手綱と縋る手(AC6)

「ハンドラーって器用そうだ」
「器用そう、か」
「うん、休みの日はピアノとか弾いてそう」
「とんだ偏見だな…621」
「実際のところは?」
「…俺の手はそんなに柔軟で靱やかに動ける手に見えるか?」
「そう言われたら見た目は硬そう、だが、優しくて温かい手だって俺は知ってる」
「…それは、器用さとは関係無さそうだな」
「無意識なんだろうなハンドラー、それともセンスがいいだけか」
「どういう意味だ」
「俺みたいな端くれを、傷一つ付けないで零さず捕まえてるんだ、ハンドラーは」
「…」
「ド器用、だな」
「…お前は、少し不器用かもな 621…人の褒め方をもう少し練習しておけ」
「ああいうのいやだったか?」
「と言うよりは、褒め出し方が少しズレていたかもな」
「えっ…ハンドラーピアノ弾かないの?」
「……本気で言ってたのか」



*
「もしも弾けたならどうだったんだ」
「…出撃中に歌で鼓舞してほしい」
「歌ならピアノ関係無いと思うぞ」
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