その出会いは、雪が降るようで。
よく晴れた夏の日。
吹奏楽部に所属する私は、夏休みだというのに今日も中学校に通う。
(あ、今日もやってる。)
学校の敷地に一歩足を踏み入れると、途端に聞こえてくる運動部の声。グラウンドに近づくと、ボールを蹴って走る音が聞こえて来る。
地面を踏み締めて走るから聞こえてくる、ザッ、ザッ、ザッ、ってまな板の上でキャベツを切るみたいな音。
そう表現すると友達に「なにそれ」なんて言われるけど、私はこの音が結構好きだったりする。
「ナイス!!」
ーーーいた。
砂埃が舞う中、チームメートに笑いかけるきみ。見るたびに思うけど、ほんと太陽みたい。太陽みたいに、熱くて、さめない。照らせない場所なんてないんじゃないかと思う、クラスのムードメーカー。
私とは小学校、中学校、なぜだか必ずといっていいほど同じクラスになる運命の、腐れ縁。
今や、クラスメイトと呼ぶには少し余る、友達と呼ぶには中学に入ってからは一緒に遊ぶこともなくなってしまったおかげで関わりの薄い……なんとも紹介しにくいきみに、最近、、少し困っている。
きみと「仲良いの?」なんて聞かれるたびになんて答えたらいいのか、ちっともわからないのだから。
***
階段を上がった校舎の2階。
今日も私は窓を開けて、クラリネットを吹く。このやわらかい雰囲気の音色は、いつだって私の心を癒すけど、私の好きなせっかくのきみの駆ける音が聴こえなくなるのは残念…、だなんて。
そんなことを思うのはきっと、浮かされるくらいの真夏の熱と人気の少ない校舎のせい。
1/1ページ