04
主人公のお名前を。無ければ「沙苗」に。
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・・
「あ、録嗚未様。」
暫くの間複雑な気持ちと戦っていると、清々しい顔で録嗚未軍長が戻ってきた。
しかし、彼は私の方を見た途端に清々しい表情を変え、焦った様子でこちらに詰め寄ってくる。
「なっ!?あんたその格好どうしたんだ!盗賊にやられたのか?!」
「ああいや録嗚未様っ、大丈夫ですから!自分でやったことですから!」
「………自分でやった?」
「は、はい。」
「…あー、なんつーか…どういう事だ?」
誰でも驚くと思う。出陣前は何もなかったというのに、出陣後には右袖が無くなっている。何かあったのかと思わせてしまった。
「えっと、護身用にと思って簡易的な武器を作りまして……」
手元にある物を見せる。
私の言う簡易的な武器とは、布の中に砂を入れて作った鈍器の事。
勢いをつけて殴れば相当な威力になる。
…頭の右腕と呼ばれた存在を気絶させたのが何よりの証拠だと思う。
「……まあ、あんたが無事だったんならいいけどよ。」
「…ご、ご心配をお掛けしました…」
録嗚未軍長は少しホッとした顔になった。
こう、ここまで心配されると少し恥ずかしくなってしまう。
…私達は恋仲じゃないのに、何だろうこの雰囲気は…
いやいやいや、こんな事考えてる場合じゃない。そう、頭の右腕を倒したんだ、頭もきっと…頭………
「…すみません、盗賊の頭は討ち取ったんですか?」
「ンフフ、盗賊の頭は拠点にいますよォ。頭は動いていませんからねェ。」
ならまずい…!頭が逃げてしまったらまた……!!
「…王騎様っ、拠点に行かないと……!」
背筋が寒くなる。
まずい、だめだ、急がないと
「コココココ、沙苗。」
「は、はいっ、急ぎましょう…!」
名前を呼ばれ、今すぐ移動するのだと思い、返事をする。
しかし、そうではないようで、
「まだまだ甘いですねェ。その必要はありませんよ。」
「え、どういう…?」
王騎将軍は余裕の笑みだった。
「ここで戦っている間、別部隊を拠点に送りました。」
そう聞いた時、
「殿、盗賊の頭を捕縛しました。拠点も制圧済みです。」
その別部隊と思われる集団が報告に来た。
「コココ、わかりました。鱗坊、干央、同金、よくやりました。」
「…!」
驚きで声が出せず、目を白黒とさせる。
…はじめから、この策に穴があるとわかっていたんだ。
自分の詰めの甘さを痛感した。王騎将軍の行動がなければ、全てが水の泡になるところだったのだ。
「…王騎様、すみませんでした。そして、ありがとうございます。」
「ンフフ、あなたには経験が足りません。今回の事で学び、さらに経験を積みなさい。あなたが民を守りたいと思っても、今のままでは何一つ守れませんよ。」
私は、全てに対して素人で、無力で…
とにかく、色々なものが足りない。
「…そう、ですね。私には足りないものがたくさんあります。…今回の経験は、一生忘れません。」
一生なんて言っても、この先何が起こるかなんて分かったものではない。
けど、
「…私は、力を伸ばしたいです。武力はありませんが、そうでない何かで。」
「…あなたには、度胸があると思いますよ。そもそも、私に何か頼みごとをする人なんて中々いませんからねェ。コココココ。」
「…それは、何といいますか…」
この世界に来て、自分は変わった。度胸も元の世界にいた時以上だ。
「…王騎様、少しだけ、戦場を見てきても良いですか?」
「…ええ、かまいませんよ。」
自分には、経験が必要なんだ。だからこそ。
一歩一歩踏み出し、戦いの痕へと近づいた。
「………」
戦いの痕。
そこに"いいもの"なんて無い。
…だけど、この景色を記憶に焼き付けなければいけない。
例え、恐怖に魘されるようなことがあっても、それでも。
そっと目を閉じ、そして、開く。
これが、戦う人が見る景色なんだ。
少しの間、見つめていると、声がかかった。
「…戦う者、そして、勝利した者の景色がわかりましたか?」
「…完全に、とは言えません。けど、重みはとても伝わってきました。」
「ンフフ、ならいいでしょう。…さあ、戻りますよ、沙苗。」
戦いが、終わった。
