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箱庭ゲーム

俺には、付き合って1ヶ月半の財布がいます。

「なぁー、これ良くない?俺が着たらいいと思わない。」
「んー?」

俺は華川の家のベッドの上から、ベッド脇に座る華川にスマホを向けた。
テレビを見ていた華川は、こちらを振り向く。

「いいんじゃない?」

そしてふわりと微笑んだ。

「だよね。じゃ、華川のクレジットカード、出して。」
「うん。」

華川は頷くと、財布を取りにダイニングへ向かう。
ちょっろ。
俺はその後姿をチラリと見ると、またスマホに目を移した。
次は何買ってもらおうかなー。

「山田、因みにそれいくら?」

華川は財布片手に戻って来ると、俺の傍に座りながらそう聞いて来た。
てか、値段見ずに承諾してたの?

「4万5千円」
「ふーん」

何か言うかと思ったのに、華川は相変わらずニコニコした顔で財布を漁っている。

「問題ある?」

念のために確認してみる。

「いやー、全然。」

そりゃそうだろ。
華川はめちゃくちゃ金持ってるし。

「…たださ」 
「ぁ」

華川が差し出した黒いカードを取ろうとしたら、寸のところでピッと取り上げられた。
なんだなんだ?
俺がムッとした顔で華川を見ると、ニッと至極楽しそうに笑っていた。

「買ってあげる代わりにキスさせてよ。」
「…」

そうきたか。
最初の一件以来、華川とそう言うことはしていない。
触られそうになったりはしたけど、別れると脅すと大概は俺の言うこと聞くし。
まーでも、そろそろ餌もあげないとかな?

「いいけど。」
「ふふ」

俺の返答にを聞くと、華川は満足気にうなづいた。そして顔を近づけてくる。
俺は仰向けに寝ていたので、ベットに腰掛けた華川に覆い被さられる。

「…っ」

相変わらずのねちっこいキスだ。
そもそも華川の舌は大きくて、口いっぱい占領されて息苦しい。
加えて熱くて、兎に角しつこい。
気持ち悪い。

「…はっ、…んっっ、」

気持ち…ぁ、
くそ。気持ち悪い。はずなのに…
なんだこれ。

「…ふっ、山田、キス弱いね?好きなの?」
「…っ、違うに決まってるだろ!」

俺の顔の横に手を置き、鼻先がつく近距離で華川が囁く。
俺はムッとした調子で言い返すが、華川は俺の返答に口の端をあげる。
腹立つ反応だ。

「そうなんだ。」
「んっっ!」

そうこうしているうちに、またキスされる。
あぁ、変。やば…これ…兎に角、変!

「ふぅっ…っ」

あと何故か華川にキスされると、腰のあたりがもやもやする。
まるで身体が喜んで、欲しがっているみたいだ。
しかもこれは、腰っていうか…後ろの方がきゅんとする。
最悪だ。どうなったんだ俺は。

「んっ…はぁっ、」
「はは、でも山田、すっごくやりたそうな顔してるけど?」
「…ばか、何言って…っ!」

華川が逃げる俺の顔を押さえ、唇を舐める。びっくりして押し黙ってしまった。

「ならもっと抵抗しろよ。」
「むっ、…ちゅっ、んんっ」

華川は含み笑いでまた口付ける。
華川のくせに何言ってやがる。
蹴飛ばそうとするが、華川のキスで体の疼きが加速する。
華川を蹴飛ばそうと上げた足も、力なく空を切る。

華川の香りが、手つきや体温が、全てが俺の劣情を駆り立てた。
頭が身体の反応について行けず混乱する。
心なしか、頬が上気して熱いして頭がぼんやりしてきた。

「ふふふ…」
「っ!」

まるで華川に心中を見透かされているようで、俺はカッと顔を赤らめた。
それを見て、華川が目を細める。

「もう、やめろっ!」
「おっ、と。」

俺は渾身の力で華川を押しのけると、どすどすとその場を離れた。
そしてダイニングテーブルに置いてある、華川が入れてくれたハーブティーを飲む。

はー、なんか最近変だ。
朝起きると妙にスッキリしていて、さやかとする気にならない。
まぁそれは良いんだけど。そのせいでさやかと会ってもお茶する程度で、さやかには文句を言われる始末だ。
それがストレスで、最近ではさやかに会うのが面倒だ。
それに対して、華川は好きじゃないせいか、邪険に扱って素の自分を出せるから楽だ。
華川は作ってくれる食べ物飲み物なんでも美味い。おかん超えレベル。
結果、華川といる時間が多くなる。
まぁ、一緒に居ないと物を強請れないからな。
でも、何だろう。
これに慣れてはダメになる気がする。知らないうちに、自分が変わっていく様で怖い。

