絵画
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その後も色々な絵画やらオブジェやらを小一時間程彼と2人で鑑賞して、漸く美術館から出た頃には時刻は夕方の6時半だった。もうこんな時間か。2人でお買い物も行きたかったんだけどな。やっぱりバス乗って来ればよかったかも。と少しだけ気落ちしてしまったが、取り敢えず胃がお互いに空だったので夕食を取るために近くのレストランに入った。レストランの近くには手頃なビジネスホテルもあるから、多少遅い時間になっても2人で路頭に迷う事は無いだろう。
「ナマエは何にするんですか」
「無難にミートソースパスタにするわ。ユクシーは?」
「では私もそちらを。」
ウェイトレスを呼んで2人分の注文を伝え終わると、私は今日美術館で見たあの破廉恥な絵を頭に思い浮かべた。成熟した男女2人が往来の場で欲望のままに交わる姿は、例え真っ白なキャンパスに描かれた絵であろうと、私の様な人間には刺激が強い事この上なくて。あの特に生々しく描かれていた結合部を思い出してしまって、私の頬が赤く染まるのが分かった。どうしよう思い出さなきゃ良かった。食事どころじゃ無くなってしまいそうだ。
そんな私の様子を見てユクシーは不思議そうに首を傾げると「体調でも悪いのですか」と声を掛けてくれた。私は咄嗟に「大丈夫だよ」と何とか笑顔を取り繕ってそう答えたが、赤く染まり始めた頬はすぐにいつも通りの肌色には戻ってくれなくて、頭の中で先程思い浮かべたあの絵もまだ脳内から消えてくれないしで、何だか凄く居た堪れない。早くミートソースパスタ来てくれないかな。
「…それにしても」
私が必死に脳内からあの絵を追い出そうとしていると、ユクシーはそっと口を開いた。
「それにしても先程美術館で見た絵、作者はどんな気持ちで描いたのでしょうね」
「美術館で見た絵って…どれの事?」
私がそう聞くと、ユクシーは口元に弧を描いて「ほら、男女が道端で交わってたやつです」と答える。ユクシーもあの絵が気になってたんだ。と思うと、何だか少し心が落ち着く感じがした。仲間意識の様なものだろうか。
「…案外ただの自己満足で描いただけかもしれないけどね」
先程まであの絵を思い出して顔を赤らめていた事を悟られたくなくて、私はわざと強がるようにして彼にそう返した。否、とっくに勘づかれてるかもしれないけれど。
「己の欲望のままに描いた作品…という訳ですか」
「あくまで私の予想だけれど…どうしたのよそんな考え込んで」
「いえ…欲望のままにああいったものを創っても良いのならば…ならばナマエ、私達も今夜どうですか」
「…へ!?」
突然の彼の申し出に驚いて声を発せずにいると、先程注文を取ってくれたウェイトレスが「お待たせ致しました、ミートソースパスタです」と言ってテーブルに2人分のパスタを慣れた動作で置き、「お水はサービスです。ご自由に注ぎ下さい」と言うとそそくさと去っていった。正直言ってもう今の私は食事どころじゃないし心臓がバクバクと脈打って今でも爆発してしまいそうなのだが、とりあえず胃の中が空っぽなので身体に詰め込んでおく事にしよう。ていうか何で今ここで言うの。ホテルで言ってよ。
「…まあ、良いけど」
ため息混じりにそう絞り出し、鈍い動作で私はパスタを口に放り込む。チラリと彼の顔を見てみると、涼しい動作でパスタをフォークに巻いていた。まったく本当に自分勝手な男だこと。
「ナマエは何にするんですか」
「無難にミートソースパスタにするわ。ユクシーは?」
「では私もそちらを。」
ウェイトレスを呼んで2人分の注文を伝え終わると、私は今日美術館で見たあの破廉恥な絵を頭に思い浮かべた。成熟した男女2人が往来の場で欲望のままに交わる姿は、例え真っ白なキャンパスに描かれた絵であろうと、私の様な人間には刺激が強い事この上なくて。あの特に生々しく描かれていた結合部を思い出してしまって、私の頬が赤く染まるのが分かった。どうしよう思い出さなきゃ良かった。食事どころじゃ無くなってしまいそうだ。
そんな私の様子を見てユクシーは不思議そうに首を傾げると「体調でも悪いのですか」と声を掛けてくれた。私は咄嗟に「大丈夫だよ」と何とか笑顔を取り繕ってそう答えたが、赤く染まり始めた頬はすぐにいつも通りの肌色には戻ってくれなくて、頭の中で先程思い浮かべたあの絵もまだ脳内から消えてくれないしで、何だか凄く居た堪れない。早くミートソースパスタ来てくれないかな。
「…それにしても」
私が必死に脳内からあの絵を追い出そうとしていると、ユクシーはそっと口を開いた。
「それにしても先程美術館で見た絵、作者はどんな気持ちで描いたのでしょうね」
「美術館で見た絵って…どれの事?」
私がそう聞くと、ユクシーは口元に弧を描いて「ほら、男女が道端で交わってたやつです」と答える。ユクシーもあの絵が気になってたんだ。と思うと、何だか少し心が落ち着く感じがした。仲間意識の様なものだろうか。
「…案外ただの自己満足で描いただけかもしれないけどね」
先程まであの絵を思い出して顔を赤らめていた事を悟られたくなくて、私はわざと強がるようにして彼にそう返した。否、とっくに勘づかれてるかもしれないけれど。
「己の欲望のままに描いた作品…という訳ですか」
「あくまで私の予想だけれど…どうしたのよそんな考え込んで」
「いえ…欲望のままにああいったものを創っても良いのならば…ならばナマエ、私達も今夜どうですか」
「…へ!?」
突然の彼の申し出に驚いて声を発せずにいると、先程注文を取ってくれたウェイトレスが「お待たせ致しました、ミートソースパスタです」と言ってテーブルに2人分のパスタを慣れた動作で置き、「お水はサービスです。ご自由に注ぎ下さい」と言うとそそくさと去っていった。正直言ってもう今の私は食事どころじゃないし心臓がバクバクと脈打って今でも爆発してしまいそうなのだが、とりあえず胃の中が空っぽなので身体に詰め込んでおく事にしよう。ていうか何で今ここで言うの。ホテルで言ってよ。
「…まあ、良いけど」
ため息混じりにそう絞り出し、鈍い動作で私はパスタを口に放り込む。チラリと彼の顔を見てみると、涼しい動作でパスタをフォークに巻いていた。まったく本当に自分勝手な男だこと。