半熟英雄
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「うおおぉっ!燃えてきたぜ!」
「…何に?」
「何って、決まってんだろ!お嬢と釣り合う男になるために自分磨きってのをしてんだよ!」
「なっ…、何言ってんですか貴方は!」
「だってお嬢最近美人になったからさ、俺も頑張んなきゃーって思って」
「はあ…」
「俺頑張るからな!絶対お嬢のハートをゲットしてやるぜ!」
そんな事されなくても、マルティスは充分カッコいいし心なんてとっくに奪われてるのに。とは恥ずかしくて言えないのである。
言えないもんだから彼はあそこまでヒートアップしちゃうんだと思う。
やれやれと肩をすくめるが、これが伝えられない自分に対してもやれやれって感じ。
「だからさ、お嬢」
「なんでしょ?」
「手始めに好きな男のタイプとか教えてくれよ!」
「ばっ…!言えるわけないでしょうそんな事」
「ケチケチすんなって」
「そういう問題じゃありませんって」
「どういう問題なんだよ?」
…鈍感熱太!と叫びたくなる
面と向かって「貴方のことが既に好きです」って言えるほどあたしは心の強い女じゃないんです!って。
「なー、おい。どういう問題なんだよ?」
「え。あ…、だから…その、デリカシーが無いと言いますか…」
「えー?つまりお嬢は品が良い奴が好みって事か!」
「かなり省きましたね!?…でもまぁ、下品よりはよいかと思います」
「んじゃあ俺第一喚問突破じゃね?」
「…何故?」
「俺何気に上品だし!」
「素肌にジャケットの何処が上品なんですか!」
正直目のやり場に困る。
(動く度に腹筋やら胸元がチラつくなんて目に毒で。正直堪らな…、耐えがたい。)
「なんだよ…。って事は、俺はお嬢の守備範囲外?」
「そんっ!そんな事ないです!ばっちりがっつりストライクゾーンです!」
「…は?」
「あっ!」
恐ろしいほどベタなミスを…我ながら情けない!と頭を抱えそうになる
そんな彼女を差し置いて彼の目はキラキラと輝く。
「…え!?今のマジ!?」
「うう…マジ、ですよ」
「よっしゃぁ!まだチャンスあんじゃん俺!」
「…はい?」
「守備範囲内に居れりゃこっちのもんだ!絶対お嬢の事モノにしてやれるぜ!」
なんか言ってる所ずれてるんですが?
あたしは貴方に惚れてるぜ!って言えないのが悪いのだろか…
しかも。絶対、って何度も言ってるけどさ、その自信は何処から来るんですか、と目頭を抑える
「取りあえず何から始めっかな…」
「好きな事からやればいいじゃないですか」
「それだ!よっしゃ、たしかお嬢俺のギター好きだったよな?」
「ん、カッコいいから好きですね」
「んじゃギターの特訓するか!」
…さり気なくカッコいいとか好きとか言ったのに気付かないんかい!
と心の中で盛大に突っ込むお嬢だが、マルティスが『好き』に過剰反応して内心ドキドキなのに気付くはずはなかった。
サングラスで隠れてなかったら目が泳いでるのもバレてそうである
「ンン、あーあー、よし
『ガシ ガシ また また ヒビが入るー
ビシ ビシ また また たまごが割れーるー
エッグキーック!』」
…声はハキハキだが脱力してしまう
「他に歌無いんですか?」
「んじゃあ違うの歌ってやるよ」
聞いといてなんだが他に曲あったっけ、と思う。
『ほんだらへんだらどかびだふんだー』
召喚のやつ…!
そこはエンディングとか歌ってほしかった
『喝ー――ッ!』
召喚じゃなくて回復の方の曲だった。
「…どうよ!俺イケてる?」
「まぁ…いいんじゃないですか?」
「曖昧だな」
「基準無いですし?」
「あー…なるほど!」
「?」
「他にギター弾くヤツ居ないんだろ?だったら実力は俺が1位ってことだな!」
「そういう事になりますね」
「つまり!俺はお嬢と釣り合う男になれたってことだ!」
「…はぁ?」
「メンバーの中で一番可愛いお嬢、メンバーの中で一番ギターの上手い俺…完璧だ!」
なるほど、そういう発想だったのね。と、さりげなく一番可愛いとか褒められて照れてしまう。
しかし肝心のワードを言ってくれないのはわざとなのか
「あ、そうだ!お嬢!」
「なんでしょ?」
「俺はお嬢のハートをゲットできたか?」
「…もちろんです!」
『好きだ!』
って言うのはこそばゆくて。
(何より必要なのは度胸でした!)
終
2010/07/08
加筆修正2022/09/13