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_____むかしむかしのものがたり。それは今から400年も前のお話_________
北の海のある国にモンブラン・ノーランドという男がいました
たんけんかのノーランドの話はいつもウソのような大ぼうけんの話
だけど村の人達にはそれがホントかウソかもわかりませんでした
あるときノーランドは旅から帰って王様にほうこくをしました
「私は偉大なる海の、ある島で山のような黄金をみました」
ゆうきのある王様はそれをたしかめるため2000人の兵士をつれて
偉大なる海へと船をだしました
大きな嵐やかいじゅう達との戦いをのりこえて
その島にやっとたどりついたのは王様とノーランド、そしてたった100人の兵士達
しかしそこで王様たちが見たものは何もないジャングルでした
ノーランドはうそつきの罪で、ついに死刑になりました
ノーランドのさいごの言葉はこうです
「そうだ!山のような黄金は海にしずんだんだ!!!」
王様たちはあきれてしまいました
もう誰もノーランドをしんじたりしません
ノーランドは死ぬときまでウソをつくことをやめなかったのです______
「……うわぁ」
ナミの声が止んだ後にあたしの口から漏れた声は、同情のものだった。うそつきノーランド、まさにその題名に合ったハッピーエンドじゃない話。こんなのガキに読ませたらダメだろ。でも嘘つくなっていう教育にはいいのか…?いやでもあたしが読んでも結構気持ちのいい話じゃなかったけど、ここの奴って皆こんなの読むの?うそつきの罪で死刑って王様心狭くない?
…あれ、このノーランドって人モンブランってついてたっけ。んで今あたしたちがいるココはモンブラン・クリケットっつー奴のとこ。もしかしてそいつ、ノーランドの子孫で、そのノーランドが原因ではみ出し者になったのか…?
「なぁナミ、」
「ぎゃあああ~~~~~~~~っ!!」
あたしの考察をナミに伝えようとしたとき、ザブンという水の音プラスルフィの叫び声が耳を通った。多分、いや確実にあのバカは海に落ちたんだと思う。
「え!?ルフィが海に落ちた!!」
「!!?何やってんだ!!?お前!!!」
ナミもウソップも音を聞いて海を見つめるけどルフィの姿はどこにもなくて。ウソップが様子を見に行こうと落ちた場所へ駆け寄ろうとしたが、
「てめェら誰だ!!!」
何かが、姿を現した。ルフィじゃない、誰か。落ちたり上がったり忙しいなと思いながらも上がってきた人物をよくよく見てみれば
「………栗???」
全身びしょ濡れで地上に足を着いたそいつには、栗が生えている。頭に栗、本当にあの、栗。先っちょが痛そうな栗。
「おいウソップ、ルフィを拾っとけ!!」
何者か知らない相手にサンジは既に警戒態勢に。ウソップもサンジの指示通り海に入ってルフィを探しに。ナミはあたしの傍に来てくれてサンジと対峙している栗を油断せず見つめてる。皆が皆、突然現れた得体の知れない者に警戒を解かない。
そんな油断は許されないピリピリした空気の中、あたしはどうにも場違いなことを仕出かしそうだ。
「人の家で勝手におくつろぎとはいい度胸。ここらの海は俺のナワバリだ」
人の家って、じゃあこいつがモンブラン・クリケットか?モンブランっつー美味そうな名前だと思ったら、頭にまんま栗乗ってるとか、こいつ、あれ飾り?
「狙いは”金”だな。死ぬがいい」
「ぶっ、…………あはは、!ふ、ははは、ひー!腹痛ぇ!!」
ピリピリした空気の中、ただ一人、あたしだけが腹抱えて大爆笑していた。仕方ない、頭に栗乗っけてんだもん。モンブランってそのままかよって感じで、頭に大きめの栗乗っけてんだもん、これは笑うしかねぇだろ。
一人笑い転げるあたしを除き、その場はしん、と静まりかえった。サンジもナミもモンブランもあたしを見てる。
でもモンブランは、敵が笑い終わるのを待ってはくれないみたいで、
「っぎゃ!!!」
「ルイ!」
「ルイちゃん!!っのやろ…!」
とてつもなく速い蹴りが顔面を横切った。めっっっっちゃ早かった、避けれたの奇跡。避けた拍子に地面にしりもちをついてモンブランを見上げた。やばい、心臓めっちゃドキドキしてんだけど。あれ避けれなかったら顔ぐっちゃぐちゃになってた、絶対。
「余裕だなぁ、嬢ちゃん」
いくら頭のないあたしでも、この言葉が挑発だってことぐらいはわかった。こんくらいの挑発で簡単にキレるあたしは仁王立ちする相手の脛に思いっきり蹴りを食らわせた。よろめいた後すぐに立ち上がって腹に拳を叩きつけようとした、けど
「危ない!!」
ナミの忠告に耳を傾けてる途中、ジャキンと何か、聞きなれない音が響いた。そのあとに続いたのは、発砲音。
ドゥン、ドゥン…!!
「っ!!!」
音だけでもわかるそれはあたしがいた世界では簡単に持ち出してはいけないもの。喧嘩にそんなものは持ち込まないから、いざ本物を見ると普通に怖い。放たれた弾は運よくあたしには当たらず、地面にめり込んだ。
「てめぇ…」
モンブランを睨みつければ崩れない仏頂面があたしを映す。もう一発と、銃を構えなおした隙にどてっ腹に渾身の蹴りを食らわせた。
「……っ…」
「は、?」
蹴りをかましたところで、目の前の男は銃を力なく落とし倒れこんだ。…は、は?え、あたしこれ、あたしが蹴ったから?力入れて蹴ったから結構痛かったとか?死んでないよね?
「……ルイ…お前……」
「違う!これ正当防衛でしょ!?つか死んでないでしょ!?」
助けに入ろうと家から出てきたんだろう、ゾロが刀に肘ついて犯罪者を見る目で見てきた。ちがう、あたしは殺してなんてないから!
……でも老人だったら今の蹴りで死んだりすんのかな、やばい、普通に人殺したかもしんない。
「大丈夫だルイ、死んでない」
ちょ、ちょ、チョッパ~~~~~!!!あんたは神だ、あたしの疑いを晴らしてくれた…!!!危うく冤罪になるとこだった~~~~!!!
ほ、と1人胸を撫でおろすとチョッパーが「サンジ、この人部屋まで運んでくれ!」と指示を出していて、船医だったことを思い出す。医者のこいつが言うなら確実に死んでねぇな、疑ったゾロのことは後でシバいとく。マリモ剥ぎ取ってやろうか。
容赦なく蹴りを入れてしまったモンブランを担ぐサンジを見つめてれば視線に気づいたのかキス顔をしてきたから中指立てといた。キモイ。
チョッパーのおかげで冤罪が晴れたから手伝おう、蹴り入れたのあたしだけど。モンブラン、ごめん。
19.人生、終わったかと思った
(死んでなくてよかった~…)