モノラルの愛に触れた/雲雀
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「モノラルの愛に触れた。」
私には好きな人がいます。
その人は、フサフサの茶色い髪の毛で、綺麗な緋色の瞳をしていて、とても綺麗な指で、いつも笑顔で、その笑顔でみんなをいつも癒してて、でも人一倍大変な思いをしていて、いつも何かと闘って、それでもって、みんなをまとめるリーダーと同時にボスでもある。
こんな人だ。
こんな人と言われても、今の私の説明を聞いてたら、「どんな人なんだよ。」と思うだろう。でもまぁ、私は本当のことを簡潔に伝えたので、ほぼ100%あっていると思う。
あ、こんなことを考えていたら、あの人が私の部屋にやって来た。
コンコンッ
「どうぞ。」
ガチャ
「邪魔するよ、なつみ。」
「…ボス。」
「ボスじゃなくていいよ、今までどうり綱吉でいいっていつも言ってるだろ?」
「いえ、ここでは貴方はボスなので。」
「……ったく。真面目だなー。あとさー、敬語じゃなくてもいいんだよ?」
「いえ、ここでは貴方はボスなので。」
「さっきと全く同じ返しじゃん!」
「はい。」
「はーー…。まぁ、たまには息抜きとかもしろよー。休息も必要だからな。」
それを、忙しすぎて今日寝れるかどうかも分からない貴方が言うのか。と思ったが、
「ありがとうございます。」
と返事をした。
「ん。素直でよろしい。はい、じゃあこれ、よろしくね。」
と言われて渡されたのは書類の山だった。
「(ボソッ)休息とかどの口が言ってたんだか。」
「ん?なにかな?」
「なんでもないでーす。」
「これ、明後日までだから。よろしく。じゃあね、また来るよ。」
「もう2度と来なくていいのに。」
「ん?死にたいのかなー?なつみちゃんは。」
「楽しみにしてお待ちしてまーす。」
「クスッ じゃあね。」
バタンッ
…………き、緊張したーーー!!!!
あああ焦ったぁぁぁ!急に来るから心の準備とかして無かったし!いや、いつもしてるって訳でもないんだけど!(どっちだよ!)いや、丁度、ね?あの人の事考えてるときに来たからさ!焦ったなんてもんじゃねぇほど、焦ったわ!!
…………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。
1人で何やってんだか。
今のは全部心の中で叫んだのだが、それでも相当疲れた。
「あーー…カッコイイなぁ、やっぱり……。」
「誰が?」
「誰がってそりゃ………………」
ん?私今独り言、言ってたはずじゃ、え、
「え!?!?」
バッという効果音でもつくかのように私は引っ伏せていた机から顔をあげた。
「やぁ。」
そこに居たのは、
「雲雀さん!!!!」
意外すぎる人だった。
__________________________________________
「で、君は誰のことをカッコイイと言っていたの?」
雲雀さんを部屋に入れて、コーヒーを淹れていると雲雀さんがこんなことを言ってきた。
「え?私、そんなこと言ってないですけど。」
と私は満更でもないように言った。
「嘘つかなくていいよ?」
「……言いませんから。」
「いいじゃん。教えてよ。」
「嫌です。」
「早く言わないと咬み殺すよ。」
「な!?なんでそうなるんですか!!」
「君が焦れったいからだよ。」
こんな事をいいながら雲雀さんはトンファーを出してジリジリと、私の方へ近づいてきている。正直言って、怖い。
「だ、だって!私がわざわざ雲雀さんに言う必要ないでしょ!」
「いいや、あるね。」
「ありません!」
「聞き分けの悪い子だね。」
「……あの雲雀さん……」
「ん?なんだい?」
「…………ち、近いです。」
言い合いをしている間に雲雀さんはいつの間にか、私の目の前に居て、そして今私はソファの背もたれと雲雀さんに挟まれている。
「うん、そうだね。」
「は、離れてください。」
「嫌だよ。」
