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携帯獣

自室のシングルベッドに沈む二人分の体重。
スプリングを軋ませながらする行為なんて他に知らないが、少なくとも、この淫らな行為は異常だと思う。

何故なら、私が抱いているのは、兄弟であり青年だから。

――事の発端は、彼が私に抱かれたいと言ったから。

一瞬思考が停止したが、その意味を理解した瞬間、溜まっていた欲に身を任せて、深く口付けを交わした。

白いジャケットを脱がせて、揃いのネクタイを外して、ワイシャツを脱がせば、それに勝るくらい色白の肌。

胸元を撫でてやると、突起に指が引っ掛かる。

摘んで捻ってやれば、口に含んで転がしてやれば、私と同じ顔は甘い声で鳴いてくれる。

「…ノボリ…ッ」
「はい?」
「そん、な、余裕無いの?」
「…何を言っているんですか」
「いつもより、激、し…」

…ああ、言われて見ればそんな気もしますが。
溜まっているんです。大目に見てください。

とは言わずに、無言で後孔に指を這わす。
久々に触れたそこは、自分以外の誰も受け入れていない筈なのに何故だか弛んでいる気がした。

「…クダリ」
「んッ…、なに?」
「此処、誰かに触らせましたか?」
「…そんな事、しないっ」
「ですよね、失礼」
「でもねっ、ノボリの事…考えて、ひとりで弄っちゃうよ」
「…!」
「ねぇ、前儀いらないから、早く頂戴…?」
「しかし、怪我をさせるのは駄目です。クダリ、私がどれだけ貴方を大切にしているか、分かっているのですか?」
「ノボリこそ、僕がどれだけ、…どれだけ…、ノボリ欲しいか、分かってる?」
「…ッ!!」

挑発的なのに熱く潤んだ瞳、紅潮した頬、笑みを浮かべた唇、全てに欲情しないはずも無く。

「…貴方には敵いません」
「ふふ、ノボリ、大好き!」
「私もですよ」

解した後孔に質量のある自身を埋めるように腰を進める。

粘つく水音を立てながら奥深くまで掻き回してやれば、甘い声はやがて快楽に歪んでゆく。

「んっ、うあッ!ノボリっ、ノボリぃッ!」
「…はぁっ、何ですか…ッ?」
「ね、好き!…って、言って」
「……。」

そんなに可愛い顔で言われたら、

「ひッ、あ、あ…っ!やだ…っ、好きって、ねぇ!」
「…っ、」

…言わないわけ、無いじゃないですか!

「言ってくれなきゃ…っ、イけない…からぁ!」

貴方が言うなら、私は!

「ノボ…、好…っ」
「クダリ…!、私も好きです!」
「――ッう!?」

言った刹那、クダリ自身も想定外だったのか、戸惑いながら精を吐き出した。

キツく絞まる後孔に、私も限界が来ていたのでそのまま奥に射精。

残滓も全て吐き出した途端に、身体に疲労が伸し掛かる。

「…っ、あーう…、」
「どうしました?」
「今の、なんか…ちゃんとイけなかった…」
「すみません、つい」
「いい、好きって、嬉しかったから」
「…貴方が望むなら、もう一発くらいは何とかなりそうですよ?」
「ホント!」
「……多分、です」
「ふふ、いいよ、無理しないで」
「…明日もしてもよろしいでしょうか?」
「…何気に溜まってるんだ?」
「…クダリこそ」
「あ、バレてる?」
「それは分かりますよ、貴方の事ですからね」

何でもお見通し、なのではなく、私と貴方の考える事が同じだから、です。



『ホワイトベリー』


(貴方は甘い果実)
(キミは苦いチョコレート)

(重なると、癖になっちゃう)


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