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目を覚ますと、そこは何も無い真っ暗な空間だった。前を向いても後ろを向いても、そこにあるのは出口も入口も見当たらない暗い空間のみで、私はそんな空間に1人ぽつんと突っ立っている状態だった。
生憎私には自分自身の記憶が存在しない為、この空虚で真っ暗な空間に対して恐怖心というものはあまり湧いて来なかった。どちらかと言えば、何故今自分がこんな空間にいるのか、という疑問の方が私の頭を強く支配している。もしかして、私自身はもう既に帰らぬ人となっているのだろうか。そのショックで記憶を無くしてしまったのではないか、とあらぬ妄想をしてみても、答えを教えてくれる人は今の所誰も居ない。
取り敢えずこの辺を少し歩いてみようかな、もしかしたら出口があるかも。と思い立ち、この何も無い空間を見渡してみると。
「ちょっとアンタ!起きるのが遅いじゃない!こっちはずーっと話かけてあげてたってのに!」
「あ、キミやっと起きたの、おはよ。それはそうとエム、煩いよ」
途端に後ろから聞こえてきた、聞き覚えのある落ち着いた低い声と、キンキンと頭に響く高い声。私以外にも人が居たのか、というかこの声はさっきまで聞いていた声ではないのか。と頭が混乱しそうなのを何とか抑えつつ、おずおずと後ろを振り向いてみると、そこには青い髪の毛を持つ男性と、桃色の髪を持つ女性の姿があった。2人とも額に赤い宝石の様なものを埋め込んでいて、何となく不思議な雰囲気を纏っていた。
「ナマエ、久しぶり。…といっても記憶が無いから分からないよね…」
「ちょっとアグ、アンタ落ち着きすぎじゃない!?仮にもアタシ達の兄弟がやばい事やらかしてるっていうのに…!」
「…こういう時こそ落ち着くべきだよ、エム。それにナマエが混乱してるだろう」
「え、え…?」
急に出てきて一方的に話し始めた青い人と桃色の人。知らない筈のその2人が聞き覚えのある声で話すものだから、私の脳の容量とうとうキャパオーバーしてしまった。取り敢えず目を白黒させながら2人を交互に見やり、軽く会釈をして様子を見てみることにする。この人達の不思議な雰囲気に飲まれない様にするだけで正直精一杯なので、言葉を発する余裕は今の私にはなかった。
すると、青い人は私が混乱している事に気が付いてくれたのか、ゆっくりと私に目線を合わせて微笑みを返してくれた。額の赤い宝石がキラリと光って思わず目を奪われたが、ずっと見ているのも失礼だと思い、もっと見ていたい気持ちをぐっと堪えて私はそこからめを逸らした。
「…ごめんね騒がしくて。今ちゃんと説明するからね」
「説明…?」
「そ、説明。キミの記憶が消えてしまった原因についてと…あと、ボク達について」
「私の記憶と、あなた達について…」
青い人に言われた情報を、ゆっくりと噛み砕いて理解する。情報が一切存在しない空っぽの脳味噌がそれを受け入れてくれるのに、時間は掛からなかった。
「そーよそーよ!アンタ今記憶が無いんだから、改めてアタシ達の事ちゃーんと知って貰わないと!」
私の不安な気持ちが桃色の人の元気な声に掻き消されてゆく感覚に妙な安心感を覚えながら、私は暗い空間の中でこの2人に色々と説明を受ける事になったのであった。
生憎私には自分自身の記憶が存在しない為、この空虚で真っ暗な空間に対して恐怖心というものはあまり湧いて来なかった。どちらかと言えば、何故今自分がこんな空間にいるのか、という疑問の方が私の頭を強く支配している。もしかして、私自身はもう既に帰らぬ人となっているのだろうか。そのショックで記憶を無くしてしまったのではないか、とあらぬ妄想をしてみても、答えを教えてくれる人は今の所誰も居ない。
取り敢えずこの辺を少し歩いてみようかな、もしかしたら出口があるかも。と思い立ち、この何も無い空間を見渡してみると。
「ちょっとアンタ!起きるのが遅いじゃない!こっちはずーっと話かけてあげてたってのに!」
「あ、キミやっと起きたの、おはよ。それはそうとエム、煩いよ」
途端に後ろから聞こえてきた、聞き覚えのある落ち着いた低い声と、キンキンと頭に響く高い声。私以外にも人が居たのか、というかこの声はさっきまで聞いていた声ではないのか。と頭が混乱しそうなのを何とか抑えつつ、おずおずと後ろを振り向いてみると、そこには青い髪の毛を持つ男性と、桃色の髪を持つ女性の姿があった。2人とも額に赤い宝石の様なものを埋め込んでいて、何となく不思議な雰囲気を纏っていた。
「ナマエ、久しぶり。…といっても記憶が無いから分からないよね…」
「ちょっとアグ、アンタ落ち着きすぎじゃない!?仮にもアタシ達の兄弟がやばい事やらかしてるっていうのに…!」
「…こういう時こそ落ち着くべきだよ、エム。それにナマエが混乱してるだろう」
「え、え…?」
急に出てきて一方的に話し始めた青い人と桃色の人。知らない筈のその2人が聞き覚えのある声で話すものだから、私の脳の容量とうとうキャパオーバーしてしまった。取り敢えず目を白黒させながら2人を交互に見やり、軽く会釈をして様子を見てみることにする。この人達の不思議な雰囲気に飲まれない様にするだけで正直精一杯なので、言葉を発する余裕は今の私にはなかった。
すると、青い人は私が混乱している事に気が付いてくれたのか、ゆっくりと私に目線を合わせて微笑みを返してくれた。額の赤い宝石がキラリと光って思わず目を奪われたが、ずっと見ているのも失礼だと思い、もっと見ていたい気持ちをぐっと堪えて私はそこからめを逸らした。
「…ごめんね騒がしくて。今ちゃんと説明するからね」
「説明…?」
「そ、説明。キミの記憶が消えてしまった原因についてと…あと、ボク達について」
「私の記憶と、あなた達について…」
青い人に言われた情報を、ゆっくりと噛み砕いて理解する。情報が一切存在しない空っぽの脳味噌がそれを受け入れてくれるのに、時間は掛からなかった。
「そーよそーよ!アンタ今記憶が無いんだから、改めてアタシ達の事ちゃーんと知って貰わないと!」
私の不安な気持ちが桃色の人の元気な声に掻き消されてゆく感覚に妙な安心感を覚えながら、私は暗い空間の中でこの2人に色々と説明を受ける事になったのであった。