「アイスたべたい…」

そう言って私は力無くフローリングの床に横たわり、ボーッと天井を見つめた。外に出てアイスを買って来ようにも暑すぎて出たくないし、そもそも動く気力すらどこかに行ってしまった。

「僕にこんな事させておいて、よくそんな呑気な事言えるよね…そういう君の無粋な神経だけは尊敬に値するよ」

彼…フリーザーはそう言い、自分の周りに置かれた冷凍品を見てため息をつく。仕方ないだろだって冷蔵庫が急に壊れたんだから。それにフリーザーは氷タイプの為、こういう時非常に役立つのだ。本人に言ったら絶対怒られるけど

「仕方ないでしょー、だってあんた氷タイプだし。
明日になったら新しい冷蔵庫買ってくるから、今日はとりあえずそこで1日過ごして？ね？」

「あーあ、退屈で死にそうだよ…これ、いつになったら解放してもらえる訳？」

そんな彼の質問を無視して、私は暑さを少しでも和らげようと彼の近くへと転がった。こうなったらプライドなんて捨てて私も冷凍品になってやる。

「フリーザー、私の事も冷やして」そう言うと私はフローリングの床から起き上がり、冷凍品の間に座る。プライドは捨てた。

だがしかし「こんなでかい冷凍品は無理」とフリーザーに一蹴りされ、挙句の果てに冷凍品を額にぶつけられる始末である。私、一応君のトレーナーなんだけどな…

「自分のトレーナーに食べ物ぶつける威厳の無い伝説ポケモンなんてフリーザーくらいじゃない？」

「自分のポケモンを冷凍庫代わりにする馬鹿なトレーナーもナマエくらいだろうね」

お互いにそんな減らず口を叩きながらも、フリーザーは目を細めて私の頭をひんやりした冷たい手で撫でてくれる。相変わらず行動の読めない奴だ。

「何急に」

「熱中症になられても困るから。」


素っ気なく返事をする彼だが、彼の目には優しさと温かさが入り交じっている。氷タイプの彼には温かさなんて存在しない筈なのに。そんな彼がおかしくて、私は意味もない笑みを浮かべながら、フリーザーの冷たい温かさを噛み締めた。