06
主人公のお名前を。無ければ「沙苗」に。
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_ _ _
「…昌平君よ、そなた陵安の娘を知っておるか。」
「は。…民からの信頼が厚い優秀な人物だと。」
魏国の少梁で、秦国の丞相"呂不韋"と呂氏四柱の一人"昌平君"が話をしていた。
「はっはっはっ、やはり知っておったか。…して、そなたはどう思う?」
呂不韋は視線を昌平君へと向ける。
視線を投げかけられた昌平君は、手元に持つ木簡に少し視線を滑らせた後、呂不韋の方を向き答えた。
「…実際に会ってはいない故、今はわかりかねます。…ですが、近頃秦国内を騒がせていた盗賊を、王騎軍を動かし撃退。彼女は策も考えたそうです。私は、是非手中に収めたいと思っています。」
返答を聞いた呂不韋は、ニヤリと口角を上げ満足そうに頷いた。
「そなたならそう言うと思っていたぞ。…儂ものォ、陵安の娘が噂通りならばこちらに引き入れようかと考えている。優秀で民の信頼も得るような娘だ、こちらに引き入れればこの先利用価値はいくらでもあるだろう。」
「は。」
「しかし…」
まだ何かあるのか続ける。
「陵安の娘、そなたに譲ろう。王宮で王弟の反乱が起き、その時儂は動かなかったからのォ…これからまた面倒な事になる。だからそなたに任せよう。…ああ、陵安の娘はこれから趙国の春平君に会いに行くそうだ。その後にでもどうだ?」
「春平君、ですか。」
「そうじゃ。昨日突然儂に書簡がとどいてのォ。春平君が陵安の娘の噂をどこからか聞いたそうでな、会ってみたい故陵安に頼んではくれぬか、と。儂としては面倒でならん。…だが、娘が趙国とも関わり合いを持てば価値が更に上がるであろう?手助けすることにした。」
呂不韋はなんとでもないといった様子で自身の髭を撫で、目を細めた。
「…では、陵安が趙国から戻った際に会うことに致します。丞相、よろしいでしょうか。」
「はっはっはっ!構わん。そなたが動きやすい様、少し手を回しておこう。」
昌平君は木簡を置くと、呂不韋に向かって拱手した。
「感謝致します。」
_ _ _
「…父上、つまり断れなかった背景には、呂不韋丞相が関わっていると…」
まさか、養父の元に趙国太子偃(えん※悼襄王)に寵愛されている春平君からの書簡と、次いでそれを支援するかの如く呂不韋丞相からも書簡が届くなど…
「ああ。盗賊が撃退された事といい、今までの事といい、君の事を趙国の商人が話していたところを聞いていたんだろう…」
ちょっと、原因作った商人誰…!?
「君には色々聞かなければいけないこともあるが…今はまず趙国の方へ急がなければ…」
ドタバタと慌てふためきながら移動を開始する。
「父上、王騎様には…!」
足早に進みながら聞けば、縦に首を振るので伝えてはいるようだ。
しかし、こちらとしては挨拶をしてから去りたいところ…
残念に思いながらも足を進めれば、目の前に大きな影がかかり、ぶつかった。
「あだっ…!」
鼻を思いきりぶつけて涙が出る。…女らしい声が出せなかったことは触れないことにしよう。
「す、すみませっ…」
「ココココ、あまり焦るものでもありませんよォ。」
「…王騎様!」
涙目で見上げれば王騎将軍が居り、嬉しさで名前を呼んでしまった。
やはり何も言わないまま去るのは嫌だ。
「陵安、少しは落ち着いたらどうですか。ンフフ、あなたらしくないではありませんか。」
「ああいや、申し訳ありません…まさかこの様な事になるとは思っておらず…」
養父は困ったような顔で頭を下げ、謝る。
「趙国へは今すぐ向かうそうですが…実は私もあちらに用があって向かおうかと。陵安、ご一緒にどうですか?」
「ああ、それは是非とも……えぇっ!?し、将軍も趙国へ…?まさか…れ、廉頗将軍にお会いに…?」
廉頗将軍、廉頗……廉頗将軍!?まさかあの趙国三大天の廉頗将軍…!?
