手綱と縋る手(AC6)

「そこに居るのは…621、お前なのか…?」

聞き慣れすぎた声が俺の名を呼ぶ。
ハンドラーが生きていて嬉しいのと同時に、ああ、あの野郎に何かされたんだなと思って泣きたくなる。
身体だけじゃなくて頭の中もズタズタにされただろうに、
それでも、企業が と言いかけてから時々ハンドラーに戻って譫言を繰り返してしまうのが、とても苦しくて

その上稼いだ金で普通の体になって普通の生活させよう、とか思ってくれてたハンドラーの優しさと、その甘さがつらい。

俺が排除されたとしても、用済みのハンドラーは生かしておいてもらえないだろう。と言い聞かせ彼を撃つ。

涙の出る目だったら彼からの射撃は一発も避けられなかったと思う。


*機能以外死んでいることの利点なんて知りたくなかった
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