in SKYPIA
change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「神がいるのか!!?絶対に足を踏み入れちゃならない場所に……!!!」
コニス宅でサンジの作った料理を堪能していた頃、ウェイバーに乗っていたナミが失踪。それに気づいたコニスとパガヤが、その神の住む”聖域”に行ったのではないかとのことで。うちの船長が神とか言う非現実的なものに惹かれないわけがなく、案の定食い付いた。
神なんているわけない、なんて思ってるけどこの世界はあたしの常識が通じる場所じゃないことは分かってっから、いるんだろうなぁ、空に島があるくらいだしなぁ、人間の身体が伸びたり縮んだりするくらいだしなぁ。
ゴッド
「はい。ここは”神の国”ですから全能の神、”神・エネル”によって治められているのです」
…コニス、良心からだと思うけどそれを言ったら終わりなんだ。そんな丁寧に説明されて、会いたがらなくなる船長じゃねぇんだ、うちのは。そしてあたし達はルフィが興味を持ったことには強制的に連れていかれる、そういう風にうちの海賊団はできてんだ…。
「おいルフィ!!!てめェ今何考えてる!!?話をよく聞けよ!!?足を踏み入れちゃならないっていうのは絶対にそこに入っちゃならないって意味なんだぞ!!?ルフィ!!?」
「そうか…絶対に入っちゃいけねェ場所かァ……」
ウソップが胸倉を掴んで言い聞かせるけど当の本人はそんな言葉もお構いなしで、神とか言う存在に思いを馳せてる。ウソップも聞かないって分かってて言ってんのかな。
バルコニーから戻り、まだ温かい料理を口へ運ぶ。コニス父が獲ってきたロブスターなんだけど、ロブスターって初めて食ったな。なんか、ぷりぷりしてて美味い。これは癖になりそうだけど、この先も食いたいって言っていいもんか…うちの海賊団、金ないっぽかったもんな…今の内にたらふく食っとこ。
「おいルイ、お前も言ってやってくれよ!入っちゃならねェっつーんだから、入ったら最後俺たちの命はないぞ!」
「無駄だろ、ルフィが興味持ったもんはあたしらも持たなきゃなんねーんだから」
「諦めが早いだろォ!怖くねェのかよ!?」
ロブスターを堪能していただけなのにあたしにも飛び火。前にもこんな感じの話したと思うけど、無駄なんだって。それに、
「ルイ~、神様だってよ!入っちゃいけねェ場所だってよ~!」
このだらしない顔をしてる船長が、誰も死なせないと思うから。だから、安心して諦められるんだ。
「っつーことで、あたしは腹ごしらえに忙しいから」
「何がだよ!?くそ、お前は仲間だと思ってたのにィ~!」
ウソップよ、お前はあたしよりルフィと居る時間長いくせにまだ喚いてんだな。そろそろ順応しろよあたしはしたぞ。それにあたしはソッチの仲間じゃねぇ。ビビり扱いやめろ。大雑把に加えてビビりはやめろ。
「おし!!とにかくナミを探しに行こう!!あ、でもちょっとまてこれ食ったらな」
ルフィの好奇心が最高潮となったところで、ナミを探すべく船へ移動。探しに行くって言った本人はナミより料理の方が大事らしくて、口にかっ詰めてるけどサンジが制止。船に戻るついでに、あたしがこの世界に来る前に手に入れた、古いウェイバーを見てもらうことになった。
あたしはというと、最後の一口を頬張り船へと急いだ。折角水着来たのにあんまりリゾート楽しめなかったのが心残りかも。まぁ冒険は始まったばっかだからそんなに落ち込んでも仕方ない。空島以外にもリゾートっぽい場所もあるかもしれねぇし。既に次の冒険に期待してるあたし、ちょっと浮かれてたりする?