あ、そうだ。

華川が作ったハーブティーを飲み、俺はある事を閃いていていた。

「なー…って、なっ…何してんの?」

華川の方を見ると、俺が寝ていたところに顔を埋めているのでぎょっとしてしまった。

「山田の熱と香を感じている。」
「…あそ。良かったな。」

引く。
こういうところは嫌なんだよな。
社内の華川信者に見せてやりたい。
俺は適当な相槌をうち、華川に近づいた。

「ねーねー、毎度カード番号入れてもらうのもだしさ、華川のカード番号登録していていい?」

俺は態度だけは塩らしげに、申し訳なさそうな調子で華川へ尋ねた。

「いーよ。」

案の定、華川はすんなり頷く。

「でもその代わりに、週末以外にも、平日もうちに泊まりに来てよ。」
「え?」

おいおい。
それって本末転倒だろ。
会う回数減らすために言ってるのに、回数増えてんじゃん!

「んー、それはちょっと…」
「来てくれたらさ」
「ん?」

断ろうとしたのに、華川は捲し立ててくる。

「カード自体渡すよ。」
「え⁈本当⁈」
「うん。」

結局俺は華川の提案に頷いてしまった。

「本当、俺の恋人は金持ちで頼りになるな♡」
「ふふ、そう?」
「うん。」

ゴロニャンと俺がすり寄ると、華川は嬉しそうに笑っていた。
本当にちょろいな…。
『タダより高いものはー…』
こんなの相手に、後田は何を言っているんだ。
…。

「あーてか、華川が入れてくれたお茶美味しいわ。カモミールの。」
「そう。気に入ってくれて良かった。あれ飲むと、ぐっすり寝れるでしょ?」
「だな。お陰で、朝起きた時スッキリしてるし。」
「ふふふ、だろうね。」
「?」

俺の言葉に華川がおかしそうに頷くので、俺は首をかしげた。
しかし一度大きな欠伸をすると、それを機に睡魔が急激に襲って来た。
そのままうつらうつらして、俺は意思が沈んでいくのを感じた。

「おやすみ、山田」

含み笑いの華川が、俺の体をベッドに横たえる。
その後も何かが身体に触れる感覚があったが、きっと気のせいだろう。

—————
「山田先輩、スマホなってますよ。」
「無視てんだよ。」

定時後、俺のスマホがうるさくなるので後田が指摘する。

「ふーん?誰か死んだのかって勢いですねぇ…」

後田は不思議そうな顔だ。
まぁな…。

「あーっ、てか、夕飯行かね?奢ってやっから。」
「へー、珍しい。ゴチなりまーす!」

俺が得意げに言うと後田はニコニコと付いてきた。

「んー、何にします?」
「そうだな…地下一階の寿司屋行くか?」
「え?山田先輩の奢りなのに、いいんすか?」
「あぁ。」

失礼だな。
後田は心底意外そうに目を丸くして聞き返してきた。
まぁ地下の寿司屋は高いからな。
部長がたまに奢ってくれる店って感じ。

「まーな。俺、今パトロンがいるから。」
「へ?なんすかそれ?」

後田は更に目を見開く。

「恋人♡」
「……ぁ!…あー…。…へぇ〜…。」

後田は何故かピンときた的な反応しているけど、こんだけで話が通じるはずがない。
適当な相槌打ちやがって。

「そいつさ、俺のこと凄く好きらしいから。」
「あはは。そっすね!で、さやかさんとは別れたんですか?」
「ははは、そんな訳ないだろ。」
「…ふーん。」

俺の回答に、後田は俺から目線を外して、何故か呆れた様にニヤリと笑った。

「?」

少し気にはなったが、まぁ、色々理解したんだろう。

「その新しい時計とか、靴とかも、出所はそこですか?」
「まぁな。」
「なるほど、なるほどー。」
「なんだよ?」

俺が気分よくいたのに、先ほどから後田が含みのある笑いをするので気になる。

「その金持ちの恋人、それだけ山田先輩に尽くして、見返りに何を求めてくるんでしょうね。」
「あ?なにそれ。」

後田は俺の間の抜けた声を聞いて、いつもの様にケラケラと笑った。

「あははは。山田先輩、タダより高いものは無いんですよ。」
「ははは、そんなの心配する相手じゃねーよ。」
「…ふっ。雌牛に腹つかれる、的な?」
「何か言った?」
「いや、何も。さて、何食べようかなー!」

何がそんなにおかしいんだ。
後田はブツブツ独り言を溢しながら笑い、機嫌良さげに店のメニュー表を覗き込んだ。

————-
「あっち行けよ!何で隣なんだよ!」

華川の家で食後寛いでいると、華川が厚かましく抱きついてきた。
俺はそんな華川を蹴飛ばす。

「も〜」

華川は不満げに口を尖らせ、俺の蹴りでズレた家用眼鏡を直していた。

「山田〜、俺、そろそろご褒美欲しい。」
「なんだよ。ご褒美って。」
「やらせて。」
「やっ⁈馬鹿なの?それは無理っつったろ。あと直接的過ぎる表現やめろ!」
「でも山田だって、キスしたらエロい顔するじゃん。」
「してねーよ。大体なんだその発言。エロ親父かよ。」

