in JAYA
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ジャヤに辿り着いたのはいいものの、働き口が見つからないあたしは諦めない心が折れそうになっていた。どこに行ってももう間に合ってるだとか客じゃないなら帰れとかもらう言葉は酷いものばかり。この島全部の酒屋回ったんじゃないかって思うくらいジャヤを駆け回った気がする。……くっそ、働きてぇのに場所がねぇんじゃどうしようもないじゃん。
「はーあ、簡単に働かせてくれるとこねぇのかよ……」
諦めたくないのにそうしなければならない現実が段々顔を見せてきて悔しい。意地でも見つけてやりたくてがむしゃらに歩いてると、ひとつの酒屋に人だかりができていた。なんだよ就職面接してんのかココ。だったらあたしもいかないとダメじゃん……!
急いで列に並ぼうと走っていたけど周りの奴は並んでいるわけじゃないみたい。バラバラっつーか、この店の中を見てるだけらしい。なんだこん中でショーでもしてんの?
「なんでココこんなに人いんの」
「あぁ、なにやらこん中でベラミーたちが……」
人だかりが凄くて中の様子が見れないから近くのオッサンに聞く。……けどこの島オッサンしかいねぇのか。男多しだな。
オッサンはあたしが誰だか知らないけど何にも気にしないで教えてくれた。……ベラミーってあのホテル貸し切りしてるってコンシェルジュのオッサンが言ってたな…でもあたしにセクハラしてきたのって確かサー…何とかだった。結局ベラミーとかいう男には会ってないんだよな。てかそいつがこの店で暴れてんだ?ホテルんときといい迷惑すぎんだろそいつ。あとそいつの仲間。
なんだか知んなけどこの店はまだ行ってねぇしこのチャンス逃してなるものか。人ごみをかき分けてやっとドアが見えた時。
____カチャリ、
「……ナミ、?」
「……ルイっ!」
開いたドアからは少しだけ目の潤んだナミが出てきた。意外と早くに再会が来たなんて嬉しく思う心もあるけど、驚きの方が勝っていて言葉が出ない。なんで泣いてんの、なんで一人でこの店から出てきたの。ナミが外に出るんならサンジがついてくるでしょ、なのにどうして。
視線を移せば、こいつの手にはマリモと麦わらが引っ掴まれていた。見るからにボロボロで血だらけで、ナミに逆らわずずるずる引きずられてる。店の中からは汚い笑い声。笑いものにされたって、わけか。
その瞬間、全身の毛が逆立った。
「ルイ!?ちょっと!!」
大体把握できた。こいつら、このベラミーとかいう汚い奴にルフィとゾロはボコられてナミは笑いものにされた。大丈夫、あたしがその悔しさぶつけてやるから。
あたしは汚い笑い声が響く酒屋の中へ足を踏み入れる。勢いよく開いたドアはバシッと響き、ベラミーとかいう輩たちはこっちに視線を向けた。
「あぁ?あんときの女じゃねぇか。抱かれる気にもなったか?」
「サーキース、知り合いか」
「さっきな。頭突きかまされたんだ」
「黙れ」
「あ”?なんか言ったか小娘」
やっぱり、さっきの男はベラミーじゃなくてサー何とかだった。そいつが奥に座るベラミーへの道を阻む。あたしの目の前にはサー何とかの胸板が広がっていた。キモイ、それしか思わん。こいつが邪魔だ。サー何とかはあたしの言葉に敏感に反応して、あの時とは逆にあたしが胸倉を掴まれていた。身長差が激しいから少しつま先立ちになるけど、こんなのナミたちが受けた仕打ちよりへの河童。
「黙れっつったんだロン毛野郎」
胸倉を掴む男の腕へ爪を突き立てる。キツく食い込む爪にあっちは眉を動かした。その顔に睨みをきかせていればこめかみに青筋を浮かべたのが見えた。そのあとは記憶にない。気づいたら店の外まで吹っ飛ばされていて、それと同時に左目が見えにくくて、左頬がじんじんと熱を持っていく。口の中に鉄の味が広がって、更に怒りが込み上げてくる。
「ルイ!…あんたたち女の子の顔になんてこと…!!」
ナミが掴んでいた男2人をほっぽってあたしを庇うように駆け寄ってきたけど退かす。手の甲で口端を拭えばやっぱ血がついていた。立ち上がってもう一回殴り込みに行こうとしたとき、身体が浮遊感に襲われた。
「ぎゃっ!!」
「お前勝手な事すんなよ」
いつの間にか起き上がってたゾロに俵担ぎをされていた。しかもルフィも起きてるし。そしてそのままあたしが乗ってきた船に戻ろうとするし、あたしの怒りはまだ収まってねぇし待て待て待て。
「下ろせ!」
「ルイ、何で殴りに行った」
「はぁ?そんなのムカついたからに決まって、」
「なんでムカついた」
「なんでってお前らが」
血だらけで、ナミが泣いてたから。そう言おうとした口が次の言葉を遮った。そこで何かがピンとあてはまる。
あ、そうか。
あたし、仲間になりたいんだ。
仲間じゃない奴の為に怒ったりしない。仲間じゃない奴の為に乗り込んだりしない。
何かが腑に落ちて黙ってしまったあたしにゾロは不敵な笑みを漏らす。
「そういうこった、帰ってからじっくりうちの船長に話してみな」
ずっと目を背けてきたほんとの心に理解が追い付かない。混乱中にゾロたちは船に足を向かわせた。
視界の悪い左目はいつの間にか滲んでいた。
14.気づいた本心
(受け入れてくれるだろうか、)
「はーあ、簡単に働かせてくれるとこねぇのかよ……」
諦めたくないのにそうしなければならない現実が段々顔を見せてきて悔しい。意地でも見つけてやりたくてがむしゃらに歩いてると、ひとつの酒屋に人だかりができていた。なんだよ就職面接してんのかココ。だったらあたしもいかないとダメじゃん……!