「あ、そういえばルイ」
「え、何」
船に戻って一服、あたしは船のなんやかんやはわかんないから全部ゾロにお任せ。出航の準備を進めてもルフィがウェイバー見せてるから、今はルフィ待ち。水着は名残惜しいけどナミのTシャツを拝借して上から着た。ジャヤでは服買い忘れたから、次の島では買わなきゃな、なんて考えてた頃。思い出したかのようにウソップがあたしを見た。
全く心当たりのないあたしの脳みそはハテナで埋め尽くされたけど、取り出されたものを見てすぐに思い出す。
「……ヌンチャク?」
「前に武器作ってやるって言ってただろ?これから神の土地に行くんだ、これ持って備えとけ」
「あぁ、ありがたいけど…なんで床に置いてんの?なんで手渡しじゃねぇの?」
「ふっふっふ…それは持ってみればわかる!!」
以前、あたしが仲間になってすぐの時、確かナミと2人であたしの武器を作るたらなんたら言ってたような。刀とか銃とかだったらどうしようと思ってたけど、想像の斜め上を行ってヌンチャク。チャイニーですか。いや、前の世界は銃刀法違反というものがあって、そりゃ刀やら銃は扱ったことないしもし渡されたとしても抵抗あったと思うけど、ヌンチャクもないからな?ヌンチャクも扱った事ないから、ぶん回すことしかできねーよ?
そんな考えとは打って変わり、床に転がるヌンチャクを見る。本当に、あたしの世界にも存在したヌンチャク。持ち手が滑らないようグリップになっていて、鎖でつながれている2本の棒。あたしが見たことあるヌンチャクより、棒が長いように思えるけど、それだけ。手渡さないウソップを訝し気に見た後、その武器を取り上げようとした。
そう、したんだ。
「おっっっっっっも!!!!!」
それはもう、とてつもなく重くて。人一人分あんのかってくらい重い。うん、持てないほどじゃない、頑張れば持てる。本当に頑張れば持てる。が、常備できるような重さじゃない。しかもヌンチャク、これを武器にするってことは振り回すってことでしょ?いや、おい。出来るわけないだろ。オイ。出来るわけないだろ!!!
「そりゃそうだ、そのヌンチャクは1本50kgあるんだからな!」
1本50kg、それが繋がって2本分だから、合計100kg…
「アホかぁぁ!!!んなの持って戦えるわけないだろーがぁぁ!!あたしが女って忘れてんのか!?100kgなんて持てるわけないだろ!!」
「お前な、普通のヌンチャクでこれから現れる敵を倒せると思ってんのか?現にあのベラミーと戦えると思うか?っつーことで、ここは一味違うヌンチャクにしてやろうと思ったわけよ!」
…開いた口が塞がらねぇって、こんな感覚なんだな。そして足元には持てず床に転がったままのヌンチャク。確かに、ウソップの言うこともわかる。ベラミーみたいなのに普通の武器が通用するわけない、それこそ達人でも何でもなければ。この重いヌンチャクを軽々持って戦えば、敵を欺けるし不意を突けるかもしれない。
暫く考えて結論に至る。これ、扱えるようになったら強いんじゃね?ぶっちゃけ現実離れしてるし100kgなんて普通の人間が持てるわけない。けど、この世界では普通の人間のままじゃ生き残れないんだ。だから、普通の人間を辞めることからまず、始めないといけない。
「…分かった。これ持てるようになって、これで戦う。サンキュ、ウソップ」
意を決したあたしは床に転がる武器と見つめ合い、ルフィが来るまでの間少しでも、と持ち上げる練習を始めた。
が。もちろんそう簡単に100kgのヌンチャクを女ひとりが持ち上げられる訳もなく。
何とか奮闘して床から5cmほどまで持ち上げられるようになった所で、声が掛かった。
「まず足を肩幅に開け」
「あ、?」
