ビリジオン
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手持ちのポケモンたちと森を散歩している途中、人の唸り声の様なものが聞こえた様な気がして、私は当たりを見回す。すると手持ちの1匹が何かに気付いた様子で鳴き声を上げて走って行った為、私も急いでその子を追いかけた。
「!!」
漸く追い付いた先には、伝説のポケモンであるビリジオンが前足を庇うように蹲っていた。恐らく弱っていた所を他のポケモンに襲われたのだろう。前足からは血が流れ出ていて痛々しい。手当てをしてあげるべきだろうか、と思い立ち、私は蹲るビリジオンにそっと近づいてゆく。
「ねえあなた、それどうしたの…?」
「……」
だがビリジオンは何も言わず、虚ろな目で此方をじっと見つめるだけだ。取り敢えず私は敵意が無い事を証明するために手持ちのポケモンをボールへと戻し、少し離れた所からビリジオンに話し掛けようと口を開く。だがその前に、ビリジオンが抑揚のない声で私にこう言った。
「手当なら必要ありません。殺すなら殺してください。私は人間に助けられるなんて屈辱です。」
そう言ってビリジオンは此方を睨みつけるが、やはり傷が疼くのだろう。傷付いた前足を庇いながら蹲っている。その姿は、私に助けを求めている様に見て取れた。
「本当は、助けて欲しいんでしょう。」
「…どうしてそう解釈するんです。人間の癖に知った様な口を聞かないで下さい」
「意外と生意気ねあなた…ほら、ちょっと大人しくしててね。」
そう言うと私は、鞄の中をゴソゴソと漁り、包帯とキズぐすり…ではなく、「M」と書かれた紫色のボールを取り出してそっとビリジオンに当てる。そして暫く経つと、カチッと言う音が聞こえ、ボールの揺れが収まる。私はそれを確認すると、来た道を引き返し、自宅へと歩を進めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…何故こんなことしたんですか!何で私が人間なんかに助けられなきゃいけないんです!早く逃がして下さい!屈辱ですこんなの!」
そうして無事家に着き、リビングへ上がってビリジオンをボールから出した途端にこれである。まあ正直分かってはいたし、いきなりマスボで捕獲した事に関しては私が100パー悪いと思う。ごめんビリジオン。でも正直さっきの原型の姿も綺麗だけど、人の姿になってる今の姿もイケメンで私好み…なんて言ってる場合じゃない。まずは彼を落ち着かせなくては。
「まあ落ち着いてよ…別にあなたのこと助けた訳じゃないよ。」
「…じゃあ何で私を捕獲したんです。」
「あの森ね、私の散歩コースなの。だから、あそこで死なれたら嫌だから死なないように捕獲しただけ。それにあなた、私に手当されたくない様子だったから。こうするしか無かったの、ごめんごめん。」
「………」
彼…ビリジオンは無言で此方を睨んでいる。まあ当然だろう、もし私が彼と同じ立場なら同じ反応をすると思う。だが今はそんな事より、彼の手当てが先だ。私はビリジオンをソファーに座らせると、消毒液やら傷薬などポケモンに使う道具一式を取り出す。そして手当ての為の準備をしつつ口を開いた。
「まあこれも何かの縁だしさ、傷が治るまではこの家にいてくれる?このままあなたを逃がして、そこら辺で野垂れ死になんてされたら私も夢見が悪いもの。その代わり、傷が治りさえすればここから出ていこうがそのまま私のポケモンになろうが好きにしてくれていいから。」
私がそう言うと、ビリジオンは暫くの間無言で私を見ていたが、やがて観念したように溜息をひとつ吐いた。
「…分かりましたよ。傷が治り次第また考える事にします。取り敢えず手当をして頂けますか。というかあなたの名前は何なんです。なんて呼んだらいいのか分かりません。」
「よしきた。それじゃ、大人しくしててね。それから、わたしの名前はナマエよ、よろしくね。」
私はそう言うと、彼の傷に薬を塗って包帯を巻いてゆく。傷が痛むのか時々小さく呻く様な声が聞こえるが、それでもじっと私の作業を見ているということは嫌ではないのだろう。
そしてキズぐすりを塗り終わり、包帯を巻いて固定する。そしてビリジオンの目を見つめ、私は笑ってこう言った。
「これからよろしく、ビリジオン」
「はぁ…人間と生活するなんて屈辱でしかありませんが、こうなってしまっては仕方ありませんね…貴女が私を捕獲したことは事実ですが、だからと言って私が貴女に服従する訳では無いんですからね。勘違いしないで下さいよ?あくまで私は人間が嫌いだと言うことを覚えていて下さいね。」
こうして先行きが不安ではあるが、私と彼の奇妙な生活が始まったのだった。
