「…お腹空いた気がする」
「はい？」
「っていうか、なんかこう、お腹の中寂しいかんじ」
「どういう意味？」
「…分かんない」

久々に休暇をとり、お嬢の元へとやってきたものの、何故だか満たされない気がした。

「…なんか、物足りない」
「フォースくんってそんなに不安定だったっけ？」
「ん、ごめん、俺疲れてるのかも」
「大丈夫？熱計る？」

自分のそれよりも小さい手を額に当てられて、気恥ずかしいような嬉しいような気分になった。

不思議と、少しだけ寂しさが和らいだ気がした。

「うん、熱は無さそうだね」
「…ねぇ、」
「ん？」
「もっと触って…」
「今日は甘えたさんだね」
「なんか、お嬢が触ってくれると、お腹が寂しくなくなるんだ」
「…？あぁ、それはきっと」
「ん？」
「お腹じゃなくて、心が満たされてく感じじゃない？」
「そんな感じ！お嬢なんで分かるの？」
「…私も、同じだから」
「え…」

うっすらと潤んだ瞳で見詰められ、思考が一瞬停止した。

お嬢も寂しかったって？
そんな思いさせるなんて！

俺としては、何とか償わせてほしいと思うわけだ。

「じゃあ、お嬢」
「なあに？」
「抱っこさせて」
「…なっ」
「あ、疚しい意味じゃないよ！？メイクラブじゃなくて、ハグ！」
「な、なぁんだ…、びっくりした」

お嬢は照れ屋な一面がある。これを知ってるのは俺だけ！

自分からは触ってくる癖に、俺が触ろうとすると身を引いてしまう彼女。

そういう初々しい所も可愛いが、それじゃ生殺しもいいとこだ。

「お嬢、おいで」
「…じゃあ、遠慮なく」

胡座をかいた俺の足に跨がるように座り、首に手を回される。

女性特有の柔らかい身体と密着し、不覚にも勃ちそうになる自身を必死に堪えた。

「フォースくん、体温高いんだね」
「ん、お嬢と抱き合ってるからだよ」
「恥ずかしいからなの？」
「ほら、俺顔赤いでしょ？」
「私もだと思う」
「うん、お嬢顔赤い、可愛いよ！」
「またそーいう…」
「ん？」

俺なんか変な事言った？

「フォースくん、天然なのかわざとなのか分かんないよ」
「なんだよ？」
「可愛いって言われたら、照れるに決まってるでしょ？」
「あー、なるほど！」
「天然なんだ…」
「お嬢もね」
「えー？私は敏感だよ？」
「嘘ぉ！だってお嬢は…」
「…私は？」
「…俺に触るくせに、触ろうとすると照れて逃げるでしょ？」
「それは…、」

どうせ恥ずかしいから、とかだろうけど。

なんとなく、お嬢の口から聴きたかった。

「それは？」
「…フォースくんに触られると、えっちな気分になっちゃうんだよ…」
「……え」

一瞬。
本当に一瞬だけ。

意味が分からなかった。

「…それって…、俺に欲情してるって事？」
「うん、まぁ、そういう事」
「それって、なんか困る事かなぁ？」
「だっ、だって！こんな、フォースくんの身体目当てみたいな、欲求不満みたいな…、」
「…そんな事無いよ！だってお嬢は、俺の事好きなんでしょ？だったら、良いんだよ！」
「な、にが…良いの？」
「だって、俺達の間に愛があるから！」
「…ありがと、」
「でもさ、お嬢」
「ん？」
「その話だけ聞くと、お嬢は今欲情してるって事になるよ？」
「…ノーコメントで」
「パンツ触って確認しちゃうよ？」
「……濡れてるから、駄目」
「…っ」

ゾクゾク、と肌が粟立った。

色々思う所もあるが何よりも、今すぐお嬢にキスして、脱がせて、それから…、ナニしたい。

「お嬢…」
「なに？」
「シたいなぁ、なんて」
「…いいよ」
「え」
「私も、シたいから…」
「…濡れてんだっけ」
「……だから、ね？」
「じゃあ、明日も休みだし頑張っちゃおっかな」
「ほどほどにしてよ…」
「それはお嬢次第ってコトで！」






『さてどうシようか。』

(手加減？そんなのできるわけないでしょ！)