珍しく華川は引き下がらない。
キスされると変な気分になる事が判明して以来、キスも極力させてないしな。

「ずっと好物目の前に吊るされて、我慢の限界なんだけど。」
「…知らないし。」

人を食べ物みたいに言うな。
俺はそっぽを向き、冷たく言い放った。

「………はぁー…」
「なっ、何だよ!」

華川は不満そうに頭をぼりぼりかき、ため息をつく。
常に小綺麗に甘いマスクをまとう華川のこの仕草には、華川のストレスを強く感じた。
だから流石の俺も強くは反論できなかった。

「……………山田、新しい時計似合ってるね。」
「え?お、…おう。」

華川がじとりと俺の腕を見る。
 
「新しい靴もいいよ。」
「……つまり、何が言いたい。」
「別に。」

華川は俺の問かけに、ムスッとした顔だった。
絶対言いたい事があるだろ!
見返り的なもの求めてるだろ。
俺は苦々しげに顔を歪める。
流石にカード渡されてから、調子に乗って結構な勢いで使ったしな。
華川のカードで何十万使ったか?いや、もう何百万になってるか?
…仕方ない。

「口じゃなきゃいいぞ。キス。」
「え?本当⁈」
「うん。」

華川はムスッとした顔から一転、ぱぁぁぁっ!っと擬音が聞こえてきそうな勢いで頬を緩ます。
とりあえず、頬っぺたとかにキスさせて済まそう。

「やばー。勃つ勃つー」
「…は?今なんか不穏な「頂きますっ!」

心なしか、不穏なセリフが聞こえた。
俺は聞き返そうとするが、言い終わる前に華川が飛びかかってきた。
押し倒される。

「ん⁈…ぃっ、ばっ…か!」
「っ!何⁈」

俺に叩かれた頭を摩りながら、華川が不思議そうに聞き返してくる。

「何じゃないだろ!アホか!」

本当になんなのコイツ…。
あろうことか、華川は俺の乳首にキスをしてきた。キスっていうか、結構強めに吸われた気がする。
一瞬で俺が着ていたTシャツをたくし上げて何してんの⁈
馬鹿すぎるだろ‼︎

「あ゛ーも‼︎お前の相手、本当、疲れる!俺、もう帰る!華川、もう俺に俺に触るなよ!金輪際、絶対に触るなよ‼︎」
「……え〜。ごめんて山田。ほら。とりあえず、ハーブティーまた淹れて冷やしてるから。飲んで落ち着こうよ。ね?着替えも折角持ってきてんだからさ、そんなこと言わず、うちに泊まってよ〜。」

ちょっとは悪いと思ったのか、華川は申し訳なさそうに謝ってくる。
ていうか、縋り付いてくる。
確かに、俺も頭に血が上って言いすぎたな…。

「……ハーブティー持ってきて。」
「!分かった!」

俺の返事を聞いて、華川はまた笑顔になった。

————
「分かりました。ではこちら早急に対応しますね。はい。はい。…ぁー、はい。今週中ですね。はい。…、」

取引先からの帰り道、俺が得意先と電話をしていると、後田が何故か口をパクパクしてくる。
なんだよ。金魚?
俺は怪訝な顔で後田を睨み、後田に背を向ける。

「はい。それでは…。」

ピッ

「山田先輩何言ってんすか!」
「あ?何が?」

電話を切るなり後田が慌てた様子で話しかけて来る。

「その案件、原田さんの担当案件だけど、その原田さんは既に急ぎの他案件入ってもらってるから、今週中無理ですよ!原田さん以外のエンジニア探してお願いするしかないっすよ!」
「…ま、まじか…」

繁忙期で今は空いているエンジニアなんて居ない。
やってもらうにしても、無理言ってやってもらう感じだな。
しかも担当外のシステムを納期内に作るなんて言う事ができる奴。

「…チっ…」
「山田先輩?」
「後田、華川はまだ会社だよな。」

俺は苦い顔で後田に尋ねた。

—————
ブーブー…
ブーブー…
ブーブー…

「…」

ブーブー…
ブーブー…

会社から帰宅後から俺のスマホはずっと鳴りっぱなしだ。
俺は唇を噛み、スマホを睨む。

ブーブー…
ブーブー…

「はぁー!」

ブー…

「なに?」
『山田、今からうちに来て?』

華川の言い方は有無を言わさない強さがあった。

———
「山田さ、なんで後田寄越したの?」
「…」

何で俺、怒られてるみたいになってるんの?
華川の家に着くなり、俺は華川に問い詰められている。
ベットに座る華川が俺を射抜く様に見つめるので、俺は床に座ってバツが悪そうに目を逸らす。
目を逸らしてても、華川の口元がほんの少しだけ緩んでいるのを俺は見逃さなかった。
胸糞悪い。

