スイクン
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「何故こんな夜中に花見なんだ」
「良いじゃん夜中でも。夜桜だよ夜桜。雅じゃない?」
「私にはよくわからん」
時刻は夜中の9時半。何でこんな暗い時間に花見をしているのかって?それはずばり、明日の花見用に買った和菓子の消費期限がまさかの今日の夜までだったから。阿呆な理由だなって思ったでしょう。私もそう思うよほんとに。何で和菓子の消費期限ってこんなに短いんだろうね。
まあとにかく腐らせてしまうのは流石に勿体無いから、こうして彼を連れてお花見をしに来ているという訳だ。夜飯を食べたばかりだというのに申し訳ないが、消費期限が今日の夜までだという事に気が付いたのがまさかのついさっきだったから仕方ない仕方ない。
ちょっと多めのデザートだと思えば無問題だろう。まあとにかく2人でこの和菓子を食べきらねば家には帰ることが出来ないのだ。ごめんスイクン。
「ほらスイクン、桜ってすぐに散っちゃうんだから今の内に見とかないと損だよ損。」
「暗くて全然見えないのだが?」
「まあそう言わずに」
ひたすら和菓子を無心に片手で頬張りながら、スイクンと私は桜の木の下で温かい上着を着込んで肩を寄せ合う。今は真夜中で風も吹いてるし、尚且つ冬が開けてまだ早いから、2人こうしてくっ付いていないと凍え死んでしまいそうなのだ。まあスイクンはあんまり寒くないみたいだけど。水タイプだから寒さに慣れてるんだろうな。
「この桜餅美味いな」
「花より団子だね君ほんとに。桜も見なよ」
「これ食べきらないと帰れないんだからしょうがないだろ」
彼は舌にずっと残り続ける甘い味にウンザリしたようにそう言うと、「お前ももっと食え」と口の中に無理やり桜餅を捩じ込んできた。待って水分補給くらいさせてよ。今みたらし団子食べ終わったばっかりなのに。糖分過多でしんじゃうじゃない…いやそれはお互いに一緒か。
「そんなに早く帰りたいの?」
寒くて真っ暗な中の夜桜とは言えど、普段から旅やらバトルやらで忙しい私達にとっては年に1回行けるかどうかの花見なんだから、少しは楽しそうにしてくれても良いのになあ。まあこんな真夜中で桜の花も殆ど見えない中での花見だけど、夜桜だって風情があって良いじゃないの。まあ夜ご飯後にこんな大量の和菓子食べなきゃいけないのはほんと申し訳ないけど。
「別に早く帰りたい訳じゃない。食っても食っても減らない甘味にウンザリしてるだけだ。ナマエだってそうだろう」
「うん、まあ…私もそう思う」
2人で胃もたれしそうな身体に鞭打ちながら何とか団子を嚥下し、みたらし団子の串をゴミ袋代わりに持ってきておいた小さいナイロン袋の中に入れる。味は美味しいけど流石に飽きてきたな。チラリとスイクンの顔を見てみると、彼の顔も何だかしんどそうに見えた。まだかなり残ってるけど大丈夫だろうか。
「大丈夫?」
「問題無い。お前こそ食べきれそうか」
「何とかいけそう」
2人で残り少なくなってきた桜餅に手を伸ばすと、桜の花弁が一斉にヒラヒラと風で舞った。その光景があまりにも蠱惑的なので、私は「綺麗だね」と呟いて冷たくなってきた手をスイクンの手に被せる。彼の手もあまり温かい方では無いけれど、そんなことは私にとってあまり関係無い事で。身体が冷えたせいだろうか、何だか無性に人肌に触れたくなったのだ。
「ねえスイクン、桜に攫われないでね」
「何故私が桜に攫われるのだ」
「知らないの?桜が美しいのは人を誑かす為だって言い伝えがあるんだよ」
私がそう言った途端、スイクンは「何心配してるんだ、ナマエこそすぐに誑かされそうな癖に」と言って口元でフッと艶笑を浮かべると、揶揄する様に私の頬を抓ってきた。何すんの急に。別に心配してる訳じゃないし、すぐに誑かされる訳無いじゃない。痛いから離して。
「痛い。」
「すまんすまん。あまりにも可笑しかったからつい」
そう言ってスイクンは私の頬から手を離し、優しく抓っていた所を撫でてくれた。人間は貴方みたいなのと違って脆弱なんだから乱暴しないでよ。意地悪だなあ。
「ほら、早く和菓子食って帰るぞ。」
「そうね。冷え込んできたしね」
