01
主人公のお名前を。無ければ「沙苗」に。
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私は、陵安という穏やかな商人に養子として迎えられた。
陵安の妻、名は瞑といい、陵安同様穏やかな性格で、私の養子入りを喜び日々可愛がってくれる。
「と、とんでもない人だった…」
しかし、安心したのも束の間、私の養父となった人は、王宮の人間に絶大な信頼を寄せられている、名の知れた商人だという事が判明した。失礼だが、穏やかな見た目もあって、正直全くそうは見えない。
良い人ではあるものの、私と同じくらい謎が多いのでは?と思ってしまう。
「呂丞相という方がいるんだがね、私はその方と前から交流があるんだ。あの方は本当に凄い方でね…」
「…!!」
何なの…?
今、さらっと"呂丞相"って……
それはつまり呂不韋の事でしょ…?
古代中国、戦国時代では、超が付くほどの有名人だ…
そんな人物との交流があるという事は、陵安は国を代表する大商人ということでは?
どうあれ、呂不韋とはあまり関わりたくない。なるべくは呂不韋というワードに触れず、何かに巻き込まれないようにしよう…
陵安は、よく商売相手の話をしてくれる。
その他にも、陵安はこの国の字が書けない私に教育係を付け、文字以外にも多くの事を学ばせてくれた。
商人の娘というのも大変なんだなぁと、日々思いはするけれど、大学時代よりも学ぶ事が多くて楽しさの方が勝る。
…時々、文字は書けないのに、会話ができる事に疑問はあれど、今はあまり考えない様にしている。本当に不思議だけど、言葉が通じるだけでも有り難い。
それと、自分は幸運だと心底実感した。時代を遡った異郷の地で、偶然にも優しい人達と出会い、教育を受け、生活を保証された中で生きていられる。
何もわからないまま死んでいてもおかしくないのに、こうして生きている。
「ああ、沙苗。」
「は、はい、なんでしょうか?」
考え事をしていると、養父が急に真剣な表情で話しかけてきた。
「近頃、この付近も含めて盗賊が町に現れては暴れているそうだ。気をつけなさい。」
供回りを連れての外出許可を得てからというもの、私は授業終わりに町へ繰り出すことが多くなった。
「町の人達が盗みに入られたと困っていましたね。ああ、町へ行く際は気をつけるので、安心して下さい。」
今の王宮は混乱状態にあるそうで、この件は手付かずなのだろう。
とりあえず、養父を安心させる為、はにかみながら答える。養父は困ったようにこちらを見た。
「…君が、町へ出るようになってから、町の人々が抱える問題が出てくるたびに解決に回っていたそうだね。」
「あ、えー…その、解決できそうだったので…」
そう言うと、さらに困った顔になった。
「それをした事で、君に依頼が次々とくるようになったんだね?」
「はは……」
まさにその通り。一つの問題解決が評判を呼んだのか、次々と依頼が来た。
「君のお陰で今まで以上に商売が繁盛した。とても喜ばしいよ。…しかしね、何か大事に巻き込まれないか心配なんだ。くれぐれも、今回の件だけは落ち着くまで…」
「りょっ、陵安様!お話のところ申し訳ありませんが、おっ、お客様が!!」
養父の言葉を遮って使用人が真っ青な顔で現れた。
「そこまで焦るとは珍しい。…お客人とはどの様な御仁だい?」
先程までの表情はどこへやら、商人としての顔に変わった。
「は、はいっ。そ、それが、お、王騎様がっ…!」
「なんとそうであったか!今すぐ通しなさい!」
養父が焦り始め、立ち上がって部屋から出ようとする。
それにしても"王騎"という名前……聞いたことある様な…
「あの、陵安様、それがですね…」
「ココココ、ご機嫌いかがでしょうか、陵安。」
誰か影から出てきた。養父は驚いて目を見開いている。
「…!?」
王騎…思い出したかも。
この口調、プルプル唇に、眼力。
--圧倒的存在感。
確か、漫画の…キングダム、だった筈…
「ああ、王騎将軍!大変申し訳ありません。娘と話をしておりまして…。どうかお許しを。」
養父は深々と頭を下げ、「ささっ」と部屋へと促した。
「っ…!」
大将軍のオーラというものを、初めて目にした。
声など、とても出せない。
陵安の妻、名は瞑といい、陵安同様穏やかな性格で、私の養子入りを喜び日々可愛がってくれる。
「と、とんでもない人だった…」
しかし、安心したのも束の間、私の養父となった人は、王宮の人間に絶大な信頼を寄せられている、名の知れた商人だという事が判明した。失礼だが、穏やかな見た目もあって、正直全くそうは見えない。
良い人ではあるものの、私と同じくらい謎が多いのでは?と思ってしまう。
「呂丞相という方がいるんだがね、私はその方と前から交流があるんだ。あの方は本当に凄い方でね…」
「…!!」
何なの…?