声の主はゾロ。偉そうに腕組みをしてあたしを見下ろしてるから、少しムカつくけどよく考えたらサンジが"筋肉ダルマ"って言ってた気がする。という事は常日頃から筋トレをして培われた筋肉。だから、重いものも当然持ち上げてるってわけだ。
それを瞬時に理解出来た自分を褒めながら、素直に言う事に従ってみることにした。
「こう?」
「腕を伸ばして太腿の近くまで持てってみろ」
「ふんっ!…ぐ、ぅ〜…!!!ぐぐ…!!!」
言われた通りに足を肩幅に開いて床に転がるヌンチャクの端と端付近を持ち、太腿まで一気に持ち上げ……ようとした。そう、頑張った。けど、そう簡単に持ち上がるものでもなく、5cmと数ミリ持ち上げてから数秒、ゴドン、と鈍い音を鳴らしヌンチャクは悲しくも床に転がった。
ゾロの言う通りにすれば持ち上がるんだろうけど、なんせまず、5cmから持ち上げることが出来ないんだから無理。あたし、非力すぎない?いや、普通100kg持てる方がおかしいからあたしは正常なのか。
「…こりゃまずは筋トレからだな」
虚しく床に転がるあたしの武器とあたしの腕を見やった後、マリモの口からは呆れの言葉が漏れ、あたしの腕は悲鳴を上げた。
もともと船の準備に関してはからっきしのあたしがさらに腕が悲鳴を上げたことによって使い物にならなくなった頃、浜辺のルフィたちのところへ、何やら匍匐前進で近寄る影が…多分十数。コニスたちと同じく「へそ!」と言ってるからまぁここの住人なんだろう。
ちなみにヌンチャクはまだ持てないから、ゾロが片付けてくれた。簡単に持ち上げる筋肉だるまに少し戦慄した。
「なんで匍匐前進してんだ、あいつら」
「わからねェ…多分あいつら変態だ!」
「へー、あれが変態か」
「チョッパー、変態ってのはそこの金髪のことを言うんだぞ」
浜辺の匍匐前進部隊を見ながらサンジ、ウソップ、チョッパーの順に感想を述べる。最後のチョッパーには訂正入れておいたけど、あながち訂正しなくても間違ってなかったかもな、世の中にはいろんな変態がいるし。あいつらもその一種だと思えばそんなもんか。
「おいルフィ放っとけ!!早くナミさん探しに行くぞ!!」
確かに、サンジの言う通り放っておくのが妥当かもしれない。あたしだったら放っておくし、多分ルフィもそのつもりだったと思う。その兵隊の次の言葉を聞くまでは。
「あなた達ですね!?“青海“からやって来られた不法入国者8名と言うのは!!」
「…え、あたし達って不法入国者なんだ……」
思わず漏れた声はただの独り言に終わることはなく、そのままクルーにバトンが渡された。
確か金がすげぇかかるけど、ナミが払えないって言ったら普通に通してくれたし、一応入ります宣言してるし不法入国にはならないんじゃって思うけど。
「……でも、それでも通っていいって…!!あのバアさん!」
「そーだそーだ、あたしら通っていいって言われて来てっし!」
「言い訳はおやめ下さいまし。認めてください」
ウソップとあたしの反論虚しく一蹴。撃沈。言い訳じゃねぇし本当に言ってたことだし!更に油を投下する予定で開いた口は、結果なにも発することなくて。
「…ですがまだそう焦ることもありません」
兵隊の言葉が先を走った。
そいつらが言うにはこうだ。あたし達は一応犯罪者だけど、それ相応の罰を受け入れればお咎めは無しと。その罰というのは、入国料の10倍を払うこと。入る時が1人10億、え、えく、エクストル?だったからその10倍、1人100億エクストル?を払えばいいらしい。ぶっちゃけこっちの世界の単価が全くわからないけど、ベリー?に直すと8人で800万ベリーになるんだって。800万円って把握しといていいのか?
“円“に直したところで800万。はいわかりました、って簡単にポンと出せる金額じゃねぇってのはあたしにもわかる。よってその罰はあたしは償えない方に賭ける!