君を攫う桜に私はなりたい。
「良いじゃん夜中でも。夜桜だよ夜桜。雅じゃない?」
「私にはよくわからん」
時刻は夜中の9時半。何でこんな暗い時間に花見をしているのかって?それはずばり、明日の花見用に買った和菓子の消費期限がまさかの今日の夜までだったから。阿呆な理由だなって思ったでしょう。私もそう思うよほんとに。何で和菓子の消費期限ってこんなに短いんだろうね。
まあとにかく腐らせてしまうのは流石に勿体無いから、こうして彼を連れてお花見をしに来ているという訳だ。夜飯を食べたばかりだというのに申し訳ないが、消費期限が今日の夜までだという事に気が付いたのがまさかのついさっきだったから仕方ない仕方ない。
ちょっと多めのデザートだと思えば無問題だろう。まあとにかく2人でこの和菓子を食べきらねば家には帰ることが出来ないのだ。ごめんスイクン。
「ほらスイクン、桜ってすぐに散っちゃうんだから今の内に見とかないと損だよ損。」
「暗くて全然見えないのだが?」
「まあそう言わずに」
ひたすら和菓子を無心に片手で頬張りながら、スイクンと私は桜の木の下で温かい上着を着込んで肩を寄せ合う。今は真夜中で風も吹いてるし、尚且つ冬が開けてまだ早いから、2人こうしてくっ付いていないと凍え死んでしまいそうなのだ。まあスイクンはあんまり寒くないみたいだけど。水タイプだから寒さに慣れてるんだろうな。
「この桜餅美味いな」
「花より団子だね君ほんとに。桜も見なよ」
「これ食べきらないと帰れないんだからしょうがないだろ」
彼は舌にずっと残り続ける甘い味にウンザリしたようにそう言うと、「お前ももっと食え」と口の中に無理やり桜餅を捩じ込んできた。待って水分補給くらいさせてよ。今みたらし団子食べ終わったばっかりなのに。糖分過多でしんじゃうじゃない…いやそれはお互いに一緒か。
「そんなに早く帰りたいの?」
寒くて真っ暗な中の夜桜とは言えど、普段から旅やらバトルやらで忙しい私達にとっては年に1回行けるかどうかの花見なんだから、少しは楽しそうにしてくれても良いのになあ。まあこんな真夜中で桜の花も殆ど見えない中での花見だけど、夜桜だって風情があって良いじゃないの。まあ夜ご飯後にこんな大量の和菓子食べなきゃいけないのはほんと申し訳ないけど。
「別に早く帰りたい訳じゃない。食っても食っても減らない甘味にウンザリしてるだけだ。ナマエだってそうだろう」
「うん、まあ…私もそう思う」
2人で胃もたれしそうな身体に鞭打ちながら何とか団子を嚥下し、みたらし団子の串をゴミ袋代わりに持ってきておいた小さいナイロン袋の中に入れる。味は美味しいけど流石に飽きてきたな。チラリとスイクンの顔を見てみると、彼の顔も何だかしんどそうに見えた。まだかなり残ってるけど大丈夫だろうか。
「大丈夫?」
「問題無い。お前こそ食べきれそうか」
「何とかいけそう」
2人で残り少なくなってきた桜餅に手を伸ばすと、桜の花弁が一斉にヒラヒラと風で舞った。その光景があまりにも蠱惑的なので、私は「綺麗だね」と呟いて冷たくなってきた手をスイクンの手に被せる。彼の手もあまり温かい方では無いけれど、そんなことは私にとってあまり関係無い事で。身体が冷えたせいだろうか、何だか無性に人肌に触れたくなったのだ。
「ねえスイクン、桜に攫われないでね」
「何故私が桜に攫われるのだ」
「知らないの?桜が美しいのは人を誑かす為だって言い伝えがあるんだよ」
私がそう言った途端、スイクンは「何心配してるんだ、ナマエこそすぐに誑かされそうな癖に」と言って口元でフッと艶笑を浮かべると、揶揄する様に私の頬を抓ってきた。何すんの急に。別に心配してる訳じゃないし、すぐに誑かされる訳無いじゃない。痛いから離して。
「痛い。」
「すまんすまん。あまりにも可笑しかったからつい」
そう言ってスイクンは私の頬から手を離し、優しく抓っていた所を撫でてくれた。人間は貴方みたいなのと違って脆弱なんだから乱暴しないでよ。意地悪だなあ。
「ほら、早く和菓子食って帰るぞ。」
「そうね。冷え込んできたしね」
君を攫う桜に私はなりたい。
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