dream
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
めぐりめぐって、河村くんといっしょに日直になった。授業の号令も、ノートを集めるのも、プリントを配るのも、日直の仕事で、それらを河村くんとできることが、とてもうれしかった。めんどくさい仕事が、すきなひとといっしょにするだけで、やりがいな仕事に変わるなんて、しらなかった。
河村くんは、はじめてできた、彼氏で、付き合って一ヶ月ほどしか経っていなかった。まだ、お互いに名字で呼んでいる。わたしも彼も、奥手で、互いの友達の協力で、やっと付き合えたのだった。鈍足な、関係だった。そのうえ、河村くんは部活に励んでいて、なかなか、ふたりきりになる機会はなかった。
そんな矢先、日直がまわってきて、いま、まさに放課後の教室でふたりきりになっている。
「河村くん、もう、日誌書けた?」
「ああ、うん。全部埋めたよ」
日誌は、授業の様子を書くためのもので、埋めるのは意外と大変だ。しかも、日直ふたりが書かないといけなかった。授業後の小休憩に書こうとしても、ふたりでまわすには、時間が足りなかった。結局、放課後に書こうということになった。
「時間、大丈夫?部活あるよね」
「大丈夫だよ。お昼に、遅くなるって伝えておいたんだ」
「そうなんだ、偉いね」
「い、いや〜、そうでもないよ。日直の仕事って意外と大変だからね」
「じゃあ、わたしが日誌持っていくね。部活にこれ以上遅れちゃだめだし」
「ああ、ありがとう。じゃあ、よろしく」
河村くんが、日誌を渡してくれる。それを受け取ろうとしたとき、河村くんの手にふれてしまった。びっくりして、日誌を取りこぼしてしまい、床に落ちた。ふたり同時に、ごめん、といい、あわてて、取ろうとしゃがむ。手を伸ばすタイミングもいっしょで、また、手が重なる。あ、とおもって、河村くんを見る。河村くんもまた、わたしを見た。目が合う。重なった手のまま、見つめ合う。
心臓がさわぎだした。顔に熱が集まる。河村くんも、顔が赤くなっている。
どちらともなく、顔を近づける。息が、きこえる。鼻先がこすれて、目をとじる。唇がかるく触れ合う。一瞬だけ、重なる。
そっと、目を開けると、まっすぐな視線にあった。至近距離のまま、だった。まばたきをゆっくりとすると、もう一度、顔が近づき、くちづけをされた。今度は、長く、した。
永遠のようにおもえた。名残惜しそうに、唇がはなれる。
「......いやじゃ、なかった?」
「......いやじゃ、ないです」
そう、言い合って、顔を真っ赤にした。
「あ!お、俺、ぶ、部活に、行くよ!日誌、お願い!じゃあ、また、明日!」
重なった手を手早くどけた河村くんは、ラケットバッグをとって、固い動きで教室を出ていった。明らかに、動揺している。さっきのことを思い出して怪我をしないように、とおもって、日誌を拾い上げる。
河村くんは、はじめてできた、彼氏で、付き合って一ヶ月ほどしか経っていなかった。まだ、お互いに名字で呼んでいる。わたしも彼も、奥手で、互いの友達の協力で、やっと付き合えたのだった。鈍足な、関係だった。そのうえ、河村くんは部活に励んでいて、なかなか、ふたりきりになる機会はなかった。
そんな矢先、日直がまわってきて、いま、まさに放課後の教室でふたりきりになっている。
「河村くん、もう、日誌書けた?」
「ああ、うん。全部埋めたよ」
日誌は、授業の様子を書くためのもので、埋めるのは意外と大変だ。しかも、日直ふたりが書かないといけなかった。授業後の小休憩に書こうとしても、ふたりでまわすには、時間が足りなかった。結局、放課後に書こうということになった。
「時間、大丈夫?部活あるよね」
「大丈夫だよ。お昼に、遅くなるって伝えておいたんだ」
「そうなんだ、偉いね」
「い、いや〜、そうでもないよ。日直の仕事って意外と大変だからね」
「じゃあ、わたしが日誌持っていくね。部活にこれ以上遅れちゃだめだし」
「ああ、ありがとう。じゃあ、よろしく」
河村くんが、日誌を渡してくれる。それを受け取ろうとしたとき、河村くんの手にふれてしまった。びっくりして、日誌を取りこぼしてしまい、床に落ちた。ふたり同時に、ごめん、といい、あわてて、取ろうとしゃがむ。手を伸ばすタイミングもいっしょで、また、手が重なる。あ、とおもって、河村くんを見る。河村くんもまた、わたしを見た。目が合う。重なった手のまま、見つめ合う。
心臓がさわぎだした。顔に熱が集まる。河村くんも、顔が赤くなっている。
どちらともなく、顔を近づける。息が、きこえる。鼻先がこすれて、目をとじる。唇がかるく触れ合う。一瞬だけ、重なる。
そっと、目を開けると、まっすぐな視線にあった。至近距離のまま、だった。まばたきをゆっくりとすると、もう一度、顔が近づき、くちづけをされた。今度は、長く、した。
永遠のようにおもえた。名残惜しそうに、唇がはなれる。
「......いやじゃ、なかった?」
「......いやじゃ、ないです」
そう、言い合って、顔を真っ赤にした。
「あ!お、俺、ぶ、部活に、行くよ!日誌、お願い!じゃあ、また、明日!」
重なった手を手早くどけた河村くんは、ラケットバッグをとって、固い動きで教室を出ていった。明らかに、動揺している。さっきのことを思い出して怪我をしないように、とおもって、日誌を拾い上げる。