「あの、私こんなことされても言わないんで。」
「……全く。君、本当面倒臭いね。」
「……面倒臭くて結構です。」
「咬み殺すよ。」
「ゴメンナサイ」
「……まぁ、こんなことしなくても知ってるけどね。」
と、言って雲雀さんはトンファーを下ろした。
「……え?」
「……君の好きな人は、」
いつの間にか雲雀さんの口から出た言葉は「君がカッコイイと言っていた人」ではなく、「君の好きな人」に変換されていた。
「いませ「沢田でしょ?」
私の「いませんから!」と言う言葉は雲雀さんの言葉によって呆気なく消えた。
「違います。」
「だから、僕には嘘は通じないから。」
「違います。」
「素直じゃないね。」
「だから、違うんで。雲雀さん執拗いですよ。」
私の声は段々冷たくなってきた。
「…………君、沢田の事好きじゃないんでしょ?」
「…え?あ、…はい。」
「じゃあさ、廊下にでて僕が〝なつみの好きな人は沢田綱吉ー!〟って叫んでも、君は好きじゃないから問題ないよね?」
「は……はぁ!?」
「じゃあ僕、早速廊下にでて叫んでくるよ。」
「ちょ、ちょっと雲雀さん!!待って!」
なんだそれは!する意味ないだろ!てかそんな事されたら、私とあの人の関係がギクシャクするじゃないか!てか、雲雀さん叫ぶって言った!?あの雲雀恭弥が!?………あー!もー!めんどくさ!取り敢えず止めないと!!
ガチャ
「ちょ、雲雀さんやめてください!」
「嫌だよ。」
「なんでそんなこと!」
「君が素直じゃないから。」
「私が素直じゃなくたって雲雀さんには関係ないでしょ!?」
「ある。」
「は……?」
「まぁ、黙って見てなよ。君と沢田の今の状態を〝ぶち壊してあげる。〟」
この言葉で私の怒りは頂点に達した。
「〝なつみの」ドガァァァンッ!!!
この音で、屋敷に居た人がゾロゾロと慌てて出て来た。その中には、守護者の人も。そして、あの人も。
『なんだ!?』
『どうした!何があった!』
『敵襲か!?』
『ボスは無事か!?』
周りは焦りまくっている。
「あ、敵襲じゃないんで、大丈夫です。ご迷惑をお掛けしてすいません。」
私が即座に謝ると、なんだ……。と言いながら皆安心して帰っていった。だが、その中で帰らないのが守護者の方々と、あの人。
「おい!雲雀!てめぇ、また暴れたのか!!」
と獄寺さん。
「まー、まー、落ち着けって!」
と山本さん。
「そうだ、そうだ!ここは極限に話を聞いてみんと分からんぞ!」
と珍しく冷静な了平さん。
「クフフ…。雲雀恭弥、僕のなつみに何してくれてるんですかね…。」
と骸さん。てか、お前のじゃねーし。
「……で、何があったのかな?」
とあの人が。
珍しく〝黒い〟ようだ。あ、これは怒ってる。
「いや、別になんもないんで。皆さん、帰ってもらって「僕が叫ぼうとしたらこんなふうに吹っ飛ばされたんだよ。」
「……叫ぶ?何を叫ぼうとしてたの?」
「なつみが「黙れ。」
今度は銃を向ける私。自分でやってても物騒だなって思うけど、今はどうでもいい。
「ワォ。そんなに怒らしたかな。」
「えぇ。物凄く。」
「ちょ!銃しまって!」
「……………………はい。」
あの人に言われたら従うしかない。
「そいつには素直なんだね。」
「……雲雀さん、いい加減にしないと、貴方のこと殺してしまいそうです。」
「……へぇ。なつみに僕を殺せるのかな。」
「できます。」
「ちょっと、2人とも!いい加減にしろ!!!!」
珍しくあの人が怒鳴って2人とも黙り込む。
「……」
「……」
「……で、どっちが悪くてこうなったのかな…?」
「なつみ。」
「雲雀さんです。」
キッ
互いに睨み合う。
「だって、君が素直にならないから。」
「私が素直になろうが、どうなろうが、雲雀さんには関係ないでしょ!」
「ある。」
「じゃあ、なんの関係があるんですか!!言ってみてくださ「君のことが好きなんだよ。」
「「「「「「え」」」」」」
全員の声が重なる。
え……は……?今なに言った………?