「そんな金あるなら、もっとマシな武器作り直してもらう」
「おいルイ!あれでも結構金かかってるからな!?」
これからあの武器を使うにあたって筋トレが必須になってしまった腹いせだバカ鼻。あの筋肉だるま剣士みたいにムキムキになったらどうすんだよ、腕とか首とかあんな太くなって…考えるのやめよ、気持ち悪くなってきた。おえ。
「高すぎるわよ!!!」
めき、と何かにめり込む音に加えて聞き慣れた怒鳴り声。筋肉に殺されそうになっていたあたしの耳にはそれだけで十分すぎる状況が伝達されて、ついでに目にも共有されて。
…ナミが乗っていたウェイバーごと、兵隊を蹴り倒していた。
「…あたしより暴力的じゃん」
「今のは事故よ事故!!」
「故意的に蹴り倒したじゃん」
「うるさいわよルイ!早く逃げるからあんたも手伝いなさいよ!!」
こ、こわ…やっぱりナミには逆らわない方がいい、逆らったら最後拳骨が何個降り注ぐかわかんねぇし。とりあえず何をしたらいいかわからないけど、ナミが船に上がってくるっぽいし梯子くらいは下ろしとくか。
「待て〜〜い!!!」
縄梯子を下ろしている最中、兵隊の声が辺りに轟いた。思わず梯子を落としたり…なんてヘマはしないけど、あいつらの近くにはナミとルフィがいるわけだし、何かされないかと一応目を向ける。隊長のような男は相変わらずでかい声で続ける。
「…逃げ場などすでにありはしない!!我々に対する数々の暴言、それに今のは完全な公務執行妨害…第5級犯罪に値している…!!!」
ゴッド
「“神・エネル“の御名において、お前達を“雲流し“に処す!!!」
「…雲流し?」
いまいち実感の湧かない発言に首を捻る。雲流しってなんだ、雲ちぎって流す楽しい行事…な訳ないよな。犯罪者に対する罰がそんなんだったら、この空島犯罪者だらけになってるよな。
「何だそれ”雲流し”って、気持ちよさそうだな」
「よくありません!!逃げ場のない大きさの島雲に船ごと乗せられて、骨になるまで空をさ迷い続ける刑です、死刑です!!!」
あたしと全く同じ思考回路だったルフィに、コニスが訂正を兼ねて教えてくれた。
あたしとルフィの思考回路が一緒っていう心外点は置いといて、しけい、死刑。雲流しって響きにしてはやばい刑なんじゃん、あたしとルフィの呑気さに呆れそうだわ。
「引っ捕らえろ!!!」
下ろしていた梯子がやっと地面に着いた頃、隊長の掛け声によって十数人の兵隊が一斉に弓を構えた。ルフィはいいとして、浜辺にはまだナミがいる。ましてやコニスとコニス父がいる。あの矢が当たりでもしたら掠り傷じゃすまないのは見てわかる。
このままじゃやばい。ナミに当たったら。コニス達に万が一でも当たったら。早く、早く!
