Prologue
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昨日の騒ぎはどこへやら。あたしは皿洗いが終わった後大人しくナミとロビンが寝ている女部屋にもう一つハンモックをサンジに掛けてもらいその日は眠りについた。そして今、きっと朝なんだろうけど誰も起きてる気配がしない。あー、こりゃ昨日遅くまで騒いでたんだろ。変な世界に来たから気づかなかったけど、身体は相当疲れてたみたい。横になったらすぐに寝れた。
泥のついた制服で寝るのはだめだと寝る前にナミに言われてシャツとジーパンを貸してもらってから寝た。裾が余ったから捲っといた。
とりあえず借りを返すために何かできることがないか探すため、甲板に上がることにした。制服は後で洗うか。確か水汲んであるって言ってたしナミが起きてから使っていいか聞こ。女部屋を出て、甲板に出る。んーっと背筋を伸ばせばぎぎぎ、と軋んだ音を鳴らした。
……なんだこれ。こいつら、船大事にするって心意気がねぇのか。昨日の名残なんだろうけどあたりには酒瓶やら食べかすやらが散らばりまくってる。メシの時も見たけどココの男の食い方は汚すぎる。ナミが言ってたのガチだったな。
甲板上がる前に倉庫通って雑巾とバケツあったし持ってきたけど、雑巾1枚じゃ確実に足りないくらい汚れてる。……キッチン行って水汲んでくっか。こいつらは船乗せてくれてるわけだし着く前に出来る限りやれることはやらねぇと。バケツ片手にキッチンに上ろうとしたとき。
「ルイちゃん、早起きだね」
「げ」
この船のコック、サンジが手摺に肘を乗せて一服ふかしていた。朝からこいつに会うなんて最悪。しかも目的の水を入手する場所の前でふかしているから入れない。予定変更、先に転がってる酒瓶を片付けっか。くるりと回れ右をして甲板へ向き直る。
「あぁすまねぇ、苦手だったかい?」
あたしが背中を向けたから煙草が苦手だと思ったんだろう。むなポケットから携帯灰皿を取り出しまだ長いソレを中へ押し潰す。ぐじゅ、なんて音が懐かしい。別に煙草は苦手じゃねぇ、お前だ、煙草じゃなくてお前が苦手なんだよ気づけ。
「別に、においは慣れてる」
「誰か吸ってたんだ?」
「……まぁ」
だから吸ってれば、と投げてから瓶を拾いに行く。女性陣はちゃんと部屋で寝てるっつーのに男はここで雑魚寝してる。正直邪魔、だけど海賊ってのはこれが普通なのか。
空のバケツに開いた瓶やら缶を詰め込む。酒臭いけどこれも慣れてる。……つか、こいつ何で起きてんの。あんた以外の男全員ここで雑魚寝してんだけど。
振り返って視線を送ると何が言いたいか気づいたみたいで口を開いた。
「朝飯の仕込み。うちの船長は起きたらメシメシってうるせぇだろ?」
「あー、確かに」
だからサンジは一人早起きしてるってわけか、昨日も思ったけど無限胃袋の船長持つと大変だな。…朝飯か、もう全然食べてねぇ。前は大体起きんのは昼だし今みたいに早く起きても腹減らねぇし食う必要ないと思ってた。……腹減ってねぇしあたしは食わないことにしよ。
もう一度瓶拾いに勤しむあたしの背後から声が降り注ぐ。
「別にルイちゃんが片付けなくたっていいんだぜ?起きたら勝手に自分ですんだから」
こいつ、あたしの返答わかってて聞いてんの?シュボっとライターを付ける音がしたからもう一本吸い始めたんだろう。
……前の世界のことを思い出す。あたしが毎晩つるんでた友達というか仲間。あたし以外は煙草も酒もやってたから、においには慣れてる。多分、あたしがゴミ拾いしてるとこなんて見られたら爆笑もんだろ。こんな奉仕なんてしたことねぇし酒の肴にされるわ。あたしがいない今、つかきっとあっちの世界ではあたし死んだことになってんだろな。あいつら大丈夫なんかな。最後にリンチされたやつに狙われてねぇかな。
「……借りだから」
「借りっつうけどよ、俺らは何も借した覚えはねぇよ」
「あたしの気がすまねぇ」