「山田がメイン担当の急ぎの仕事のお願いなら、普通山田がくるでしょ。」
「…」
「山田」
「…」

あーあ。
くそ。

「はっ、分かったわかった。それならもういいよ。山田はもう帰りなよ。」
「え。」
「俺もそんな仕事なんてやんないから」
「ちょっ、それは!」

華川は俺の話なんて聞かず、立ち上がるとその場を後にしようと俺の横を通り過ぎる。
いやいやいや!それは不味い。
あの取引先は煩い。いちゃもん付けられて営業チェンジとか言われたら、俺の評価が!

「まっ、待てって、華川!」

俺が叫ぶと、華川はぴくりと反応して足を止めた。

「待て?」
「…っ!ま、まって、下さい…。」
「…ふっ」
「…」

何笑ってんだよ!
振り返った華川は口元に嫌味な笑顔を浮かべていた。
明らかに自分の優位を確信している。

「山田の、お願いってこと?」
「お願い…」

俺は両手をついて、頭を下げる。

「…うん。勿論助けるよ!なんだって、俺は君の、彼氏、だから。ね?」
「…!う、うん!」

そう言って華川はにっこりと笑った。
俺はホッとしてへらりと笑った。
嫌いな奴に頭を下げるのは癪だったが、なんとかなったか。
たく…何が彼氏だ。

「じゃ、じゃあー」
「あれ〜?でも待てよ。」

ホッとして先を急ぐ俺を、奴は遮った。
何事かと仰ぎ見ると、考えるように顎に手を当てている。
口元に浮かべる笑顔が嫌な感じ。

「俺も。『証明』して欲しいなぁー。」

案の定、そう言った華川は俺と目が合うとニッと笑った。
綺麗で、ゾッとする笑みだった。
やっぱりそうくるか…。

「証明って、なんだよ。」
「…まずは、服。」
「服?」
「脱ごっか?山田。」



「………ぬ、脱ぐって…え、何で?」

そんなの分かってる。
馬鹿な質問だと分かっていても、聞かずにはいられなかった。
俺を顔を引き攣らせながら尋ねた。

「…ぁ、えと…風呂?風呂入ってこいってこと?」
「…」

俺の質問を無視して、華川は自分の着ていたカッターシャツを脱ぎ始める。
明るい光の元、華川の綺麗に筋肉がついた身体が露わになる。

————-
「あはは、恥ずかしい?」
「…っ」

恥ずかしいに決まっているだろ!
俺は上から見下ろしてくる華川を睨みつける。
俺は裸の上に華川のカッターシャツだけを着て、ベットに寝かせれている。
部屋の電気は煌々と灯っているし、華川はカッターシャツを脱いだだけでズボンを履いている。
俺だけこんな馬鹿みたいなかっこで、恥ずかしくない方がどうかしている。

「い、入れるのは無しだからな。」
「ふふふ、」

俺が最後の抵抗で念押しするが、華川は余裕綽々と笑った。
そして鼻息がかかる距離に顔を寄せる。

「分かってるよ。」
「っ」

それが合図だった様に、言うや否や顔にキスを落としてくる。
あー、本当、嫌だ。
こんな…

「優しくしてあげるね。」
「だから…」
「女の子にするみたいに。」
「っ…!」

だからそれが嫌なんだ!
と言うとしたところで、俺は言うのを止めた。
だって見上げた華川は楽しげに笑っていた。
こいつ、分かっている!
俺が女扱いされるのが嫌だって分かった上で、優しく、女の子とするみたいに触れてきている。

「山田、肌が白いから、乳首目立つね〜」
「んっ…っ」

華川はどんどんキスする位置を落としていき、最後に俺の乳首にたどり着くと見せつけるみたいに舐めてきた。
それを見た途端に、顔が赤くなる。

「…っ、ぁ、」

変な声が出そうで、俺は慌てて歯を食いしばった。
別にそんなところ触られても何でもない。
でも目線を落とすと、俺が着ているカッターシャツの中に華川が顔を突っ込んでいて…恥ずかし過ぎて爆発しそう。

「震えてる。顔も真っ赤…。俺に組み敷かれて、どう山田?」
「っとっと何でもいいから出して終われよ。」
「そう?」

華川はクスクスと笑いながら、俺にキスをした。
反射的に逃げる俺の舌をからめとって擦り合わせてくる。

「〜っ、…っ」

あー、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!
まただ。華川のキスが腰に響く。
抑え難い強い要求が下半身から上がってくる。

