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シャントットの世界にたどり着いた。スコールは警戒しながら、探索をする。ほかに仲間はいない。次元の狭間にスコールひとりだけが、取り込まれてしまったのだった。
災難だ、と恨みながら、脱出口を探す。
「御機嫌よう」
唐突に、挨拶をする声がきこえた。スコールは怪訝な顔をして、周囲を見回す。あたりに、スコールただひとりだけで、明らかにスコールに向けられている。声のほうを見やる。
男がひとり、優雅な表情を浮かべて立っていた。
「スピリタス側か」
「そうらしいな」
男は興味なさそうにいった。
「(そうらしいな、って、自分のことだろ)」
「どちら側など、関心はない。神の駒ではなく、私はジュノ大公なのでね」
「(めんどくさいヤツ)......戦う気はないんだな」
男の口ぶりでは、この闘争に参加する気はないようだ。そう、とらえたスコールは、男を無視することに決めた。踵を返して、出口探しに専念することにした。
数歩歩いたとき、背後から、魔力を感じた。スコールはとっさにさける。光の波動が通っていったのを見届けると、後ろにいた男を睨む。
「私は戦う気などない、とはいっていないが?」
「(なんなんだよ、こいつ)」
行動が読めずに、苛つきを覚えたスコールは、自分の武器を取る。
どうでるか、と様子を見ていると、男は、間合いを一気に詰めてくる。不意をつかれ、スコールは出遅れる。
至近距離まで詰められ、スコールは男に顔を掴まれる。
「ふむ、貴様、名はなんという?」
「(近い、っていうか、戦う気がないわけじゃなかったのかよ)」
突然のことに、スコールは、声が出ず、目の前の男を見つめた。
「そうか、まずは私から名乗るべきか。私はカムラナートだ。さぁ、貴様の名を教えろ」
「(そういうことじゃないだろ...)」スコールはおもわずつっこむ。しかし、名前をいわなければ、離してもらえそうになく、自分の名をいわざるをえなかった。
「スコール」
「ほう、スコール、か」
名前を繰り返したカムラナートは、顔をさらに引き寄せ、スコールの顔をまじまじと見つめた。スコールはより一層眉をひそめる。
「(離してくれよ)」
スコールの願いは虚しく、距離は縮まったままだった。
「どこの世界でも異常な人間が多いが、貴様は稀有な人間だな。汚れがない」
「(なにいってんだ?)」
「ふむ、純粋な人間との間ならば、私の血は色濃く残るだろうな。だが、惜しい。男は孕めん」
「はぁ?」さすがのスコールも、声に出してしまった。
「貴様が女であれば、すぐさまに子を宿してやったのに、実に、惜しい」
カムラナートは、そう、ささやいて、スコールの雄にふれた。敏感な部分にふれられ、声がもれる。
「神に頼めば、貴様を女に変えられるだろうか」
「できるわけないだろ!」
スコールは顔を真っ赤にさせる。
「ふふ、本気にするな、戯言だ」
スコールの頬を撫でると、名残惜しそうに離れた。
ようやく解放されたスコールは、素早く距離をとった。武器を握りなおして、構える。
「いつまで、それに頼っているつもりだ?」
「...あんたには関係ない」
「代償がいるだろう、なにを差し出している?」
「黙れ」
「まぁ、いい。珍しいから、すこし、気になっただけだ」
そういって、カムラナートは自分の手で狭間を作った。
「スコール。また会おう」
にやり、と笑ったカムラナートへ向けて、スコールは斬撃を放つ。しかし、寸前で逃げられてしまった。
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