フリーザー
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僕は随分前に、ひとをころしてしまった。それは僕のトレーナーであるナマエにとって、指輪を贈りあって生涯を共に過ごすと約束した大事な大事な人間だった。
彼女が僕を捕獲した時、既に彼女はそいつのものだった。別に彼女の手持ちになった当初はその事について何とも思っていなかった。この女には既に番が居るんだなあ、としか思っていなかった筈なのに。彼女のポケモンとして一緒に過ごして絆されていく内に、僕の何かが歪んでしまったのだろう。気が付いたらそいつを絶対零度で氷漬けにしてころしていた。
その時既にナマエはその男との子供を腹に宿していて、僕は要らない爪痕を残されてしまったなあ、と男に対して更なる憎しみを覚えたけれど一切表情に出さなかった。だってそんな事したら僕がやったってナマエに勘づかれてしまうだろう。
だからその男を事故で死んだ事にして、僕はひたすら知らない振りをしながらナマエに寄り添い続けた。辛かったね、悲しいね、なんて虚偽を彼女に吐きながら、そっと彼女の背を撫でて手を握ってやる。その手にはあの憎々しい男から贈られた、ナマエの細い薬指にぴったりとはまる銀色のリングが光っている。もうこんなもの外して捨てちゃえばいいのに。僕が君にもっと似合う物を見繕ってあげるよ。
「ねえフリーザー、私、この子を幸せにしてあげられるかな」
「この子には父親が居ないから」なんて深刻そうな顔をして、ナマエは数ヶ月前に産んだあいつとの子供を優しくあやした。僕はその言葉に対して「ナマエなら絶対大丈夫だよ」と、慣れた虚偽をまたいつもの様に吐く。もう隠し通す事にも慣れてしまったなあ。まあ気づかないナマエもナマエだけど、気付かれないなら好都合だ。だからこそ僕は彼女の良き理解者を演じる事が出来るのだから。
「もうそろそろご飯の時間だね。私台所で粉ミルク溶かしてくるから、悪いけどその子見ててくれる?」
「うん、勿論」
そんなやり取りをしてナマエがキッチンに行ったのを確認すると、僕は子供の寝ているゆりかごにそっと手をかけて、ゆらゆらとそれを揺らしてやる。するとまだ幼いそいつは無垢な幼い笑みを浮かべると喜ぶような声を上げて僕を見た。実際赤子の喜ぶ事なんて知らないから、これはナマエの見様見真似なんだけど、どうやらこいつはお気に召してくれたらしい。
自分の父親をころした奴に面倒を見られているのに、それを何とも思わないなんて本当に愚かだね。そういう鈍感なところはナマエに似たのかな。彼女も彼女で僕があいつを殺した事に今でも気付いてない。親子揃って愚かだなあ。
今はまだ何にもしないでおいてやるけど、もしおまえが僕とナマエの仲を引き裂くのなら絶対に許さない。君のお父さんみたいになりたくないなら、大人しくしててよね。
彼女が僕を捕獲した時、既に彼女はそいつのものだった。別に彼女の手持ちになった当初はその事について何とも思っていなかった。この女には既に番が居るんだなあ、としか思っていなかった筈なのに。彼女のポケモンとして一緒に過ごして絆されていく内に、僕の何かが歪んでしまったのだろう。気が付いたらそいつを絶対零度で氷漬けにしてころしていた。
その時既にナマエはその男との子供を腹に宿していて、僕は要らない爪痕を残されてしまったなあ、と男に対して更なる憎しみを覚えたけれど一切表情に出さなかった。だってそんな事したら僕がやったってナマエに勘づかれてしまうだろう。
だからその男を事故で死んだ事にして、僕はひたすら知らない振りをしながらナマエに寄り添い続けた。辛かったね、悲しいね、なんて虚偽を彼女に吐きながら、そっと彼女の背を撫でて手を握ってやる。その手にはあの憎々しい男から贈られた、ナマエの細い薬指にぴったりとはまる銀色のリングが光っている。もうこんなもの外して捨てちゃえばいいのに。僕が君にもっと似合う物を見繕ってあげるよ。
「ねえフリーザー、私、この子を幸せにしてあげられるかな」
「この子には父親が居ないから」なんて深刻そうな顔をして、ナマエは数ヶ月前に産んだあいつとの子供を優しくあやした。僕はその言葉に対して「ナマエなら絶対大丈夫だよ」と、慣れた虚偽をまたいつもの様に吐く。もう隠し通す事にも慣れてしまったなあ。まあ気づかないナマエもナマエだけど、気付かれないなら好都合だ。だからこそ僕は彼女の良き理解者を演じる事が出来るのだから。
「もうそろそろご飯の時間だね。私台所で粉ミルク溶かしてくるから、悪いけどその子見ててくれる?」
「うん、勿論」
そんなやり取りをしてナマエがキッチンに行ったのを確認すると、僕は子供の寝ているゆりかごにそっと手をかけて、ゆらゆらとそれを揺らしてやる。するとまだ幼いそいつは無垢な幼い笑みを浮かべると喜ぶような声を上げて僕を見た。実際赤子の喜ぶ事なんて知らないから、これはナマエの見様見真似なんだけど、どうやらこいつはお気に召してくれたらしい。
自分の父親をころした奴に面倒を見られているのに、それを何とも思わないなんて本当に愚かだね。そういう鈍感なところはナマエに似たのかな。彼女も彼女で僕があいつを殺した事に今でも気付いてない。親子揃って愚かだなあ。
今はまだ何にもしないでおいてやるけど、もしおまえが僕とナマエの仲を引き裂くのなら絶対に許さない。君のお父さんみたいになりたくないなら、大人しくしててよね。
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