え、雲雀さんが、私のこと……す……き………
「は、はぁ!?!?!?」
「僕、本気だから。」
「え、え、ちょ、え、ええええ!?!?」
私の頭は完全にキャパオーバーして今でも吹っ飛びそうだ。
「な!ひ、雲雀、てめぇ、そういう事は、こ、ここじゃなくてだなぁ!ちゃ、ちゃんと、屋上とかで、2人のときに言うもんだ、だろうがぁ!!」
と獄寺さん。
「獄寺慌てすぎだって!しかもそれ何か古いのなー。」
と山本さん。
「極限によく言ったぞ!!雲雀ーーー!!」
といつも通りな了平さん。
「な……、雲雀恭弥!!貴方僕のなつみに…!」
とまた意味不明な事をほざいている骸さん。
「…………」
驚きのあまり固まってるあの人。
「ねぇ、返事聞きたいな。」
と雲雀さん。
え、いや、ほんとに私が告られたの!?
誰かと間違えてるんじゃないの!?
私のどこがいいわけ!?
「じゃあ教えてあげるね。」
「え、ちょ、雲雀さ………読心術!?」
「クスッ」
雲雀さんまで使えるだなんて!!(泣)
「僕がなつみを好きな理由は、その真っ黒で綺麗なストレートヘアと、今にでも触れたくなるようなキメ細かい白い肌。それと、いつも周りのために頑張ってるとことか、我慢強いとこも可愛い。そういうところを全部僕にさらけ出してほしいんだよ。それで好きなだけ甘えさせる。あ、あとさっきみたいに意外と強いところも唆られるね。なのに人参嫌いとか子供っぽいところも可愛い。」
……こう聞かされると物凄く恥ずかしい。
てか、
「人参嫌いなこと知ってたんですか!?」
「うん。」
「い、いつの間に……」
「僕はいつも君のことを見ていたからね、すぐに分かるよ。」
「……そ、そう…ですか…。」
本当に物凄く恥ずかしい。顔が熱い。
「僕は今すぐにでも返事を知りたいけど、もう少し時間をあげるよ。ゆっくり考えてみて。」
「……は、はぁ……」
と私が言うと、雲雀さんは立ち上がり、
「じゃあ、僕は行くね。たまには素直になりなよ。」
「な……!」
「クスッ じゃあね。」
と言い雲雀さんは去っていった。
いや、去って〝いこうとした。〟
「雲雀さん」
「……なに?小動物。」
「なにカッコよく去っていこうとしてんですか。コレ、どうする気です?」
と言ってあの人が指さしたのは、私達が暴れて壊れた壁。あ、正確には私が壊したことになるのか。私が雲雀さん吹っ飛ばしたもんね。
「しらないよ。」
「いや、そういう訳にはいかないんで。雲雀さんがちゃんと責任取ってくださいよ。じゃないと俺の書類の山がさらに積み重なっていくんで。」
「そんなこと知らないね。」
「いや、あの、雲雀さん。」
うわ…。怒ってる……。
「君って本当に執拗い。」
「え?」
うわ、なにその笑顔。こっわ。周りも全員固まってるし!
