手綱と縋る手(AC6)

「ハンドラーに何かあったら俺は何もかも許せなくなってしまうかもしれない」
「どうした621」
「俺が失踪しても死亡届出されても生きてると信じてくれるハンドラーを俺は愛してるんだ」
「…本当にどうしたんだ、随分夢見が悪かったようだな」

彼に縋り付く。目線の振れる俺の背中を撫でる手が、いつものように温かくない気がする。
俺のこんな様子に血の気が引いてしまったのかも、と妙に冷静になってしまう。
彼を不安にさせるのは不本意なので、夢見が悪かっただけだという事にして撫でる手を受け止め続けた。


*「優し過ぎるな」「お互い様だ」
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