「っ待て待て!お前まだ怪我治ってねェじゃねェか!!飛び出して何になる!!」
弓を構えた反射で船の手摺に足を掛け、飛び出していこうとしたあたしの腕をウソップが掴む。が、火に油なわけでそれはあたしを喚かせるだけ。
「でもナミが!」
「ルイちゃん言ったろ?頼ってくれって」
ポン、と、あたしの肩を簡単に覆うくらいの手が置かれて。返事をする前にそいつは船を飛び出していった。
…あたしはあいつのその言葉に確か、うんって言った。から、ここで言うこと聞かずに飛び出していったらどんだけ信用ないんだってことになる。
火に油を注がれたはずなのに、火はそいつの一言に一瞬にして鎮火された。
「…クソ金髪」
呟くころには、ウソップの腕は離れていた。
31.まさかこの世界で
(犯罪者になるなんて)
コニス宅でサンジの作った料理を堪能していた頃、ウェイバーに乗っていたナミが失踪。それに気づいたコニスとパガヤが、その神の住む”聖域”に行ったのではないかとのことで。うちの船長が神とか言う非現実的なものに惹かれないわけがなく、案の定食い付いた。
神なんているわけない、なんて思ってるけどこの世界はあたしの常識が通じる場所じゃないことは分かってっから、いるんだろうなぁ、空に島があるくらいだしなぁ、人間の身体が伸びたり縮んだりするくらいだしなぁ。
ゴッド
「はい。ここは”神の国”ですから全能の神、”神・エネル”によって治められているのです」
…コニス、良心からだと思うけどそれを言ったら終わりなんだ。そんな丁寧に説明されて、会いたがらなくなる船長じゃねぇんだ、うちのは。そしてあたし達はルフィが興味を持ったことには強制的に連れていかれる、そういう風にうちの海賊団はできてんだ…。
「おいルフィ!!!てめェ今何考えてる!!?話をよく聞けよ!!?足を踏み入れちゃならないっていうのは絶対にそこに入っちゃならないって意味なんだぞ!!?ルフィ!!?」
「そうか…絶対に入っちゃいけねェ場所かァ……」
ウソップが胸倉を掴んで言い聞かせるけど当の本人はそんな言葉もお構いなしで、神とか言う存在に思いを馳せてる。ウソップも聞かないって分かってて言ってんのかな。
バルコニーから戻り、まだ温かい料理を口へ運ぶ。コニス父が獲ってきたロブスターなんだけど、ロブスターって初めて食ったな。なんか、ぷりぷりしてて美味い。これは癖になりそうだけど、この先も食いたいって言っていいもんか…うちの海賊団、金ないっぽかったもんな…今の内にたらふく食っとこ。
「おいルイ、お前も言ってやってくれよ!入っちゃならねェっつーんだから、入ったら最後俺たちの命はないぞ!」
「無駄だろ、ルフィが興味持ったもんはあたしらも持たなきゃなんねーんだから」
「諦めが早いだろォ!怖くねェのかよ!?」
ロブスターを堪能していただけなのにあたしにも飛び火。前にもこんな感じの話したと思うけど、無駄なんだって。それに、
「ルイ~、神様だってよ!入っちゃいけねェ場所だってよ~!」
このだらしない顔をしてる船長が、誰も死なせないと思うから。だから、安心して諦められるんだ。
「っつーことで、あたしは腹ごしらえに忙しいから」
「何がだよ!?くそ、お前は仲間だと思ってたのにィ~!」
ウソップよ、お前はあたしよりルフィと居る時間長いくせにまだ喚いてんだな。そろそろ順応しろよあたしはしたぞ。それにあたしはソッチの仲間じゃねぇ。ビビり扱いやめろ。大雑把に加えてビビりはやめろ。
「おし!!とにかくナミを探しに行こう!!あ、でもちょっとまてこれ食ったらな」
ルフィの好奇心が最高潮となったところで、ナミを探すべく船へ移動。探しに行くって言った本人はナミより料理の方が大事らしくて、口にかっ詰めてるけどサンジが制止。船に戻るついでに、あたしがこの世界に来る前に手に入れた、古いウェイバーを見てもらうことになった。
あたしはというと、最後の一口を頬張り船へと急いだ。折角水着来たのにあんまりリゾート楽しめなかったのが心残りかも。まぁ冒険は始まったばっかだからそんなに落ち込んでも仕方ない。空島以外にもリゾートっぽい場所もあるかもしれねぇし。既に次の冒険に期待してるあたし、ちょっと浮かれてたりする?