しかし、私の中の何かが、ここから始まった気がする。
「はい。」
私は先に進む王騎将軍のあとを追った。
「あ、録嗚未様。」
暫くの間複雑な気持ちと戦っていると、清々しい顔で録嗚未軍長が戻ってきた。
しかし、彼は私の方を見た途端に清々しい表情を変え、焦った様子でこちらに詰め寄ってくる。
「なっ!?あんたその格好どうしたんだ!盗賊にやられたのか?!」
「ああいや録嗚未様っ、大丈夫ですから!自分でやったことですから!」
「………自分でやった?」
「は、はい。」
「…あー、なんつーか…どういう事だ?」
誰でも驚くと思う。出陣前は何もなかったというのに、出陣後には右袖が無くなっている。何かあったのかと思わせてしまった。
「えっと、護身用にと思って簡易的な武器を作りまして……」
手元にある物を見せる。
私の言う簡易的な武器とは、布の中に砂を入れて作った鈍器の事。
勢いをつけて殴れば相当な威力になる。
…頭の右腕と呼ばれた存在を気絶させたのが何よりの証拠だと思う。
「……まあ、あんたが無事だったんならいいけどよ。」
「…ご、ご心配をお掛けしました…」
録嗚未軍長は少しホッとした顔になった。
こう、ここまで心配されると少し恥ずかしくなってしまう。
…私達は恋仲じゃないのに、何だろうこの雰囲気は…
いやいやいや、こんな事考えてる場合じゃない。そう、頭の右腕を倒したんだ、頭もきっと…頭………
「…すみません、盗賊の頭は討ち取ったんですか?」
「ンフフ、盗賊の頭は拠点にいますよォ。頭は動いていませんからねェ。」
ならまずい…!頭が逃げてしまったらまた……!!
「…王騎様っ、拠点に行かないと……!」
背筋が寒くなる。
まずい、だめだ、急がないと
「コココココ、沙苗。」
「は、はいっ、急ぎましょう…!」
名前を呼ばれ、今すぐ移動するのだと思い、返事をする。
しかし、そうではないようで、
「まだまだ甘いですねェ。その必要はありませんよ。」
「え、どういう…?」
王騎将軍は余裕の笑みだった。
「ここで戦っている間、別部隊を拠点に送りました。」
そう聞いた時、
「殿、盗賊の頭を捕縛しました。拠点も制圧済みです。」
その別部隊と思われる集団が報告に来た。
「コココ、わかりました。鱗坊、干央、同金、よくやりました。」
「…!」
驚きで声が出せず、目を白黒とさせる。
…はじめから、この策に穴があるとわかっていたんだ。
自分の詰めの甘さを痛感した。王騎将軍の行動がなければ、全てが水の泡になるところだったのだ。
「…王騎様、すみませんでした。そして、ありがとうございます。」
「ンフフ、あなたには経験が足りません。今回の事で学び、さらに経験を積みなさい。あなたが民を守りたいと思っても、今のままでは何一つ守れませんよ。」
私は、全てに対して素人で、無力で…
とにかく、色々なものが足りない。
「…そう、ですね。私には足りないものがたくさんあります。…今回の経験は、一生忘れません。」
一生なんて言っても、この先何が起こるかなんて分かったものではない。
けど、
「…私は、力を伸ばしたいです。武力はありませんが、そうでない何かで。」
「…あなたには、度胸があると思いますよ。そもそも、私に何か頼みごとをする人なんて中々いませんからねェ。コココココ。」
「…それは、何といいますか…」
この世界に来て、自分は変わった。度胸も元の世界にいた時以上だ。
「…王騎様、少しだけ、戦場を見てきても良いですか?」
「…ええ、かまいませんよ。」
自分には、経験が必要なんだ。だからこそ。
一歩一歩踏み出し、戦いの痕へと近づいた。
「………」
戦いの痕。
そこに"いいもの"なんて無い。
…だけど、この景色を記憶に焼き付けなければいけない。
例え、恐怖に魘されるようなことがあっても、それでも。
そっと目を閉じ、そして、開く。
これが、戦う人が見る景色なんだ。
少しの間、見つめていると、声がかかった。
「…戦う者、そして、勝利した者の景色がわかりましたか?」
「…完全に、とは言えません。けど、重みはとても伝わってきました。」
「ンフフ、ならいいでしょう。…さあ、戻りますよ、沙苗。」
戦いが、終わった。
しかし、私の中の何かが、ここから始まった気がする。
「はい。」
私は先に進む王騎将軍のあとを追った。