「あ、あの、ボス。本当にすみませんでした。それは全て私のせいなので、私がきちんと修復致します。本当に申し訳ございません。」
と言い、深々とお辞儀をした。
これ以上2人が言い合ったら屋敷全壊になるからね。まぁ、どっちにしても私が悪いんだけど。
「ちょ!!なつみ!頭上げて!そんな謝らなくていいから!」
「いえ、私の責任です。……申し訳ございません。」
「…………雲雀さん!!貴方、好きな子に何させてんですか!」
「「……え?」」
私と雲雀さんの声が重なる。
「ここは、『僕がちゃんと責任とるから気にしないで。』って言うところでしょ!まったく……、なつみの方が断然カッコイイじゃないですか!!」
……これは褒められているのか、なんなのか…。カッコイイじゃなくて、可愛いが良かったなー………なんて。
「……わかったよ。じゃあ、僕が責任取るから。」
「ん。それでいーんですよ!」ドヤァ)
「……雲雀さん、すみません……。」
「なつみ。そこはすみませんじゃなくて、もっと別の言葉がほしいな。」
「え……?あ…、…ありがとうございます……」
「クスッ ………うん。」
「あ、それと「ツッ君!!」
あの人が何かを言いかけたのとベストなタイミングで可愛らしい高い声が聞こえた。
「きょ、京子ちゃん!?」
あの人は急に笑顔になる。
「フフフッ 今日は私、ここでみんなと一緒にパーティだから、早いけどもう来ちゃった!」
なんて可愛らしいんだろうと思う。
私ならあんな可愛い態度一生できない。
「あ、そうだったんだね!」
あの人は少し照れながら返事をする。
「うん!あ、みんなこんにちは!」
と、素敵な笑顔で皆さんに挨拶をする。
皆さん様々な言葉で京子さんに返す。
「なつみちゃんも雲雀さんも!こんにちは!」
京子さんは私と雲雀さんに向けても笑顔で挨拶をしてきた。
「お久しぶりです、京子さん。」
とあくまでも冷静に返した私。
「…………」
無言の雲雀さん。
「うん!久しぶり!ていうか、なつみちゃん!」
「はい?」
「『敬語』!!歳変わらないんだから、タメ口でいいんだよ?」
「……いえ、そういう訳にはいきません…。京子さんはボスの……」
ボスの、
あの人の、
綱吉の。
「…………」
私は黙り込んでしまった。
しまった。と思った時、
「ん?なに、どうしたの?」
と私達の輪に綱吉が入ってきた。
「ツッ君。あのね、なつみちゃんがね、いつも私達に敬語でしょ?だから敬語じゃなくてもいいんだよっていう話をしてたの。」
「あ〜、それは俺も思うなー。」
「そうだよね!」
「なつみはきちんとしてるからねー。ほんとタメ口でいいのに。」
「やっぱり!ツッ君もそう思うよね!」
なんて、2人が笑顔で話している姿を見て、正直私はキツかった。
2人が言ってくれていることは嬉しいことの筈なのに、ほんと私は最低だ、
『2人で笑わないで。』
なんて思うんだから。
あ、ヤバイ。涙出てきそう。
「…なつみちゃん?」
「…なつみ?」
「…………お2人とも、ありがとうございます。」
上手く話せているだろうか。
声が震える。
「……しかし、お2人は……………」
あ、どうしよう。
声が、
出ない。
どうしよう。
どう、しよう。
苦し、い。
嫌だ。
誰か。
誰、か。
だ、れ、か。
「ねぇ、君達。いい加減にしないと咬み殺すよ。」
どこからかそんな声が聞こえて、振り向く前に私は抱きしめられた。
「沢田綱吉、笹川京子。」
「え!?あ、はい!」
とツナが。
「は、はい!」
と京子さんが。
すると、
「次、なつみにこんな事したら許さないから。」
と言った。
その声の主の名前を、私は消えそうな声で呼んだ。
「…………雲雀、さん……っ。」
それと同時に私の目からは涙が、
零れる。
雲雀さんが私の顔を自分の体に当てていたから、幸いにも2人には泣いてる姿は見られなかった。
「なつみ、行こう。」
「え……、雲雀さん…?……どこに……」
