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無自覚アブノーマル

「ちょっ、わか、…っ、ぺ、ペース落として…っ、っ〜っ!」
黒崎は本田の意向を無視して、黒崎から逃れようと暴れる体を押さえ込んでキスを落とした。
最初よりも激しく、ジンと腰にくるキスだ。
「手はここ。言っただろ?」
「んっ‼︎」
仕置きと言わんばかりに、ぐりっと前立腺を刺激される。
ごぽりと、本田が吐精する。
「…はぁ、想像以上に聞き分けがないな。…やっぱ縛るか。」
「えぇ♡⁈…っっ‼︎」
反論する間を与えず、先程の弱い所をつかれた。
「ふぁっ〜〜っっ!」
本田がヒクヒクと余韻に惚けている間に、黒崎は本田を反転させる。
そして床に置いていたベルトを拾い上げると、手際良く本田の両手を後ろ手に縛る。
「あと、さっきから何勝手にいってんだ。」
「うっ!」
きゅっと軽快な音がして、両手がかっちりと縛られる。
(手慣れてる…)
そして再び、くるりと反転させられる。
「…っ、くるくる、人も転がして…何なんですか‼︎」
「はは、だって面白くないだろ。」
また黒崎は黒い笑顔で笑っていた。
「恥ずかしいこと言わせる時は、顔が見えないと。」
「え、なに?どゆ…」
(何言わされるの?)
そんなことを言われて恐怖とか羞恥とかその他色々あるはずなのに、自分の体の反応は単純だった。
下の方がきゅんとする。
体と頭が真逆の反応で混乱する。
「なんか…あぁ、いいもんあるじゃん。さすが変態。」
黒崎は鼻で笑い、ベット脇に置かれたローターを持ち上げる。
「ちっ、違いますっ!それは深谷がっ…ぁっ‼︎」
黒崎はきゅっと本田の乳首をつまむ。
思わず熱い声を漏らしてしまった。
自分の反応に、本田の顔が真っ赤になる。
それを見て黒崎がふっと笑った。
「ふっ、お前、乳首が雑魚だよな。」
(え、ち、くび、ざこ?何この人…。)
と冷静に思うのに。
「いくときはちゃんと、『いくの見て下さい』って言えよ。」
「ハァ⁈ばかですか!そんなこと…」
「言わなかったら、乳首にローター付けて、続行。そのまま続きやるからな。」
「っ!何…っ…っっ!」
まだ反論の途中だというのに、黒崎は本田を無視して急に挿入する。
軽く達しそうになるが、寸のところで踏みとどまる。
ほっと息をついたのも束の間、本性を露わにした黒崎の攻めが始まる。
「ハァッっ、…っ、あっ、…っ」
ベットがギシギシなり、本田の息は早々に荒くなる。
薄く目を開けると、こちらを射抜くような鋭い目と目が合う。
「っ!」
同じ男に組み敷かれて、手は縛られて抵抗も出来ず、されるがまま。
そのシチュエーションを再確認するだけで、きゅううっと後ろが疼いてしまる。
「…っ、さっきよりいいな。はっ、」
「ふっ、ちがぁ〜っ‼︎」
黒崎かがみ込むと、本田の耳元で囁いた。
「本田、っ、やっぱ縛られるの好きだろ?」
「んんっ!」
軽く中イキしてしまった。
そんな絶望感に浸る間も与えてくれず、黒崎は相わらず烈々と攻め続けてくる。
「…っ、今、出さずにいった?」
「ぅっ、んんっっ!…っいってなっ…ぁ♡〜〜っ」
本当はいきまくりだ。
だが安易に認めたくないし、あんな馬鹿なセリフも言いたくない。
「おい、また勝手にいったろ。ちゃんと言えよ。今度こそローター付けるぞ。」
「んゅっ〜っ!はぁっ、いって、に、…っな゛ぃいっ!」
「…ふーん…」
黒崎は片眉を上げてそういうと、身体を起こして動きだした。
今度は角度をつけ、的確にこちらの良いところをつく。
しかもやたらとじっとこちらを見つめてくる。
見透かすような視線が羞恥心を煽る。
「なっ、ふっ…〜っ、なに?」
「いや。…っふー、中イキしてる本田を見てる。」
「‼︎いって…っにゃいっって!」
「ぷっ、『にゃい』?あそ。」
吹き出して楽しそうに笑い、黒崎は更にまじまじと見つめてくる。
羞恥心で全身が紅くなり、火が出そうだ。
「見んなっ‼︎」
「別にっ、いいだろ。いってにゃいらしいから。」
「んぎっっ〜〜っ!」
黒崎にとっては、反応が見える分やりやすいのかも知れない。
その上動きやすいのだろう。
先程の比ではない快感で頭がおかしくなりそうだ。
「ぁ゛、きっ、〜〜っ!やめっ、もうむりっ!いった!いったからっ!」
「…はっ、いってないんだろ?何も出てないじゃないか。」
「うぅ、…っ!」
(だって、出さずに…)
黒崎はニヤニヤと笑いながら本田を見下ろしていた。
とっくに気づいているくせに!
「いってるの!いっ…っ、〜〜っ!メ、メスいきしてますっ!〜っ」
そろそろ色々限界で、目をぎゅっと瞑り真っ赤な顔で訴える。
感覚で、黒崎がクツクツと笑うのがわかる。
「ほんと?」
「ほ、ほんと…れっ〜〜っ、れす‼︎メスいきっ、してますっっ!ぁっ、」
「で?なんて言うんだ?」
黒崎は意地悪に笑うと、やっと動きを止め本田に次の言葉を促す。
「…っ、ぅわっ‼︎」
ぐっと黙るとコツンとつかれ、喉を見せてのけぞってしまう。
「い、…っ、いくの、見て、く…らさい。」
「ふっ」
(あ、)
ふわりと触れられる感覚。
瞑っていた目を開けると、黒崎はらしくなく柔らかい笑みを浮かべていた。そして身を屈めて、顔を寄せてくる。
本田の輪郭をなぞるように、優しく両手で顔を撫でると、そのままキスをしてきた。
最初のように荒々しくなく、優しく甘やかすようなキスだ。
頭がほわほわとして、心地良さで満たされる。
「…んっ、ふ、」
「はっ、よく言えました。」
そして優しいキスが終わると、またふわりと笑った。
胸がきゅっと締めつけられて、頬が赤くなる。
それは快感や羞恥からではない。
(う…嬉しい…)
喜びからだ。
胸が満足感で満たされる喜びだった。
「見ててやるから。いっぱいいけよ?」
「んっ♡…っあっ〜〜〜っ!」
そしてまた律動を再開した。
自分の性癖に気づいてからは、いつも達するときに何らかの後ろめたさを感じていた。
しかし今はそれがなかった。
ただただ気持ちよくて、満たされる。
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