「あ、そういえばルイ」
「え、何」
船に戻って一服、あたしは船のなんやかんやはわかんないから全部ゾロにお任せ。出航の準備を進めてもルフィがウェイバー見せてるから、今はルフィ待ち。水着は名残惜しいけどナミのTシャツを拝借して上から着た。ジャヤでは服買い忘れたから、次の島では買わなきゃな、なんて考えてた頃。思い出したかのようにウソップがあたしを見た。
全く心当たりのないあたしの脳みそはハテナで埋め尽くされたけど、取り出されたものを見てすぐに思い出す。
「……ヌンチャク?」
「前に武器作ってやるって言ってただろ?これから神の土地に行くんだ、これ持って備えとけ」
「あぁ、ありがたいけど…なんで床に置いてんの?なんで手渡しじゃねぇの?」
「ふっふっふ…それは持ってみればわかる!!」
以前、あたしが仲間になってすぐの時、確かナミと2人であたしの武器を作るたらなんたら言ってたような。刀とか銃とかだったらどうしようと思ってたけど、想像の斜め上を行ってヌンチャク。チャイニーですか。いや、前の世界は銃刀法違反というものがあって、そりゃ刀やら銃は扱ったことないしもし渡されたとしても抵抗あったと思うけど、ヌンチャクもないからな?ヌンチャクも扱った事ないから、ぶん回すことしかできねーよ?
そんな考えとは打って変わり、床に転がるヌンチャクを見る。本当に、あたしの世界にも存在したヌンチャク。持ち手が滑らないようグリップになっていて、鎖でつながれている2本の棒。あたしが見たことあるヌンチャクより、棒が長いように思えるけど、それだけ。手渡さないウソップを訝し気に見た後、その武器を取り上げようとした。
そう、したんだ。
「おっっっっっっも!!!!!」
それはもう、とてつもなく重くて。人一人分あんのかってくらい重い。うん、持てないほどじゃない、頑張れば持てる。本当に頑張れば持てる。が、常備できるような重さじゃない。しかもヌンチャク、これを武器にするってことは振り回すってことでしょ?いや、おい。出来るわけないだろ。オイ。出来るわけないだろ!!!
「そりゃそうだ、そのヌンチャクは1本50kgあるんだからな!」
1本50kg、それが繋がって2本分だから、合計100kg…
「アホかぁぁ!!!んなの持って戦えるわけないだろーがぁぁ!!あたしが女って忘れてんのか!?100kgなんて持てるわけないだろ!!」
「お前な、普通のヌンチャクでこれから現れる敵を倒せると思ってんのか?現にあのベラミーと戦えると思うか?っつーことで、ここは一味違うヌンチャクにしてやろうと思ったわけよ!」
…開いた口が塞がらねぇって、こんな感覚なんだな。そして足元には持てず床に転がったままのヌンチャク。確かに、ウソップの言うこともわかる。ベラミーみたいなのに普通の武器が通用するわけない、それこそ達人でも何でもなければ。この重いヌンチャクを軽々持って戦えば、敵を欺けるし不意を突けるかもしれない。
暫く考えて結論に至る。これ、扱えるようになったら強いんじゃね?ぶっちゃけ現実離れしてるし100kgなんて普通の人間が持てるわけない。けど、この世界では普通の人間のままじゃ生き残れないんだ。だから、普通の人間を辞めることからまず、始めないといけない。
「…分かった。これ持てるようになって、これで戦う。サンキュ、ウソップ」
意を決したあたしは床に転がる武器と見つめ合い、ルフィが来るまでの間少しでも、と持ち上げる練習を始めた。
が。もちろんそう簡単に100kgのヌンチャクを女ひとりが持ち上げられる訳もなく。
何とか奮闘して床から5cmほどまで持ち上げられるようになった所で、声が掛かった。
「まず足を肩幅に開け」
「あ、?」