今、さらっと"呂丞相"って……
それはつまり呂不韋の事でしょ…?
古代中国、戦国時代では、超が付くほどの有名人だ…
そんな人物との交流があるという事は、陵安は国を代表する大商人ということでは?
どうあれ、呂不韋とはあまり関わりたくない。なるべくは呂不韋というワードに触れず、何かに巻き込まれないようにしよう…
陵安は、よく商売相手の話をしてくれる。
その他にも、陵安はこの国の字が書けない私に教育係を付け、文字以外にも多くの事を学ばせてくれた。
商人の娘というのも大変なんだなぁと、日々思いはするけれど、大学時代よりも学ぶ事が多くて楽しさの方が勝る。
…時々、文字は書けないのに、会話ができる事に疑問はあれど、今はあまり考えない様にしている。本当に不思議だけど、言葉が通じるだけでも有り難い。
それと、自分は幸運だと心底実感した。時代を遡った異郷の地で、偶然にも優しい人達と出会い、教育を受け、生活を保証された中で生きていられる。
何もわからないまま死んでいてもおかしくないのに、こうして生きている。
「ああ、沙苗。」
「は、はい、なんでしょうか?」
考え事をしていると、養父が急に真剣な表情で話しかけてきた。
「近頃、この付近も含めて盗賊が町に現れては暴れているそうだ。気をつけなさい。」
供回りを連れての外出許可を得てからというもの、私は授業終わりに町へ繰り出すことが多くなった。
「町の人達が盗みに入られたと困っていましたね。ああ、町へ行く際は気をつけるので、安心して下さい。」
今の王宮は混乱状態にあるそうで、この件は手付かずなのだろう。
とりあえず、養父を安心させる為、はにかみながら答える。養父は困ったようにこちらを見た。
「…君が、町へ出るようになってから、町の人々が抱える問題が出てくるたびに解決に回っていたそうだね。」
「あ、えー…その、解決できそうだったので…」
そう言うと、さらに困った顔になった。
「それをした事で、君に依頼が次々とくるようになったんだね?」
「はは……」
まさにその通り。一つの問題解決が評判を呼んだのか、次々と依頼が来た。
「君のお陰で今まで以上に商売が繁盛した。とても喜ばしいよ。…しかしね、何か大事に巻き込まれないか心配なんだ。くれぐれも、今回の件だけは落ち着くまで…」
「りょっ、陵安様!お話のところ申し訳ありませんが、おっ、お客様が!!」
養父の言葉を遮って使用人が真っ青な顔で現れた。
「そこまで焦るとは珍しい。…お客人とはどの様な御仁だい?」
先程までの表情はどこへやら、商人としての顔に変わった。
「は、はいっ。そ、それが、お、王騎様がっ…!」
「なんとそうであったか!今すぐ通しなさい!」
養父が焦り始め、立ち上がって部屋から出ようとする。
それにしても"王騎"という名前……聞いたことある様な…
「あの、陵安様、それがですね…」
「ココココ、ご機嫌いかがでしょうか、陵安。」
誰か影から出てきた。養父は驚いて目を見開いている。
「…!?」
王騎…思い出したかも。
この口調、プルプル唇に、眼力。
--圧倒的存在感。
確か、漫画の…キングダム、だった筈…
「ああ、王騎将軍!大変申し訳ありません。娘と話をしておりまして…。どうかお許しを。」
養父は深々と頭を下げ、「ささっ」と部屋へと促した。
「っ…!」
大将軍のオーラというものを、初めて目にした。
声など、とても出せない。