そう、違うんだ。あんたらがどう思ってもあたしはそういう生き方をしてきたから何が何でも返さなきゃいけねぇんだ。だから、そんなこと言われたってあたし、そっかなんて納得できないんだよ。
まだまだ転がる酒瓶に手を付けた。
08.少女の背中は小さくて
(縛り付けてんのはなんなのか、俺にはさっぱりだ)
泥のついた制服で寝るのはだめだと寝る前にナミに言われてシャツとジーパンを貸してもらってから寝た。裾が余ったから捲っといた。
とりあえず借りを返すために何かできることがないか探すため、甲板に上がることにした。制服は後で洗うか。確か水汲んであるって言ってたしナミが起きてから使っていいか聞こ。女部屋を出て、甲板に出る。んーっと背筋を伸ばせばぎぎぎ、と軋んだ音を鳴らした。
……なんだこれ。こいつら、船大事にするって心意気がねぇのか。昨日の名残なんだろうけどあたりには酒瓶やら食べかすやらが散らばりまくってる。メシの時も見たけどココの男の食い方は汚すぎる。ナミが言ってたのガチだったな。
甲板上がる前に倉庫通って雑巾とバケツあったし持ってきたけど、雑巾1枚じゃ確実に足りないくらい汚れてる。……キッチン行って水汲んでくっか。こいつらは船乗せてくれてるわけだし着く前に出来る限りやれることはやらねぇと。バケツ片手にキッチンに上ろうとしたとき。
「ルイちゃん、早起きだね」
「げ」
この船のコック、サンジが手摺に肘を乗せて一服ふかしていた。朝からこいつに会うなんて最悪。しかも目的の水を入手する場所の前でふかしているから入れない。予定変更、先に転がってる酒瓶を片付けっか。くるりと回れ右をして甲板へ向き直る。
「あぁすまねぇ、苦手だったかい?」
あたしが背中を向けたから煙草が苦手だと思ったんだろう。むなポケットから携帯灰皿を取り出しまだ長いソレを中へ押し潰す。ぐじゅ、なんて音が懐かしい。別に煙草は苦手じゃねぇ、お前だ、煙草じゃなくてお前が苦手なんだよ気づけ。
「別に、においは慣れてる」
「誰か吸ってたんだ?」
「……まぁ」
だから吸ってれば、と投げてから瓶を拾いに行く。女性陣はちゃんと部屋で寝てるっつーのに男はここで雑魚寝してる。正直邪魔、だけど海賊ってのはこれが普通なのか。
空のバケツに開いた瓶やら缶を詰め込む。酒臭いけどこれも慣れてる。……つか、こいつ何で起きてんの。あんた以外の男全員ここで雑魚寝してんだけど。
振り返って視線を送ると何が言いたいか気づいたみたいで口を開いた。
「朝飯の仕込み。うちの船長は起きたらメシメシってうるせぇだろ?」
「あー、確かに」
だからサンジは一人早起きしてるってわけか、昨日も思ったけど無限胃袋の船長持つと大変だな。…朝飯か、もう全然食べてねぇ。前は大体起きんのは昼だし今みたいに早く起きても腹減らねぇし食う必要ないと思ってた。……腹減ってねぇしあたしは食わないことにしよ。
もう一度瓶拾いに勤しむあたしの背後から声が降り注ぐ。
「別にルイちゃんが片付けなくたっていいんだぜ?起きたら勝手に自分ですんだから」
こいつ、あたしの返答わかってて聞いてんの?シュボっとライターを付ける音がしたからもう一本吸い始めたんだろう。
……前の世界のことを思い出す。あたしが毎晩つるんでた友達というか仲間。あたし以外は煙草も酒もやってたから、においには慣れてる。多分、あたしがゴミ拾いしてるとこなんて見られたら爆笑もんだろ。こんな奉仕なんてしたことねぇし酒の肴にされるわ。あたしがいない今、つかきっとあっちの世界ではあたし死んだことになってんだろな。あいつら大丈夫なんかな。最後にリンチされたやつに狙われてねぇかな。
「……借りだから」
「借りっつうけどよ、俺らは何も借した覚えはねぇよ」
「あたしの気がすまねぇ」
そう、違うんだ。あんたらがどう思ってもあたしはそういう生き方をしてきたから何が何でも返さなきゃいけねぇんだ。だから、そんなこと言われたってあたし、そっかなんて納得できないんだよ。
まだまだ転がる酒瓶に手を付けた。
08.少女の背中は小さくて
(縛り付けてんのはなんなのか、俺にはさっぱりだ)