった今痛感するとは。
取り敢えずもうイヤホンして外歩くのは止めよう。と私は猛省したのだった。これ以上死にかけたくないからね。
1/1ページ