声の主はゾロ。偉そうに腕組みをしてあたしを見下ろしてるから、少しムカつくけどよく考えたらサンジが"筋肉ダルマ"って言ってた気がする。という事は常日頃から筋トレをして培われた筋肉。だから、重いものも当然持ち上げてるってわけだ。
それを瞬時に理解出来た自分を褒めながら、素直に言う事に従ってみることにした。
「こう?」
「腕を伸ばして太腿の近くまで持てってみろ」
「ふんっ!…ぐ、ぅ〜…!!!ぐぐ…!!!」
言われた通りに足を肩幅に開いて床に転がるヌンチャクの端と端付近を持ち、太腿まで一気に持ち上げ……ようとした。そう、頑張った。けど、そう簡単に持ち上がるものでもなく、5cmと数ミリ持ち上げてから数秒、ゴドン、と鈍い音を鳴らしヌンチャクは悲しくも床に転がった。
ゾロの言う通りにすれば持ち上がるんだろうけど、なんせまず、5cmから持ち上げることが出来ないんだから無理。あたし、非力すぎない?いや、普通100kg持てる方がおかしいからあたしは正常なのか。
「…こりゃまずは筋トレからだな」
虚しく床に転がるあたしの武器とあたしの腕を見やった後、マリモの口からは呆れの言葉が漏れ、あたしの腕は悲鳴を上げた。
もともと船の準備に関してはからっきしのあたしがさらに腕が悲鳴を上げたことによって使い物にならなくなった頃、浜辺のルフィたちのところへ、何やら匍匐前進で近寄る影が…多分十数。コニスたちと同じく「へそ!」と言ってるからまぁここの住人なんだろう。
ちなみにヌンチャクはまだ持てないから、ゾロが片付けてくれた。簡単に持ち上げる筋肉だるまに少し戦慄した。
「なんで匍匐前進してんだ、あいつら」
「わからねェ…多分あいつら変態だ!」
「へー、あれが変態か」
「チョッパー、変態ってのはそこの金髪のことを言うんだぞ」
浜辺の匍匐前進部隊を見ながらサンジ、ウソップ、チョッパーの順に感想を述べる。最後のチョッパーには訂正入れておいたけど、あながち訂正しなくても間違ってなかったかもな、世の中にはいろんな変態がいるし。あいつらもその一種だと思えばそんなもんか。
「おいルフィ放っとけ!!早くナミさん探しに行くぞ!!」
確かに、サンジの言う通り放っておくのが妥当かもしれない。あたしだったら放っておくし、多分ルフィもそのつもりだったと思う。その兵隊の次の言葉を聞くまでは。
「あなた達ですね!?“青海“からやって来られた不法入国者8名と言うのは!!」
「…え、あたし達って不法入国者なんだ……」
思わず漏れた声はただの独り言に終わることはなく、そのままクルーにバトンが渡された。
確か金がすげぇかかるけど、ナミが払えないって言ったら普通に通してくれたし、一応入ります宣言してるし不法入国にはならないんじゃって思うけど。
「……でも、それでも通っていいって…!!あのバアさん!」
「そーだそーだ、あたしら通っていいって言われて来てっし!」
「言い訳はおやめ下さいまし。認めてください」
ウソップとあたしの反論虚しく一蹴。撃沈。言い訳じゃねぇし本当に言ってたことだし!更に油を投下する予定で開いた口は、結果なにも発することなくて。
「…ですがまだそう焦ることもありません」
兵隊の言葉が先を走った。
そいつらが言うにはこうだ。あたし達は一応犯罪者だけど、それ相応の罰を受け入れればお咎めは無しと。その罰というのは、入国料の10倍を払うこと。入る時が1人10億、え、えく、エクストル?だったからその10倍、1人100億エクストル?を払えばいいらしい。ぶっちゃけこっちの世界の単価が全くわからないけど、ベリー?に直すと8人で800万ベリーになるんだって。800万円って把握しといていいのか?
“円“に直したところで800万。はいわかりました、って簡単にポンと出せる金額じゃねぇってのはあたしにもわかる。よってその罰はあたしは償えない方に賭ける!