急いで列に並ぼうと走っていたけど周りの奴は並んでいるわけじゃないみたい。バラバラっつーか、この店の中を見てるだけらしい。なんだこん中でショーでもしてんの?
「なんでココこんなに人いんの」
「あぁ、なにやらこん中でベラミーたちが……」
人だかりが凄くて中の様子が見れないから近くのオッサンに聞く。……けどこの島オッサンしかいねぇのか。男多しだな。
オッサンはあたしが誰だか知らないけど何にも気にしないで教えてくれた。……ベラミーってあのホテル貸し切りしてるってコンシェルジュのオッサンが言ってたな…でもあたしにセクハラしてきたのって確かサー…何とかだった。結局ベラミーとかいう男には会ってないんだよな。てかそいつがこの店で暴れてんだ?ホテルんときといい迷惑すぎんだろそいつ。あとそいつの仲間。
なんだか知んなけどこの店はまだ行ってねぇしこのチャンス逃してなるものか。人ごみをかき分けてやっとドアが見えた時。
____カチャリ、
「……ナミ、?」
「……ルイっ!」
開いたドアからは少しだけ目の潤んだナミが出てきた。意外と早くに再会が来たなんて嬉しく思う心もあるけど、驚きの方が勝っていて言葉が出ない。なんで泣いてんの、なんで一人でこの店から出てきたの。ナミが外に出るんならサンジがついてくるでしょ、なのにどうして。
視線を移せば、こいつの手にはマリモと麦わらが引っ掴まれていた。見るからにボロボロで血だらけで、ナミに逆らわずずるずる引きずられてる。店の中からは汚い笑い声。笑いものにされたって、わけか。
その瞬間、全身の毛が逆立った。
「ルイ!?ちょっと!!」
大体把握できた。こいつら、このベラミーとかいう汚い奴にルフィとゾロはボコられてナミは笑いものにされた。大丈夫、あたしがその悔しさぶつけてやるから。
あたしは汚い笑い声が響く酒屋の中へ足を踏み入れる。勢いよく開いたドアはバシッと響き、ベラミーとかいう輩たちはこっちに視線を向けた。
「あぁ?あんときの女じゃねぇか。抱かれる気にもなったか?」
「サーキース、知り合いか」
「さっきな。頭突きかまされたんだ」
「黙れ」
「あ”?なんか言ったか小娘」
やっぱり、さっきの男はベラミーじゃなくてサー何とかだった。そいつが奥に座るベラミーへの道を阻む。あたしの目の前にはサー何とかの胸板が広がっていた。キモイ、それしか思わん。こいつが邪魔だ。サー何とかはあたしの言葉に敏感に反応して、あの時とは逆にあたしが胸倉を掴まれていた。身長差が激しいから少しつま先立ちになるけど、こんなのナミたちが受けた仕打ちよりへの河童。
「黙れっつったんだロン毛野郎」
胸倉を掴む男の腕へ爪を突き立てる。キツく食い込む爪にあっちは眉を動かした。その顔に睨みをきかせていればこめかみに青筋を浮かべたのが見えた。そのあとは記憶にない。気づいたら店の外まで吹っ飛ばされていて、それと同時に左目が見えにくくて、左頬がじんじんと熱を持っていく。口の中に鉄の味が広がって、更に怒りが込み上げてくる。
「ルイ!…あんたたち女の子の顔になんてこと…!!」
ナミが掴んでいた男2人をほっぽってあたしを庇うように駆け寄ってきたけど退かす。手の甲で口端を拭えばやっぱ血がついていた。立ち上がってもう一回殴り込みに行こうとしたとき、身体が浮遊感に襲われた。
「ぎゃっ!!」
「お前勝手な事すんなよ」
いつの間にか起き上がってたゾロに俵担ぎをされていた。しかもルフィも起きてるし。そしてそのままあたしが乗ってきた船に戻ろうとするし、あたしの怒りはまだ収まってねぇし待て待て待て。
「下ろせ!」
「ルイ、何で殴りに行った」
「はぁ?そんなのムカついたからに決まって、」
「なんでムカついた」
「なんでってお前らが」
血だらけで、ナミが泣いてたから。そう言おうとした口が次の言葉を遮った。そこで何かがピンとあてはまる。
あ、そうか。
あたし、仲間になりたいんだ。
仲間じゃない奴の為に怒ったりしない。仲間じゃない奴の為に乗り込んだりしない。
何かが腑に落ちて黙ってしまったあたしにゾロは不敵な笑みを漏らす。
「そういうこった、帰ってからじっくりうちの船長に話してみな」
ずっと目を背けてきたほんとの心に理解が追い付かない。混乱中にゾロたちは船に足を向かわせた。
視界の悪い左目はいつの間にか滲んでいた。
14.気づいた本心
(受け入れてくれるだろうか、)