美しい貴方は私にこう言った

「お前は髪も身も肌も瞳も、何もかも綺麗な女だな」と。

ありがとうございます。あなたの為に必死こいて手入れしている自慢の面目ですから。

美丈夫なあなたに見合う女になりたいから。その一心で己を磨く私は、他人からすれば滑稽に見えるのでしょうか。それとも、奥ゆかしい一途な女に見えるのでしょうか。

そんな事をふと考えてしまうめんどくさい私は、本当にあなたの仰る程綺麗な女なのでしょうか。
見た目なんていくらでも磨く事は出来ても、内面はどうしようもないもの。そんな事分かりきっているのです。

「ねえレックウザ。私は貴女の言う通り、あなたに相応しい女性になれているかしら？」

『何を言い出すかと思えば』

そう言って彼は少し困ったように笑って私の頬を撫で、ひんやりとしたその白魚の様に美しい手で私の頬をなぞった。そしてそのまま手を顎へ辿り着かせると同時にゆっくりと彼の指で顔を上に上げられ、彼のドラゴンらしくキラリと光る瞳と目が合う。

「相応しいか相応しくないかなんぞ、どうでも良い事だろう？私はお前以外の女なんぞ興味もないからな」

彼はそんな砂糖のように甘い言葉を私の耳元で囁くと、口紅を施した私の唇にまるで捕食でもするかのように勢いよくかぶりつく。息をする暇もない程の長い口付けの後、ようやく離されたと思った頃にはすっかり腰砕けになってしまっていて。

頬紅を付けている私の頬が更に真っ赤に染まっていく。彼はどこまで私を溺愛すれば気が済むのだろう。この身に余るくらいの大きくて重たいあなたの愛情はきっと、私が生涯かけても受け止めきれない程に増大なものなのだろう。

「愛しているぞ。我が主」

「相変わらずよく回る口ね…私もよ、レックウザ」

どうやら彼は、私以上に面倒臭い性格らしい。