「そんな金あるなら、もっとマシな武器作り直してもらう」
「おいルイ!あれでも結構金かかってるからな!?」
これからあの武器を使うにあたって筋トレが必須になってしまった腹いせだバカ鼻。あの筋肉だるま剣士みたいにムキムキになったらどうすんだよ、腕とか首とかあんな太くなって…考えるのやめよ、気持ち悪くなってきた。おえ。
「高すぎるわよ!!!」
めき、と何かにめり込む音に加えて聞き慣れた怒鳴り声。筋肉に殺されそうになっていたあたしの耳にはそれだけで十分すぎる状況が伝達されて、ついでに目にも共有されて。
…ナミが乗っていたウェイバーごと、兵隊を蹴り倒していた。
「…あたしより暴力的じゃん」
「今のは事故よ事故!!」
「故意的に蹴り倒したじゃん」
「うるさいわよルイ!早く逃げるからあんたも手伝いなさいよ!!」
こ、こわ…やっぱりナミには逆らわない方がいい、逆らったら最後拳骨が何個降り注ぐかわかんねぇし。とりあえず何をしたらいいかわからないけど、ナミが船に上がってくるっぽいし梯子くらいは下ろしとくか。
「待て〜〜い!!!」
縄梯子を下ろしている最中、兵隊の声が辺りに轟いた。思わず梯子を落としたり…なんてヘマはしないけど、あいつらの近くにはナミとルフィがいるわけだし、何かされないかと一応目を向ける。隊長のような男は相変わらずでかい声で続ける。
「…逃げ場などすでにありはしない!!我々に対する数々の暴言、それに今のは完全な公務執行妨害…第5級犯罪に値している…!!!」
ゴッド
「“神・エネル“の御名において、お前達を“雲流し“に処す!!!」
「…雲流し?」
いまいち実感の湧かない発言に首を捻る。雲流しってなんだ、雲ちぎって流す楽しい行事…な訳ないよな。犯罪者に対する罰がそんなんだったら、この空島犯罪者だらけになってるよな。
「何だそれ”雲流し”って、気持ちよさそうだな」
「よくありません!!逃げ場のない大きさの島雲に船ごと乗せられて、骨になるまで空をさ迷い続ける刑です、死刑です!!!」
あたしと全く同じ思考回路だったルフィに、コニスが訂正を兼ねて教えてくれた。
あたしとルフィの思考回路が一緒っていう心外点は置いといて、しけい、死刑。雲流しって響きにしてはやばい刑なんじゃん、あたしとルフィの呑気さに呆れそうだわ。
「引っ捕らえろ!!!」
下ろしていた梯子がやっと地面に着いた頃、隊長の掛け声によって十数人の兵隊が一斉に弓を構えた。ルフィはいいとして、浜辺にはまだナミがいる。ましてやコニスとコニス父がいる。あの矢が当たりでもしたら掠り傷じゃすまないのは見てわかる。
このままじゃやばい。ナミに当たったら。コニス達に万が一でも当たったら。早く、早く!
「っ待て待て!お前まだ怪我治ってねェじゃねェか!!飛び出して何になる!!」
弓を構えた反射で船の手摺に足を掛け、飛び出していこうとしたあたしの腕をウソップが掴む。が、火に油なわけでそれはあたしを喚かせるだけ。
「でもナミが!」
「ルイちゃん言ったろ?頼ってくれって」
ポン、と、あたしの肩を簡単に覆うくらいの手が置かれて。返事をする前にそいつは船を飛び出していった。
…あたしはあいつのその言葉に確か、うんって言った。から、ここで言うこと聞かずに飛び出していったらどんだけ信用ないんだってことになる。
火に油を注がれたはずなのに、火はそいつの一言に一瞬にして鎮火された。
「…クソ金髪」
呟くころには、ウソップの腕は離れていた。
31.まさかこの世界で
(犯罪者になるなんて)
