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サンジ特製のモンブランを平らげたあたしは心地よい揺れに寝そうになっていた。相変わらずウソップとナミはあたしの武器をどんな風にするか相談していて、めんどくさいから関わらないようにしてる。
にしてもほんと眠ぃ、少し寝てこようか。でも今寝てもどうせすぐ着くんだろうな~、すぐ起こされるのが目に見えてわかるし。
「さっそく変なのに出くわしちまったな」
止まらないあくびをそのままにしてると前の方から変なでかい船が来た。ルフィの声にそっちを見るけど眠気が勝ってあんま話が入ってこない。猿みてぇな声する。ジャングルからでも来たのかこいつら。ここは海だぞ、さっさとジャングルに帰れ。
なんて思ってたら猿が怒り始めた。
「ルフィ、あんた同類なんだから怒らすなよ」
「ちげーよあいつが勝手に怒ったんだ、俺は何もしてねぇ」
「いやお前猿って言われてんだぞ」
「んなにぃ!?どういうことだルイ!!」
ウソップの野郎余計な事言いやがって。黙ってればルフィのことだからぜってぇ気づかなかったんにいちいち言うなよな。猿と一緒に怒るルフィのことは置いといて、あの猿こっち見てるぞ。あ、なんかマイクみたいなの出した。何すんだよ、一曲歌うつもりか?
余裕ぶっこいてあたしは眠気をそのままに眺めてた。なにもしないと思ってたんだ。だから油断してた、ただ歌うだけかと思ってた。
ハボック・ソナー
「音波!!’破壊の雄叫び’!!!」
________ウォーホー……
あたりに文字通りの雄叫びが響いた。歌じゃなかったけどあっちの船がベりべりと剥がれてく。うわ、持ち技なんだろうけど自分の船に被害出てんなら元も子もなくねぇか……??ほらそっちの乗組員皆困ってるよ、どうすんだよ。あんなのが船長だったら最悪だな、あたしだったらすぐ船降りるわ。
「うわあァ~~~~~!!!!」
「大ボス!!その技を船の上でつかっては……!!!」
……いや、ガチで船長だったんかい。こんな船長いて大変だなぁ、さっさと降りればいいのに。
可哀想な目で見てると耳にサンジとルフィの会話がぽろぽろ入ってくる。あー、こいつらもあたしと同じこと考えてんだろうな、変な奴を目にしたときは皆同じこと思うんだな。うんうん。
「皆!!ボーッと見てないで今の内に先に進むのよ!!」
あぁ、はいはいっと。鬼じゃなくなった我らが航海士の指示には素直にしたがっといた方がいいな、また鬼になられる可能性もあるし。最近出会ったばっかだけどナミは怒らせない方がいいって学習しました、だれかれ構わず当たり散らすからな。
あたしたちに指示をくれる声に素直に従い船を進めるため手伝おうとしたら。
急にベりべりと足元の板が剥がれ落ちた。
「わ、なになになに!!」
「……!!まずい!!!やっぱりこの船にも影響が!!!」
ウソップの言う’影響’とは多分あの猿の声のこと。あいつの船の板も今みたいにベりべり剥がれてたし、そうだ。
何なんだよあいつ……!!剥がすのは自分の船だけにしとけよ、修理も自分らでやんだから自分の船を好きなだけ壊せよ!人様の船に手ぇだすな修理しねぇくせに!!!