「んっ、…ぁ、まっ、…っ」

俺は堪らず両膝をぎゅっと閉じる。
しかしそれは俺の真上にいる華川によって阻まれた。

「気持ちいいんだ。」
「…」

答える代わりに俺は華川顔を逸らした。

「んぁっ‼︎」

しかしそれは愚策だったようだ。

「あ゛ちょっ、やめてっっ!あっ!〜つ!やめ…っっ!」

華川は俺の顔を固定すると、俺の耳を舐めてきた。
耳たぶを噛んで、穴に舌をつき入れて。
肌が栗たち、俺はジタバタと暴れた。
華川は笑いながら、俺の抵抗を楽しんでいるようだ。

「はぁ…やばー。山田可愛い。」
「ハァッ…俺なんか相手に…何言ってんだ。」

華川は乱れた俺の髪を愛おしげにとかしながら、甘く囁く。
もうやめろ!やめてくれ…
こいつは何処まで俺を堕とすんだ。
女扱いするな!

この状況は俺にとって受け入れがたく、俺は腕で顔を覆い目を閉じた。
泣きたくないのに、自分が情けなくて泣きそう。
そもそも俺はなんで…華川と付き合うなんて言ったんだろう?
後悔後に立たず。
そんな事を考えながら現実逃避する。

「ん」

華川はそんな俺に構わず、いや知って追い詰めているんだろう、上から身体中にキスを落としてきた。最後は唇を合わせてくる。
あー、やばいやばいやばい。
何でっ!
気持ちいい気持ちいい気持ちいい。
欲しい…。
なんだよ…欲しいって。何がだよ。
もう色々殴り捨ててるか?

「あは〜、可愛いよ。」
「…ぁっ」

華川は上から目を細めて俺を見下ろし、指先で俺の乳首を弄んだ。
俺がぴくりぴくりと弱々しく逃げを打つのを、愉しんでいた。

「……ね、山田。」
「んっ…っ、」
「天国見せてやろっか?」

華川はそう言いながら、自分のズボンをくつろげだす。
笑うその顔は妙に雄くさい。

「…」

何言ってんだこいつ。風俗に通うおっさんかよ。きも。
そう思うし、そう言いたいのに言えない。

欲しい。

「欲しいんでしょ。」
「っ!」

ぴたりと華川のものの先が俺のに押し当てられる。
…熱……入れたら…きもち、よさそう…。
意識すると触れる場所から、燃える様な劣情が湧き上がる。
欲しい、欲しい、

「ここに入れて、気持ちいい事だけ。沢山あげるよ。」
「…」

思わずごぐりと生唾を飲み込む。
…だろうな…。
何でだろう、そんな事した事ないのに、疼いて仕方ない。
絶対に気持ちいい。
何で俺はそんな事を思うんだ?
そんな俺を見て、にんまりと華川が笑う。

「ほら、言ってみて?」
「…っ、」

狼狽える俺の様子に、華川は更に笑みを深くした。

「……………っ、うるせーよ。独りで腰振って、ささっと終わらせろよ。」

しかし俺は華川の体を足で押し返しながら、きっぱりとそう言い切った。

「……ふっ、ふふ!」

華川が悔しがりでもしてくれればいいのに。
華川は一瞬はきょとんとした顔になるが、次には可笑しそうに笑っていた。
俺の足にキスを落として、優しく抱え直す。

「イイね。」

死ね。

ずちゅっ、ずちゅっと華川のものが俺の足の間を行き来する。

くっそ。
またこれか。

辛…
あーあ、なんであんな事言ったんだろう。
辛い。
い、入れてもらえたら、今頃…
いやいや、何を考えているんだ俺は。

「…っ」

色々と疲弊した頭のまま、チラリと華川を見るとまた目が合った。
華川は俺と目が合うとニタリと笑い、ぺろりと舌なめずりした。
いつもの爽やかな整った顔が、狂気を孕んで酷く興奮している。

あー。完璧、俺って…華川のオカズじゃん…。
回避した気でいたけど、精神的には犯されて性欲の吐口にされている。
今迄の要求も一瞬で吹き飛ぶくらいの激しい恐怖で、俺は顔を青くした。

————
「お前、何で自分のシャツ俺に着せんの?」
「んー?」

事後、俺は風呂場で華川に体を洗われながらふと聞いてみた。

「何でかな?着せると、山田は俺のって気がするから?」
「はぁ?意味不明。」

俺のぶっきらぼうな回答に、華川がふっと笑った気配がした。

「裸の山田が、俺が与えた俺のシャツだけ着て、俺の下にいると、山田が俺の与えるものだけしか持っていない様に見えるから。俺が山田のリードを握っていて、完全に支配しているみたいな。」
「……ますます分かんね。」
「ふふ…。あと、いいじゃん?彼シャツ。」

