創作腐話

「ニコミ、ここん所怪我してる」
「え、どこ?」
「ここ、肘の」

二の腕と肘の境い目とでもいうか、腕の外側のところに血が滲んでいるように見える。

「よく見えないよぉ…鏡ある?」
「流石に持ってないが…ちょっと切れただけみたいに見えるぞ」
「寝てる時にガッてぶつけっちゃったかな」
「…オレの寝相悪かったせいかな」
「ぎゅーってしがちだもんね」

よく見ると複数本ある切り傷は、どう見ても自前の鋭い爪でやらかしたそれにしか見えない。

「すまん」
「んーん、ぜんぜん痛くないし舐めときゃ治るって」
「って、自分で肘舐めるの無理じゃないか?」
「あー…それもそっかぁ」
「…それともオレに舐めてと誘ってるのか?」
「!」

舐める?好きなだけいいよ!って尻尾を振りながら腕に絡みついてくる可愛い彼に
治療とか消毒とか言いながら柔肌を好きに弄れるのはまったく役得である。

「次にヤマモリくんが怪我してたら、ボクが舐めてあげるね!」

と微笑まれたのでその場で自分の唇に牙を立てた。
丁度此処を怪我していて、と伝えたらどんな顔をしてくれるだろうか。
なんとなくだが、オレの下心に気付いても彼は舐めてくれるだろうと思った。


*どこまでもオレに甘い実
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