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無自覚アブノーマル

「本田、最近営業成績も良いからって、こんなところでも浮ついてないか?」
(ん?)
「…………え?そうなんだ…。本田くん、最近頑張っているんですね。」
(んん?)
「そうだな。部内で期待もされてるからな。今一番の有望株。期待しているから、今日も展示会に私から誘ったんだ。な?本田。」
そう言うと、黒崎はぐっと本田の肩を引き寄せた。
(?どゆこと??そんなに…最近はむしろ、深谷効果で成績が落ちていたけど…)
貶められると思いきや、いいカッコさせようとしてくれてるの?
黒崎が?
色々不意打ち過ぎて、本田は曖昧に笑う。
「へ〜」
しかし京香にとって黒崎の言葉は効果的面だったらしい。
先程と打って変わって、チラチラとこちらに笑顔を向けてくる。
「恭ちゃん、そうなんだ。」
「そうなんです。君は本田の同期なのかな?」
「はい。ていうかー、同期って言うかー、ね?」
京香は意味ありげに微笑みかけてくる。
先程までの小馬鹿にした様子とはえらい違いだ。
本当は怒るところなんだろうけど…か、可愛い!
(え?なに?もしかして、復縁?復縁の可能性…)
「なら知ってます?本田の美人の彼女」
「は?」
「え」
黒崎は突然そう言うと、ぐっと本田の着ているトップスの首元を引き下げる。
露出した首筋には、昨日黒崎がつけたキスマークがくっきりと付いていた。
京香は目をまん丸に見開き、その跡に釘付けになる。
「最近仕事も調子いいからって、凄く美人の彼女も出来て、調子付いているから、同期からも注意してやってくれる?」
「……え?び、じん…?…か、彼女?黒崎さんから見ても…?」
京香はひくりと笑い、再び視線をこちらに向けてくる。
「そうなんだ。美人で、皆に羨ましがられている。俺も羨ましいよ。な?本田。」
そして黒崎も。
「え?…ん、うん。いや、はい。恐縮です…?」
(なんの話?)
この話が全くの嘘だと言うことは確かだ。
しかし二人の視線に耐えきれず、頷いてしまった。
「…そんな…。」
「見たことありません?」
黒崎の問いに、京香はぽかんとしたまま首を振った。
「取引先のNT社で大きい案件取って、ついででそこの受付嬢、捕まえたみたいで。」
「へぇー…」
「えー!すっごい!超大手だし、あそこの受付嬢めちゃくちゃ綺麗な人ばっかじゃん!本田、やるぅー!」
相変わらず引き攣った笑顔の京香と、いつの間にか先程の先輩も加わりキャアキャアと騒ぐ。
展示会だと言うのに、状況はカオスだった。
「ではそろそろ基調公演を聴きにいきたいので、失礼します。」
黒崎は先輩たちに一言断ると、本田の手を引いた。
「…?あの、黒崎さん?」
黒崎は講演会場に行くのかと思いきや、本田の手を引きトイレに向かった。
そして個室に本田を押し込め、自分も入る。
状況が分からない。
カチリ
「うわぁっ!」
そして再びローターのスイッチを入れる。
「な、なん⁈」
抗議の声を上げるつもりが、キスされた。
どこにこの行為が始まる要素が要素があった⁈
(ま、だ、さっきの、黒崎の奇行を問い詰めないとなのに…あー、ぎもちいい…)
こんなところでこんな事されて、ここでやるのか?
「あんな女にこけにされて、ヘラヘラして…何なんだよお前!」
黒崎は苦々し気にボヤいた。
あんな女って…京香か。
しかし何故黒崎に京香の事で文句を言われなきゃならない?
助けてくれたようで、結局は嘘をついているし…。
「っ、てか、び、美人な恋人って何ですか?」
本田は不満気に眉を寄せた。
「あんなこと言われたら、今後も彼女作れなくて困ります!」
「…」
しかし帰ってくるのは、本田を上回る迫がある不満顔だった。
そして強引に本田の体を反転させ、トイレタンクに手をつかせた。
「…?…ぁ?嘘っ!ちょっ、〜っ‼︎」
(何なんだよ!)
そのまま黒崎は性急な動きで本田のボトムスを引き下げ、挿入してきた。
「ぎゅっ‼︎ぁっ、…っせ、せめて、」
入ってるの抜いて欲しい。
元からが入っていた玩具の振動と、黒崎の抜き差しからくる刺激が二重できつい。
気持ちいいが、ここが展示会場のトイレだと言うことが恐怖でしか無い。
「うっ、…ぁっ、やばっっ!いっ〜〜っ‼︎」
しかし体は快感を素直に拾ってしまう。
バクバクと、心臓が恐怖か快感か分からないもので煩く騒ぐ。
黒崎の勢いで、足が浮きそう。
タンクごと本田の体がガクガクと揺れた。
「ふっ‼︎」
(何でこんなこと…っ)
黒崎の意図は読めないが、兎に角不機嫌そうだ。
無言だが、苛立ちが激しい行為から伝わってくる。
「な、なんなんです…かっ⁈」
「…あんな、女より」
「?…っ」
「俺の方が…っ」
(え?何その……ヤキモチ…みたいな…?)
黒崎の苛立った行為や言動から、そう感じてしまう。
しかしそれはあまりにも黒崎と繋がらない感情だ。
「なっ、なん…っ!ヤキモチっ、ですか⁈」
「…」
思わず口に出すと、黒崎の動きがピタリと止まった。
「…え?」
「…」
それに驚き後ろを振り向くと、無表情で座った目の黒崎と目が合う。
あれだけうるさかったの室内が一気に静かになる。
「…ぁ!」
そんな空気感に戸惑っていると、黒崎が徐にリモコンを取り出した。
カチリッ
「…ふっ!」
振動が今迄だ一番強くなる。
本田が口を押さえて体を強張らせると、黒崎は再び律動を開始した。
個室内がまた騒がしくなった。
「本田、俺の服汚したから、ペナルティだな。今度、お仕置きやってやるから。」
「…っ!ふぁっ〜〜っ‼︎」
黒崎は本田の肩に噛みつきながら、そう囁いだ。
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