…さすがは王騎将軍。
敵であるというのに、会いにいけるとは…
この最強の人達だからこそ許されるのだろう。
「ええ、呼ばれてしまいましたからねェ。ああ、安心しなさい陵安。あなたも呼ばれていますよォ。」
「わ、私もですか…。となると…沙苗も、という事ですね…」
「察しが良くて助かりますよ、陵安。ンフフ、用が済んだらこちらも頼みますよォ。」
………私も、会うのか。
「…父上、あの…」
「…すまない。来て、くれるね?」
「は、はい…」
「…昌平君よ、そなた陵安の娘を知っておるか。」
「は。…民からの信頼が厚い優秀な人物だと。」
魏国の少梁で、秦国の丞相"呂不韋"と呂氏四柱の一人"昌平君"が話をしていた。
「はっはっはっ、やはり知っておったか。…して、そなたはどう思う?」
呂不韋は視線を昌平君へと向ける。
視線を投げかけられた昌平君は、手元に持つ木簡に少し視線を滑らせた後、呂不韋の方を向き答えた。
「…実際に会ってはいない故、今はわかりかねます。…ですが、近頃秦国内を騒がせていた盗賊を、王騎軍を動かし撃退。彼女は策も考えたそうです。私は、是非手中に収めたいと思っています。」
返答を聞いた呂不韋は、ニヤリと口角を上げ満足そうに頷いた。
「そなたならそう言うと思っていたぞ。…儂ものォ、陵安の娘が噂通りならばこちらに引き入れようかと考えている。優秀で民の信頼も得るような娘だ、こちらに引き入れればこの先利用価値はいくらでもあるだろう。」
「は。」
「しかし…」
まだ何かあるのか続ける。
「陵安の娘、そなたに譲ろう。王宮で王弟の反乱が起き、その時儂は動かなかったからのォ…これからまた面倒な事になる。だからそなたに任せよう。…ああ、陵安の娘はこれから趙国の春平君に会いに行くそうだ。その後にでもどうだ?」
「春平君、ですか。」
「そうじゃ。昨日突然儂に書簡がとどいてのォ。春平君が陵安の娘の噂をどこからか聞いたそうでな、会ってみたい故陵安に頼んではくれぬか、と。儂としては面倒でならん。…だが、娘が趙国とも関わり合いを持てば価値が更に上がるであろう?手助けすることにした。」
呂不韋はなんとでもないといった様子で自身の髭を撫で、目を細めた。
「…では、陵安が趙国から戻った際に会うことに致します。丞相、よろしいでしょうか。」
「はっはっはっ!構わん。そなたが動きやすい様、少し手を回しておこう。」
昌平君は木簡を置くと、呂不韋に向かって拱手した。
「感謝致します。」
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「…父上、つまり断れなかった背景には、呂不韋丞相が関わっていると…」
まさか、養父の元に趙国太子偃(えん※悼襄王)に寵愛されている春平君からの書簡と、次いでそれを支援するかの如く呂不韋丞相からも書簡が届くなど…
「ああ。盗賊が撃退された事といい、今までの事といい、君の事を趙国の商人が話していたところを聞いていたんだろう…」
ちょっと、原因作った商人誰…!?
「君には色々聞かなければいけないこともあるが…今はまず趙国の方へ急がなければ…」
ドタバタと慌てふためきながら移動を開始する。
「父上、王騎様には…!」
足早に進みながら聞けば、縦に首を振るので伝えてはいるようだ。
しかし、こちらとしては挨拶をしてから去りたいところ…
残念に思いながらも足を進めれば、目の前に大きな影がかかり、ぶつかった。
「あだっ…!」
鼻を思いきりぶつけて涙が出る。…女らしい声が出せなかったことは触れないことにしよう。
「す、すみませっ…」
「ココココ、あまり焦るものでもありませんよォ。」
「…王騎様!」
涙目で見上げれば王騎将軍が居り、嬉しさで名前を呼んでしまった。
やはり何も言わないまま去るのは嫌だ。
「陵安、少しは落ち着いたらどうですか。ンフフ、あなたらしくないではありませんか。」
「ああいや、申し訳ありません…まさかこの様な事になるとは思っておらず…」
養父は困ったような顔で頭を下げ、謝る。
「趙国へは今すぐ向かうそうですが…実は私もあちらに用があって向かおうかと。陵安、ご一緒にどうですか?」
「ああ、それは是非とも……えぇっ!?し、将軍も趙国へ…?まさか…れ、廉頗将軍にお会いに…?」
廉頗将軍、廉頗……廉頗将軍!?まさかあの趙国三大天の廉頗将軍…!?
…さすがは王騎将軍。
敵であるというのに、会いにいけるとは…
この最強の人達だからこそ許されるのだろう。
「ええ、呼ばれてしまいましたからねェ。ああ、安心しなさい陵安。あなたも呼ばれていますよォ。」
「わ、私もですか…。となると…沙苗も、という事ですね…」
「察しが良くて助かりますよ、陵安。ンフフ、用が済んだらこちらも頼みますよォ。」
………私も、会うのか。
「…父上、あの…」
「…すまない。来て、くれるね?」
「は、はい…」