「僕の部屋。」
え、
「え!?」
「こんなとこ、いつまでも居たくないでしょ。」
「…………」
図星だった。
早くあの場所から離れたくて離れたくて仕方がなかった。
「はい……。」
と私は小さく返事をした。
すると雲雀さんはクスッと笑って、
「じゃあ、行こうか。」
と言った。
雲雀さんと一緒に雲雀さんの部屋に向かおうとしたその時、
「あ、あの!なつみちゃん!」
と京子さんに名前を呼ばれた。
涙を拭い取り、京子さんのほうへ振り返って、
「…………はい。」
と返事をした。
すると、
「あの、私、もしかして気付かない内に、なつみちゃんの嫌がることしてたかな…?」
なんて京子さんは聞いてきた。
冗談じゃない。
京子さんは何も悪くない。
悪いのは全部、こんな醜いことを思う私だ。
また、心臓がグサリっと痛む。
「滅相もございません。京子さんは何もしていません。お気を使わせてしまい、大変申し訳ございませんでした。」
私は笑顔で言った。
ちゃんと笑えてるかな。
「行くよ。」
と雲雀さんが私を連れて行こうとしている時に京子さんのほうを見た。
「雲雀さん、待ってください。」
京子さんを見た私は直ぐに足を止めて、京子さんに近寄る。
だって京子さん、凄い思い詰めた顔してたから。
「なつみちゃん……」
「本当に私の事は気にしないでください。私は本当に大丈夫なんで。パーティ、皆さんで一緒に楽しみましょう。えと……きょ、京子ちゃ…ん……。」
「!!!!なつみちゃん!!」
「す、すすすみません……!」
「ううん!すっごく嬉しい!!これからずっとそれでいいからね!」
「……はい…。」
本当にタメ口なんか使っていいのだろうか。と、思ったが京子さん……京子ちゃんが嬉しそうならそれでいっか、と思った。
「ねぇ、もういい?」
「あ、すみません。」
「じゃあ、また後でね!なつみちゃん!」
「はい。」
2人にお辞儀をしてから、私はその場を後にした。
────────────────────
ガチャッ
という音が部屋に響き、雲雀さんの部屋に足を踏み入れた。
「お、お邪魔します…。」
「うん。」
雲雀さんの部屋は、やはりというか、思った通りというか、少し殺風景な部屋だった。
物は少なくて、ベッドやソファなどの必要最低限な物しか置かれていない。
他には何も無くて、部屋は全体的に紫色をイメージした大人な部屋だった。
しかし、部屋を見回した私は
「あっ。」
と声をあげ、視線の先のものに近づいた。
「雲雀さん、ちゃんと飾ってるんですね。」
と言いながら私が見ていたものは、ボンゴレの皆さん、と言ってもボスとリボーンさん、守護者の皆さん、京子ちゃん、ハルさん、そしてなぜか私もいれてもらって撮った写真だった。
「雲雀さんが飾ってくれているなんてビックリです!私この写真凄く好きなんですよ!」
「僕は別に要らなかったんだけど、赤ん坊が飾れってうるさくてね。仕方ないから置いてるだけだよ。」
雲雀さんはそんなふうに言ったけど、そこまで嫌そうには見えず、本当は気に入っているのかな。なんて思って私は少し笑った。
「なに。」
「いえ、別に。雲雀さんなんだか丸くなったなぁって思って。」
あ。
ちょ、なに言ってんだ私。
丸くなったってなんだ。やばい。
咬み殺される!!!
「ひ、雲雀さんすみませ「僕、丸くなったの?」
「……………へ?」
まさか、聞き返されるとか思わなくて間抜けな声が出た。
「……あの、雲雀さん……怒らないんですか?」
「は?なんで怒らないといけないの?」
「……いや…ちょっと失礼な事言ったかなー…なんて……」
「あのさ。」
と言って雲雀さんがズイッと顔を近づけてきた。
「ヒッ!!……な、なんでしょう…」
ち、近っ。
やばい。
たぶん今、顔
真っ赤。
「僕、さっき君のことが好きって言ったよね?」
い、今それ掘り返すんですか……!!
私なんて応えれば……!!