「全速前進!!!この声の届かない場所へ!!!」
ナミの怒号にあたしたちは無我夢中で声の届かないところまで船を進めた。
______________
あの猿の声から逃げてやっと届かない場所までやってきた船は今、船長含め船員の手で板が剥がれ落ちた個所を修理していた。
「まったく、あのオランウータンめっ!!!船をさらに破壊してくれやがってよォ!!!」
この船を貰った経緯に当たるウソップはトンカチを新しい板に叩きつけながらさっきの猿への恨みつらみを零していた。あたしはというとまだこの船に乗って日は浅いけど、掃除をしていた時の情みたいなものもありウソップの横でトンカチを叩きつけている。
……しかし、掃除してる時も思ったけどこの船結構ボロいんだよなぁ。へたくそな修理でところどころつぎはぎに直されてるけど………あたしが落ちてくる前に負ったんだろうな、この傷。結構無茶させてんだ。
「気が付きゃいつの間にかボロボロだなこの船も…かえ時か?」
「勝手な事言ってんじゃねェぞてめェまで!!」
かえ時。ゾロの呟きを心の中で復唱する。確かにこんなにボロボロになったんならかえればいいのに何でかえずに修理してんだろ。つか、かえたくないなら船大工仲間にしろよ、こんな中途半端な修理されてるこいつが可哀想だわ。
横で懸命に釘を打ち付けているウソップを見れば、この船が凄い大切なんだってわかる。こうやって意地でも修理するだけの理由があんのかな、それともあたしが知らないだけでこいつらはこの船で今まで、沢山冒険してきたんかな。……わからないことも、ない。昔、こんなことがあった。いつだったかの初詣、まだかろうじて見捨てられてないときにお守りを買ってくれたんだ。ボロボロになってもカバンに付けて買い替えればいいのにずっと付けてて、たしか追い出された日も付けてた。捨てればいいのに捨てられなくて今思えばソレがあの2人が最後にくれたものだった。だから多分、捨てられなかったし買い替えられなかった。
「……あんた愛されてんだね」
温度のない板に手を触れて小さく漏らした。……あたしもこうやって、大事にされてみたかった。もっと愛されていたかった。今いる居場所はあたしを愛してくれるだろうか、大事にしてくれるだろうか。自分から仲間になりたいって言ったくせにまた余計な事が頭を支配してく。あぁ、嫌だ_____
___________信じて__
「っ、」
キン、と頭に誰かの声が響いた。ルフィでもゾロでもサンジでも、ナミでもウソップでもチョッパーでもロビンでもない。知らない声。
「どうした?」
「……いや、なんでもね」
きょろきょろと不審な動きをしていたあたしに修理の手を止めてウソップが聞いた。この船以外の奴の声が聞こえたって言っても多分信じてくれねぇと思うから誤魔化しといた。……空耳か?疲れてんのかな、後で少しだけ寝よう。うん。
さっきの声を聞こえないふりして、目の前の板をなるべく優しく叩きつけた。
17.囁いた声
(幻聴にしては妙にはっきりしてたんだよな)
にしてもほんと眠ぃ、少し寝てこようか。でも今寝てもどうせすぐ着くんだろうな~、すぐ起こされるのが目に見えてわかるし。
「さっそく変なのに出くわしちまったな」
止まらないあくびをそのままにしてると前の方から変なでかい船が来た。ルフィの声にそっちを見るけど眠気が勝ってあんま話が入ってこない。猿みてぇな声する。ジャングルからでも来たのかこいつら。ここは海だぞ、さっさとジャングルに帰れ。
なんて思ってたら猿が怒り始めた。
「ルフィ、あんた同類なんだから怒らすなよ」
「ちげーよあいつが勝手に怒ったんだ、俺は何もしてねぇ」
「いやお前猿って言われてんだぞ」
「んなにぃ!?どういうことだルイ!!」
ウソップの野郎余計な事言いやがって。黙ってればルフィのことだからぜってぇ気づかなかったんにいちいち言うなよな。猿と一緒に怒るルフィのことは置いといて、あの猿こっち見てるぞ。あ、なんかマイクみたいなの出した。何すんだよ、一曲歌うつもりか?