ダメだなこれは。
後半は付け足しで前半が本音だろ。
華川が俺を好きかどうかは正直怪しい気がする。
好きとか言う割には、俺の嫌がる事を嬉々としてやるからだ。
何にしろ、華川が自分に強い感情を持っている事は何となく分かる。
だからきっとこんな事を続けたら、取り返しがつかなくなる。
直感的にそう感じた。

華川に働くだけ働いてもらったら、もう別れよう。 

————-
「山田先輩、華川さんと喧嘩でもしたんすか?」

会社の昼休み、後田がヒソヒソと話しかけてきた。

「別に何も無いよ。てか別に、喧嘩する程元々仲良くも無いし。」
「あー…でもあれ。」

後田が指さした先には華川がいた。
いつもの爽やか王子は何処はやら、華川は家用眼鏡をかけて無表情だ。
そしてこちらをじっと見ている。

俺の仕事を華川が終わらせてから、俺ずっと華川を無視し続けている。
それが原因だろう。

「王子がワイルドになってるって、色々な部署の女子が来まくってますよ。」
「…アホくさ。」

ずっと華川の、優雅な王子様然とした顔を崩したかった。
それがやっと見れた。喜ぶ事なのに、今は自分への執着を感じで怖い。

「何にしろ、早く謝った方がいいですよ。」
「何で俺が謝るみたいになってんだよ。」
「やー、華川さん怖いですよ。」
「今週末のデート場所探すのに忙しいから。」

もう華川の話題も嫌だ。
俺は無理矢理に話題を変えた。

「え?金持ちの方?」
「違う!さやかだって。」
「へー…」

後田は何でか、昼食後に飲んでいた緑茶をゴクリと飲んでニヤリと笑った。

「この時期なら、ドライブとかどうですか?紅葉見ながらドライブ、目的地は客室露天付きの旅館とか。」
「あ、いいなそれ。」
「ですよね?客室露天だから、風呂で色々出来ますよ!のぼせちゃう迄にやれよーとか急かすような事言っちゃって!」

後田はあははと、あっけらかんに笑う。
後田もそこそこ社内でモテるのに、割と制欲まっしぐらいなんだよな。 

「お前もマニアックだな…。」
「いいんすよ!うちの子は困っている顔が可愛いいんですから。」
「…」

ちょっと、華川似の発想でひくな。
しかし温泉はいいかもな。
高級宿で美味い物を食べたい。

—————

直前の予約だから、空いてる旅館が少ないな…
会社帰りの電車内、俺は夢中で旅館を検索していた。

「おっと…」

帰宅時間、下りの電車はほぼ満員だ。
電車が揺れて俺は乗り口の角で壁に手をついた。

「?」

と、俺が手をついた少し上に、俺より少し大きく骨張った手がつかれた。
思えば後ろの人と妙に距離が近い。
不快感にもぞついた時だった、

「今週末に箱根行くんだ。車?」
「っっ!」

びっ、びっくりした…。
振り向かなくても分かる。
華川だ。

「…」
「無視?」

無視に決まっている。
しかし華川はそんな俺の態度を鼻で笑い、電車の揺れに乗じてさらに寄ってくる。

「離れろ。」
「嫌だ。」

最悪だ。こちらはもとより壁際にいたので逃げようがない。
おまけに人が多いから下手に動けない。

幸い次が俺の最寄り駅だ。
華川の最寄りはまだ先だから、こいつを置いてさっさと降りよう。

「山田」
「…っ」

華川はボソボソと俺の顔の横で話し出す。
華川のおかずにされた夜を思い出して、俺は身震いした。

「次の駅で降りないで。」
「はぁ?」

この後に及んで何を言っているんだ。
降りるに決まっている。

「今から俺の家に来て。良いコに出来たら、その浮気の件は許してあげるから。」
「はっ!アホかよ。」

浮気じゃねーし!
あんまり馬鹿な提案をされたのでつい返してしまった。

『次は◯◯駅ー』
「……山田。じゃないと、俺が山田にまた酷いことしないといけなくなるだろ。」
「…ぇ」

ひ、酷い事…?
その華川の声があまりにも低く不機嫌が露わなので、一瞬身がすくんだ。
その隙に、華川が俺の腕を掴む。

「山田ー」
「っ」

けれど俺は渾身の力でその手を振り払って降りた。
そして見なきゃいいのに、思わず華川を振り返ってしまった。

「…あーあ。また分からせてあげないとなんだね。」
「…」

最後に華川はポツリと呟き、暗い色の瞳で俺見つめて笑っていた。


—————
「ちょっとお兄さんー。どうします?お金あるの?」
「…っ、それは…」
「はぁ?なんだって⁈」

こえー…。
雑居ビルの一室、こんな絵に描いたような反社、世の中に本当に存在したんだ…。
怖すぎて、脳が勝手に現実逃避をする。

「山田…」
「っ」

俺の隣に座るさやも、震えながら見上げてくる。

こうなった原因は今朝の事だった。
俺たちは週末の旅行として山道をドライブしていた。
そこに急に黒塗りベンツという分かりやすい車がぶつかってきた。
それからは、修理費とか医療費とかいちゃもんつけられ、5000万を要求された。
勿論そんな金はない。
そして連れてこられたのが、この事務所だった。