この後ビリジオンはしっかりナマエに懐柔され、ナマエに対してデレデレの甘々なダメ聖剣士になるのですが、それはまた別のお話。
「!!」
漸く追い付いた先には、伝説のポケモンであるビリジオンが前足を庇うように蹲っていた。恐らく弱っていた所を他のポケモンに襲われたのだろう。前足からは血が流れ出ていて痛々しい。手当てをしてあげるべきだろうか、と思い立ち、私は蹲るビリジオンにそっと近づいてゆく。
「ねえあなた、それどうしたの…?」
「……」
だがビリジオンは何も言わず、虚ろな目で此方をじっと見つめるだけだ。取り敢えず私は敵意が無い事を証明するために手持ちのポケモンをボールへと戻し、少し離れた所からビリジオンに話し掛けようと口を開く。だがその前に、ビリジオンが抑揚のない声で私にこう言った。
「手当なら必要ありません。殺すなら殺してください。私は人間に助けられるなんて屈辱です。」
そう言ってビリジオンは此方を睨みつけるが、やはり傷が疼くのだろう。傷付いた前足を庇いながら蹲っている。その姿は、私に助けを求めている様に見て取れた。
「本当は、助けて欲しいんでしょう。」
「…どうしてそう解釈するんです。人間の癖に知った様な口を聞かないで下さい」
「意外と生意気ねあなた…ほら、ちょっと大人しくしててね。」
そう言うと私は、鞄の中をゴソゴソと漁り、包帯とキズぐすり…ではなく、「M」と書かれた紫色のボールを取り出してそっとビリジオンに当てる。そして暫く経つと、カチッと言う音が聞こえ、ボールの揺れが収まる。私はそれを確認すると、来た道を引き返し、自宅へと歩を進めた。
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「…何故こんなことしたんですか!何で私が人間なんかに助けられなきゃいけないんです!早く逃がして下さい!屈辱ですこんなの!」
そうして無事家に着き、リビングへ上がってビリジオンをボールから出した途端にこれである。まあ正直分かってはいたし、いきなりマスボで捕獲した事に関しては私が100パー悪いと思う。ごめんビリジオン。でも正直さっきの原型の姿も綺麗だけど、人の姿になってる今の姿もイケメンで私好み…なんて言ってる場合じゃない。まずは彼を落ち着かせなくては。
「まあ落ち着いてよ…別にあなたのこと助けた訳じゃないよ。」
「…じゃあ何で私を捕獲したんです。」
「あの森ね、私の散歩コースなの。だから、あそこで死なれたら嫌だから死なないように捕獲しただけ。それにあなた、私に手当されたくない様子だったから。こうするしか無かったの、ごめんごめん。」
「………」
彼…ビリジオンは無言で此方を睨んでいる。まあ当然だろう、もし私が彼と同じ立場なら同じ反応をすると思う。だが今はそんな事より、彼の手当てが先だ。私はビリジオンをソファーに座らせると、消毒液やら傷薬などポケモンに使う道具一式を取り出す。そして手当ての為の準備をしつつ口を開いた。
「まあこれも何かの縁だしさ、傷が治るまではこの家にいてくれる?このままあなたを逃がして、そこら辺で野垂れ死になんてされたら私も夢見が悪いもの。その代わり、傷が治りさえすればここから出ていこうがそのまま私のポケモンになろうが好きにしてくれていいから。」
私がそう言うと、ビリジオンは暫くの間無言で私を見ていたが、やがて観念したように溜息をひとつ吐いた。
「…分かりましたよ。傷が治り次第また考える事にします。取り敢えず手当をして頂けますか。というかあなたの名前は何なんです。なんて呼んだらいいのか分かりません。」
「よしきた。それじゃ、大人しくしててね。それから、わたしの名前はナマエよ、よろしくね。」
私はそう言うと、彼の傷に薬を塗って包帯を巻いてゆく。傷が痛むのか時々小さく呻く様な声が聞こえるが、それでもじっと私の作業を見ているということは嫌ではないのだろう。
そしてキズぐすりを塗り終わり、包帯を巻いて固定する。そしてビリジオンの目を見つめ、私は笑ってこう言った。
「これからよろしく、ビリジオン」
「はぁ…人間と生活するなんて屈辱でしかありませんが、こうなってしまっては仕方ありませんね…貴女が私を捕獲したことは事実ですが、だからと言って私が貴女に服従する訳では無いんですからね。勘違いしないで下さいよ?あくまで私は人間が嫌いだと言うことを覚えていて下さいね。」
こうして先行きが不安ではあるが、私と彼の奇妙な生活が始まったのだった。
この後ビリジオンはしっかりナマエに懐柔され、ナマエに対してデレデレの甘々なダメ聖剣士になるのですが、それはまた別のお話。
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