虚言癖の友人(AC6)

「ご友人、私と踊りましょう」
(知らない人は怖い、近づかないで)

「素敵だ…本当に心が踊ります」
(嫌だ、胸が痛むほど恐い)

「おもてなししますよ、ご友人…喜んでいただけるでしょうか」
(踏み込まれたくない。退けたい。殺してでも)

ーーー

そんな風に聞こえていた時期もあったが、と思い出す。
虚言癖があると誰かから直接聞いたわけではないが、そう知ると言葉の受け取り方が変わるのは妥当である。

「ご友人、考え事ですか」
「ブルートゥ」
「おや、そんなに見つめられると胸が高鳴ってしまいま…」

長々と言い終える前の彼を抱き寄せる。
胸元に耳を当てると普段よりやや早いくらいの鼓動が聴こえる。

「…本当だ、高鳴ってる」
「ご友人?」
「それに体温も上がってる」
「ご友人、そんな風に迫ってくださるなんて」
「身体は正直、なんだな」
「…っ」

抱き寄せた身体がびくんと震えて、
その後に ぎゅう、としがみついてくる。

「…ブルートゥ?」
「ご…ご友人…」
「そんなに嫌だったか」
「とんでもない、…嬉しくて思わず震えてしまっただけですよ」

言葉はまだ完全に信用できなくても、その行動の信憑性はかなり高い。と個人的に思う。

「俺の一句一動で、そんなに気持ちよくなるか?」
「な…んだか、今日のご友人は…少し意地悪ですね」
「そうかな」
「自覚無しですか…素敵だ…」
「ああ、素敵だろ」
「そこは自覚あるのですね」
「自覚?」
「貴方も貴方を素敵だと分かっている、と」
「あんたがそう言うから」
「信用してくださるのですか」
「体に聞けば正直だと気付いたからな」
「…仕様の無い人だ、そんなに私を暴きたいのですね」
「そうだ」
「ご友人…そんなにも私を?ああ…素敵だ…ぁ」

昂りを隠すつもりも無いらしい、しがみついた姿勢のまま腰を擦り寄せてくる。
そういうつもりでも無かったが、魅力的な誘いには乗る質である。

『虚も実も』
(まるごと俺が飲み込んであげる)
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