「お金ないなら、どうすんの?その女に身体はって稼いでもらう?」
「…っや、山田…」
「ほらー震えてて彼女が可哀想だよ。彼氏、どうするの⁈」
「どうするって…っ、どうしようも…」

いかにもな目付きの悪い男は、馴れ馴れしくさやかの肩に手を回して詰め寄ってくる。

「お前に金がないならさ、借りてこいよ。」
「え」

俺たちの押し問答に痺れを切らしたのが、奥のテーブルに足を投げ出して座る男が口を切る。

「おら」

ポイっと、取り上げられていた俺のスマホが投げてよこされる。

「彼氏に借りてこいよ。」
「!」

え、なんで…。
『じゃないと、俺が山田にまた酷いことしないといけなくなるだろ。』
華川…。

俺がハッとして顔を上げると、男がこちらを睨む。

「早くしろ。」
「…」

でも、何で華川が?

「…チッ、おいっ!女連れてけ。」
「え?ちょっ、ちょっと!なんで…」

俺が黙っているとその男が舌打ちをし、他の男達にさやかを連れて行けと顎をしゃくる。
俺は慌てて止めに入る。

「やだっ、山田っ!山田!」
「あ、さ、さやか…!」

しかしそんな抵抗ものともせず、ズルズルとさやかが別室に連れて行かれてしまった。

「おい。」
「…ぁ、」

呆然とする俺の前に男は来ていた。

「かけろ。」
「…」

俺は男の視線に耐えきれず、恐々とスマホを手に取る。

プルルー…
プルルー…

『はい。』
「…お前、何なんだよ…」
『何が?』

華川は含み笑いでとぼける。
もうそれが答えだ。

「お前…っ、華川、俺のこと、嫌いなんだろ。」
『あは。なんで?好きだよ。大好きだよ。愛してる。』

その声を聞いて俺は心底震えた。
だって、何で今…俺の状況知っているんだろ。
さやかがいるって事も、俺たちが今現在感じている恐怖も、全部知ってるだろ。
それなのに何で、そんなふうに、ベットで愛を囁くみたいに言えるんだ…。

「…っ嘘だ。好きな奴にこんな事…おかしいだろ!」
『ふふ、何のこと?』

あくまでシラを切るらしい。

『それより、山田、何か俺にお願いあったんじゃないの?』
「……助けて…。」
『え、嫌だけど。』
「っ」

華川は冷たく俺をあしらう。
いや、物言いは冷たいが、先程からずっと楽しそうな声色だ。

「何なんだよ!これもお前が仕組んだんだ事だろ⁈何なんだよ!何がしたいんだよ⁈」
『分かんないの?』

分かっている。
華川は以前、この旅行の事を浮気と称していた。謝れってこだろう。
でも謝って…その後は?

付き合って、キスして、…で?
次に要求される事なんて、明白だ。
怖い位に明白だ。

「…」
『そろそろ素直にならないと、こっちも怠いな。』
「…」
『じゃぁ、もういいよ。』

え。
何か凄く、嫌な予感がする。

『山田が俺のものにならないなら…他の誰のものになる事も嫌なんだ。』

何が言いたい。

『もう一生会えないのは悲しいけど、仕方ないー』
「いやいや!まって華川!ごめんなさい。俺が浮気?とかしたから、怒ってんだろ!ごめんてば!」

華川のその先の言葉を聞くのが怖くて、俺は矢継ぎ早に謝った。
悔しい気持ちも苛立ちも恐怖で消えてしまった。

『…そう。じゃ、助ける代わりに、山田は何をくれる?』
「…」
『証明してよ。』

なんて言えば良いんだよ。
俺はチラリと俺の横にいる男を見た。

『あぁ、恥ずかしい?そうだな…これからうちに来る?』
「……そしたら、この状況はどうにかなるのか?せめてさやかは、解放されるのか?」
『…いいよ。でも、もう一生その女の名前言わないで。』

そして俺は華川の家に連れて行かれた。
ガラの悪い男はこちらが何も言わなくても、華川のマンションが分かった。
やはり仕組まれていたんだ。

「おかえり、山田。」

しかしそれが分かってもどうしようもない。
こんな事をしておきながら、後ろに花を散らして華川は微笑んでいた。


————
風呂上がり、水滴を滴らせてバスタオルにくるまる俺を華川はベットに座らせた。
華川も向かい合って座ってきて、おでこや頬にキスされる。
華川の髪もまだ濡れており、オールバック だ。いつもと違うスタイルには妙な色気が漂っていて、やたら雄っぽくてそれが怖い。
何で俺がこんな風に、女の子みたいに怯えているんだ…。