「ねぇ、言ったよね?」
「は、はははいぃ!!!!」
威圧感が半端なくてつい敬語に。
「それってどういう意味か分かる?」
「ど…どういう意味って……それは…そのまんまの意味……という…か…………。」
「うん。そうだよ。そのまんまの意味なんだよ。」
「えと……雲雀さん……」
意味がわかりません。……なんて怖くて言えない!!!!
「つまりね。」
ズイッ
「わっ!」
ただでさえ近かった距離がなお縮まった。
「君に惚れてる僕はそんなことじゃ、怒らないんだよ。僕は君の事が好きだからね。まぁ、君以外が言ってたら即噛み殺してたけどね。」
…………あああああぶなぁぁぁぁぁ!!
私、もしかしたら噛み殺されてたかもしれないの!?
さ、流石、元風紀委員長の雲雀恭弥……。
「ねぇ、理解した?」
「はいぃぃぃ!」
「……はぁ。君、カチカチすぎ。僕の前ではもっと気楽にいてよ。」
「えっと……そう言われても……。」
恐くて無理に決まってるじゃん!!!
「…………じゃあ、こっち座って。」
「へ?」
「ここ。」
と言いながら、雲雀さんはソファに腰掛け横をポンポンと叩いた。
「えと……雲雀さん?」
「いいから。早く。」
「は、はい。」
早く行かないと怒られそうなので、私は急いでソファに腰掛けた。
「「………………」」
……えーと、……雲雀さん、なにか喋ってくださいよ……!
座ってって言ったのそっちでしょう!!
この沈黙はキツイんだけど!!
「…………あの、雲雀さ「ちょっと待って。」
え、なにを……。
「今、考えてるから。」
「……はい。」
なにかよく分からないが取り敢えず返事しておいた。
「「………………」」
……雲雀さん、なに考えてるんだろう。
めっちゃ無言だし……。
落ち着かない……。
てか、私よく考えたら今頭の中雲雀さんでいっぱい……!
な、なんで……。
私はあの人のことが好きだったはずなのに……。
……え…?……私、今〝だった〟って……。
私…………。
「なつみ。」
「はははははいぃぃぃ!」
……は!丁度雲雀さんの事考えていたときに名前呼ばれたから、つい大きい声が……。
「ぷっ……。きみ、やっぱり面白いね。」
「……雲雀さんが笑った!」
「失礼だね。僕だって人間なんだから笑うよ。」
「はっ!そ、そうですよね!私何言って……恥ずかしい……。」
私、雲雀さんに「雲雀さんが笑った!」なんて言ってしまった……、ははは……。
もう、本当に恥ずかしすぎる……。
「……なつみ。」
「は、はい。」
「可愛い。」
「え、」
「可愛い。凄く可愛い。」
「あ、あの、雲雀さん!!やめてください、照れます!」
「嫌だ。だって今までずっと我慢してたんだよ。やっと今日、自分の思いを伝えれたのに。」
「……雲雀さん。」
「ねぇ、なつみ。
もう一回、ちゃんと言わして。」
「え……」
「……ねぇ。」
そんなふうに優しく、そしてつらそうに言われたら、
私は「……はい。」としか返事は出来なかった。
雲雀さんはソファから立ち上がって、私の前に立った。
心臓がドキドキしている。
きっと私の顔はりんごみたいに真っ赤だろう。
でも雲雀さんのほうへ顔をあげて真っ直ぐ見た。
だって、ちゃんと聞かないといけない。そう思ったから。
「ちょっと、そんな真っ赤な顔でこっち見ないで。襲うよ、バカ。」
「な!?な、に言って!!」
そう言った私の顔は更に紅潮していく。
そして雲雀さんもどことなく照れている気がする。
照れてる雲雀さんなんて見たことが無かった。
雲雀さんの見たことのない顔。
私がまだ見たことのない、雲雀さんの色んな顔が見たい、な。
ふと、そう思った。
そして、
やっぱり
私は──────。
「なつみ。」
「…………はい。」
「僕はずっとなつみのことを見ていた。もうどのくらいなつみのことを見ていたか分からないくらい、なつみのことだけを見ていた。僕はなつみの全てが好きなんだ。髪も、目も、鼻も、口も、耳も、手も、脚も。