余裕ぶっこいてあたしは眠気をそのままに眺めてた。なにもしないと思ってたんだ。だから油断してた、ただ歌うだけかと思ってた。
ハボック・ソナー
「音波!!’破壊の雄叫び’!!!」
________ウォーホー……
あたりに文字通りの雄叫びが響いた。歌じゃなかったけどあっちの船がベりべりと剥がれてく。うわ、持ち技なんだろうけど自分の船に被害出てんなら元も子もなくねぇか……??ほらそっちの乗組員皆困ってるよ、どうすんだよ。あんなのが船長だったら最悪だな、あたしだったらすぐ船降りるわ。
「うわあァ~~~~~!!!!」
「大ボス!!その技を船の上でつかっては……!!!」
……いや、ガチで船長だったんかい。こんな船長いて大変だなぁ、さっさと降りればいいのに。
可哀想な目で見てると耳にサンジとルフィの会話がぽろぽろ入ってくる。あー、こいつらもあたしと同じこと考えてんだろうな、変な奴を目にしたときは皆同じこと思うんだな。うんうん。
「皆!!ボーッと見てないで今の内に先に進むのよ!!」
あぁ、はいはいっと。鬼じゃなくなった我らが航海士の指示には素直にしたがっといた方がいいな、また鬼になられる可能性もあるし。最近出会ったばっかだけどナミは怒らせない方がいいって学習しました、だれかれ構わず当たり散らすからな。
あたしたちに指示をくれる声に素直に従い船を進めるため手伝おうとしたら。
急にベりべりと足元の板が剥がれ落ちた。
「わ、なになになに!!」
「……!!まずい!!!やっぱりこの船にも影響が!!!」
ウソップの言う’影響’とは多分あの猿の声のこと。あいつの船の板も今みたいにベりべり剥がれてたし、そうだ。
何なんだよあいつ……!!剥がすのは自分の船だけにしとけよ、修理も自分らでやんだから自分の船を好きなだけ壊せよ!人様の船に手ぇだすな修理しねぇくせに!!!
「全速前進!!!この声の届かない場所へ!!!」
ナミの怒号にあたしたちは無我夢中で声の届かないところまで船を進めた。
______________
あの猿の声から逃げてやっと届かない場所までやってきた船は今、船長含め船員の手で板が剥がれ落ちた個所を修理していた。
「まったく、あのオランウータンめっ!!!船をさらに破壊してくれやがってよォ!!!」
この船を貰った経緯に当たるウソップはトンカチを新しい板に叩きつけながらさっきの猿への恨みつらみを零していた。あたしはというとまだこの船に乗って日は浅いけど、掃除をしていた時の情みたいなものもありウソップの横でトンカチを叩きつけている。
……しかし、掃除してる時も思ったけどこの船結構ボロいんだよなぁ。へたくそな修理でところどころつぎはぎに直されてるけど………あたしが落ちてくる前に負ったんだろうな、この傷。結構無茶させてんだ。
「気が付きゃいつの間にかボロボロだなこの船も…かえ時か?」
「勝手な事言ってんじゃねェぞてめェまで!!」
かえ時。ゾロの呟きを心の中で復唱する。確かにこんなにボロボロになったんならかえればいいのに何でかえずに修理してんだろ。つか、かえたくないなら船大工仲間にしろよ、こんな中途半端な修理されてるこいつが可哀想だわ。
横で懸命に釘を打ち付けているウソップを見れば、この船が凄い大切なんだってわかる。こうやって意地でも修理するだけの理由があんのかな、それともあたしが知らないだけでこいつらはこの船で今まで、沢山冒険してきたんかな。……わからないことも、ない。昔、こんなことがあった。いつだったかの初詣、まだかろうじて見捨てられてないときにお守りを買ってくれたんだ。ボロボロになってもカバンに付けて買い替えればいいのにずっと付けてて、たしか追い出された日も付けてた。捨てればいいのに捨てられなくて今思えばソレがあの2人が最後にくれたものだった。だから多分、捨てられなかったし買い替えられなかった。
「……あんた愛されてんだね」
温度のない板に手を触れて小さく漏らした。……あたしもこうやって、大事にされてみたかった。もっと愛されていたかった。今いる居場所はあたしを愛してくれるだろうか、大事にしてくれるだろうか。自分から仲間になりたいって言ったくせにまた余計な事が頭を支配してく。あぁ、嫌だ_____
___________信じて__
「っ、」
キン、と頭に誰かの声が響いた。ルフィでもゾロでもサンジでも、ナミでもウソップでもチョッパーでもロビンでもない。知らない声。
「どうした?」
「……いや、なんでもね」
きょろきょろと不審な動きをしていたあたしに修理の手を止めてウソップが聞いた。この船以外の奴の声が聞こえたって言っても多分信じてくれねぇと思うから誤魔化しといた。……空耳か?疲れてんのかな、後で少しだけ寝よう。うん。
さっきの声を聞こえないふりして、目の前の板をなるべく優しく叩きつけた。
17.囁いた声
(幻聴にしては妙にはっきりしてたんだよな)