「またお前のシャツだけ着せるのかよ?」

せめてもの抵抗に俺は憎まれ口をたたく。
大体なんで毎度俺は全裸で、お前は上裸スタイなの?
華川は俺の憎まれ口をクスリと笑った。

「うーん。それはもういいかな。だってそんなもの着せなくても、もう俺は山田を支配できるしね?」
「…」

そうだ。
現実を突きつけられる。
俺は華川の言葉を聞き、眉間に皺を寄せる。

「でも、寒いなら、俺のシャツなら着るの許可するけど、どうする?」

許可するって…
早速、采配を振るってきた。
腹が立つし、怖いし、もう爆発しそうだ。

「お前のシャツなんか着るかよ。」
「そう。じゃ、着て。」
「はぁ⁈だから…」
「着ろ。」

華川は自分のシャツを俺に笑顔で渡す。

「山田、俺の言う通りにやるしかないでしょ。これだけじゃないよ。これからも、もうずっと、山田はもう俺のものなんだよ。」
「…こ、こんなの…詐欺だろ!」
「わからないなら、また、あの人達に来てもらう?別にあの人達が俺の差金って訳でもないからさ、俺が放り出したら、普通にお金請求されると思うけど。」

もー何なんだよ!
お前は何がしたいんだよ!
俺を苦しめたいのか⁈
こんなの、好きって言われても信じられるわけがない!

俺は色々な感情で震えながら、もはや自暴自棄に華川のシャツを着た。

華川の香水がふわりと香る。
それが引き金だった。

もう、嫌だ…。
今のでわかった。
ここで一回やってもすまない。
いつだっけ、いつか…華川が言っていたー

「ふふ、俺が山田のリード握っていて、完全に山田を支配しているみたい。」
「っ!」

華川が三日月目で笑う。
うっとりと、悦に浸った顔はもう普通じゃない。
異常だ。

大体、あいつらは華川の差金じゃないのか?
余計に怖いだろ。
じゃぁ本当に、ここで華川が俺を見捨てたら?
誰も助けてくれない。

俺の華川に対する反抗心がヘナヘナと萎えていく。

「ふふ、じゃ、本番。こっちに向かって足開いて、『入れて、名実共に瑠衣のものにしてください♡』って、言って。手は後ろについてね。」

華川がはしゃいでカメラを俺に向ける。
撮るのか。撮るなよ。
どこまでアブノーマルなんだよ。

「…ぅ、ぃ、入れて下さい。名実共に…る、いの…ものにして下さい。」
「はは♡」

もう良い。
どうせやられるのは目に見えていた。
だって風呂で前処理されたし、今現在ケツにプラグ?入れられてるし。
とっとと終わらせて金を出してもらい、こいつから逃げる算段でもつけよう。

俺はひくりと歪に笑い足を広げた。

「山田、キスして?」
「んっ」

俺は華川に言われるまま顔を寄せた。
キスをしろと言うわりに、俺がよると華川は自分からキスしてきた。

あぁ…、変なもの入れられているから、余計くる。
こんな状況なのに、ジンジンとした快感が背筋を這いあがってきた。
やばい。
やばいやばい。
今、入れられたら

「じゃ、入れるね。」
「ぁ゛っっ!」

華川はきゅぽんと俺の栓を抜く。
それだけでビリリと痺れる感覚が身体を走り抜けた。

「や、やめ…っ、ごめん、ちょっ、今は…っ…ぁ、やば…」
「ふっ…」

僅か痙攣する俺を華川は優しく寝かせる。
そして俺の醜態に満足気な笑みを漏らし、首を傾けた。

「まっ、て…まっ…ぁ゛」
「可愛い。」
「〜〜っっ⁈っ、ぁ、?」

え、何?
挿れられた瞬間、何かが弾けた。
俺は目を白黒させて戸惑う。

「あはははははっ!やっとだ!やった…っ!」

自分の状態が分からず、未知の快感に戸惑う俺の上で華川が高笑いする。
何?あ、き…もち…?
あ?あぁ゛ーーっ!

どうやら俺は挿れられた瞬間に出したらしい。
?でも、なんで?なんで…こんな気持ちいい?

「んっ」
「あぅっ、ぁっ!」

華川は腰を動かしながら男っぽく艶っぽい吐息を漏らし、俺の顔の横に手をついた。
身をかがめキスをしてくる。

「山田、中、ぎゅってしてくるね。はぁ〜気持ち…っんっ、ちゅ…ふっ、ふふ、キスすると更に締まるね。」
「くっ、ぁっ!」

気持ちいい気持ちいい、良い良い良いっ‼︎
いや、止まれっ!俺の口、閉じろ…っ!

「いっ、やめっ…っ、あ゛っ」

意識が飛んだ後も、華川が俺の身体を触る感覚は絶えなかった。
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