君の優しいところも、強いところも、我慢ばっかりするところも、いつも自分より誰かを優先するところも、笑うと物凄く可愛いところも、全てが、全てが好き。大好き。愛してるよ。
一生君を離さないと約束する。一生大切にする。一生守る。
誓うよ。
だから、
僕と、
付き合ってください。」
そう言って雲雀さんは頭を下げた。
私は、こんな雲雀さん見たことなくて、本当に
驚いた。と、同時に嬉しくて嬉しくて、こんな凄い告白生まれて初めてで、そして。
気づいたときには、私は彼の手をにぎっていた。
もしかして、なんかじゃなく。
やっぱり、
私は、
雲雀さんのことが────、
「好き、です。」
「…………え?」
雲雀さんから、雲雀さんが発したとは思えないほど間抜けな声が出た。
「あ、あの、私もひ、雲雀さんのこと、好きです。」
「……嬉しいけど、気を使って言ってくれてるならいいから。」
「違います!!」
雲雀さんは私が急に叫んだので驚き、目を大きく開いた。
ほら、また雲雀さんは私の知らなかった顔をした。
見たい。
もっと色んな雲雀さんを、
私は、
見たい。
「私、今まで、ずっとあの人のことが好きでした……。でも私、さっきからなんか、変で、雲雀さんが私を助けてくれたときは、多分もうすでに、雲雀さん、か、カッコイイって思っていたと思うし、それに、さっき雲雀さんが照れた顔したときから、なんか、もっと、私の知らない雲雀さんの顔、を、見たいって、思ったんです…。そ、その上手く言えないんです、けど、多分、私も、雲雀さんのこと、好」
〝好きです〟
と言いかけたとき、私は抱きしめられた。
「ひひひひひ雲雀さん!?!?//」
「…………嬉しい。君、それ多分じゃなくて絶対僕のこと好きでしょ。」
核心を突かれてまた顔が紅くなる。
そしてあることに私は気づく。
「……雲雀さん、な、泣いてるんですか!?」
雲雀さんの声が、震えており、そして身体も震えている。
「……泣いてないよ。」
「クスッ、泣いてるじゃないですか。」
ほら、また一つ。
私の知らない雲雀さんが見れた。
「雲雀さん、可愛いです。」
「は?なに言ってんの?君のほうが可愛いから。」
「な、なに言ってるんですかっ!!」
「ほら、そうやってすぐ紅くなるところ。」
と言うと雲雀さんは私の耳に顔を近づけた。
「ひ、雲雀さんっ……!」
「なつみ、耳まで真っ赤。ほんと可愛い。
ねぇ、キスしてもいい?」
雲雀さんは囁いた。
「へっ!?ま、まってください!私達まだ、ん」
私が喋り終わる前に、雲雀さんは私の唇を塞いだ。
「…………雲雀さん!私まだ喋ってたのに!」
「知らないよ。僕がしたかったから、しただけだし。」
「ほんと……、何様なんですかっ!!」
「へぇ……、君。僕にそんな口聞いていいのかい?」
「あ……。いや、今のは違いまして…、つい口が滑ったといいますか…。お願いだから噛み殺さないで!!」
「嫌だよ。」
ドサッ
気づけば私はベットの上に。
俗に言う、「押し倒された」とかいうやつですかね、これは……。
「あ、の、雲雀さん……?この状況は……。」
「僕、もう我慢出来ないみたいだから。」
と、いいながら雲雀さんはネクタイを緩めた。
「ままままま待ってください!!わ、私、その、こういうの、は、」
「大丈夫。」
と言い、雲雀さんはまた私に囁く。
「優しくするから。」
ひ、雲雀さん、甘い……!!
こんなの、死ぬ……。
「………………絶対、ですよ……。」
「クスッ もちろん。
……噛み殺してあげる。」
と言った時の雲雀さんの笑顔を私は一生忘れないだろう。
fin.
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