18/8/23
ふたたび、異世界の戦士たちが集まったのだ。前の戦いの記憶はちゃんと残っているようで、戦士たちはにぎやかにしている。
その輪からすこしはなれ、まわりを警戒しているスコールがいた。フリオニールは真っ先に彼に気付いて、そばに寄った。
「久しぶり、スコール」
できるだけ、彼を不機嫌にさせまいと、フリオニールは遠慮がちにはなしかけた。はじめて彼に話しかけたとき、返事もなくただ鬼の形相で睨まれてしまった。その経験があり、極力距離をつめないようにした。スコールは、他人との距離感にひどく敏感だった。
「ああ」
そっけない返事だったが、フリオニールは、いつものスコールらしいと、おもった。
彼のとなりに立って、見果てぬ大地を見る。砂漠のような土地が広がるばかりで、他はなにも見当たらなかった。この世界を形成する力は、まだまだ足りていないようだった。いちど食い散らかされて、ほとんど力を失ってしまった証拠だった。戦いで得られる力もそう多くはない。世界が潤うのはまだ当分先のようだ。時間をかけてでも、この世界がどうなるのか、見てみたいものだと、フリオニールはおもう。希望があるからこそ、戦っていられる。それはどこの世界でもいっしょなのだと、感じていた。
「自分の世界のことを、思い出すよ」
フリオニールは、おもったことを口にしていた。遠い場所を見つめていると、いやでも、思い出してしまう。
「俺の故郷は、燃やされたんだ。この大地みたいに、なにもなくなったんだ。あんなに、緑豊かな村だったのに。母は、花を育てていた。それすらも、奪われた。だから、俺は自分の世界でも、この世界でも、綺麗な花々でいっぱいにしたいんだ」
そこまで言い切ってから、フリオニールは我にかえる。つい、出てしまった言葉は取り消せない。いきなり話し出したうえに、スコールの知らない世界のことをいわれても、困るだけだろう。不機嫌になっているに違いないとおもい、フリオニールはとなりを見る。
意外にも、スコールは普段どおりの表情だった。気分を損ねてはいないと安堵する。
「退屈な話をきかせてすまない。忘れてくれ」
言い訳のように、とってつけた言葉を伝える。
しかし、スコールは首を横にふった。
「......あんたのつくる未来は、平和な世界に、なるだろうな」
ひどくやさしい瞳だった。
いつも無愛想な彼がつくる目ではなかった。心からそう、願うものだった。
スコールも、きっと、平和な未来を取り戻したいのだろう。
「俺、スコールのこと、ようやく知れた気がする」
すこしだけ、スコールの距離を縮められる気がして、言葉をつないだ。
「スコールは、こんなにも優しいってこと、はやく気づきたかったよ」
前回よりも、スコールに近づきたいと、おもった。
その輪からすこしはなれ、まわりを警戒しているスコールがいた。フリオニールは真っ先に彼に気付いて、そばに寄った。
「久しぶり、スコール」
できるだけ、彼を不機嫌にさせまいと、フリオニールは遠慮がちにはなしかけた。はじめて彼に話しかけたとき、返事もなくただ鬼の形相で睨まれてしまった。その経験があり、極力距離をつめないようにした。スコールは、他人との距離感にひどく敏感だった。
「ああ」
そっけない返事だったが、フリオニールは、いつものスコールらしいと、おもった。
彼のとなりに立って、見果てぬ大地を見る。砂漠のような土地が広がるばかりで、他はなにも見当たらなかった。この世界を形成する力は、まだまだ足りていないようだった。いちど食い散らかされて、ほとんど力を失ってしまった証拠だった。戦いで得られる力もそう多くはない。世界が潤うのはまだ当分先のようだ。時間をかけてでも、この世界がどうなるのか、見てみたいものだと、フリオニールはおもう。希望があるからこそ、戦っていられる。それはどこの世界でもいっしょなのだと、感じていた。
「自分の世界のことを、思い出すよ」
フリオニールは、おもったことを口にしていた。遠い場所を見つめていると、いやでも、思い出してしまう。
「俺の故郷は、燃やされたんだ。この大地みたいに、なにもなくなったんだ。あんなに、緑豊かな村だったのに。母は、花を育てていた。それすらも、奪われた。だから、俺は自分の世界でも、この世界でも、綺麗な花々でいっぱいにしたいんだ」
そこまで言い切ってから、フリオニールは我にかえる。つい、出てしまった言葉は取り消せない。いきなり話し出したうえに、スコールの知らない世界のことをいわれても、困るだけだろう。不機嫌になっているに違いないとおもい、フリオニールはとなりを見る。
意外にも、スコールは普段どおりの表情だった。気分を損ねてはいないと安堵する。
「退屈な話をきかせてすまない。忘れてくれ」
言い訳のように、とってつけた言葉を伝える。
しかし、スコールは首を横にふった。
「......あんたのつくる未来は、平和な世界に、なるだろうな」
ひどくやさしい瞳だった。
いつも無愛想な彼がつくる目ではなかった。心からそう、願うものだった。
スコールも、きっと、平和な未来を取り戻したいのだろう。
「俺、スコールのこと、ようやく知れた気がする」
すこしだけ、スコールの距離を縮められる気がして、言葉をつないだ。
「スコールは、こんなにも優しいってこと、はやく気づきたかったよ」
前回よりも、スコールに近づきたいと、おもった。
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