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ヤンデレ後輩に頼るしかない話

「にこちゃん、あ〜ん♡」
「…」
二子川を膝の上に乗せ、にこにことドッグフードを差し出す功。
その姿を二子川は睨む。
「あれ?にこちゃん食欲ない?うーん…、お粥の方がいい?」
「!わんわん」
「あははは、ドッグフードよりお粥が欲しいなんて変な犬だね〜!人間みたいだね!」
「…」
二子川は閉口した。露骨すぎたか。
しかし昨日もドッグフードしか出してもらえず、結局二日間何も食べていない。腹が減っていた。
「いいけどねー。でもさ、お粥作るのも面倒だなー。」
「…」
「どうしよっか?」
「…」
功は自分を睨む二子川をチラチラと見ながら、小芝居じみた調子で続けた。
その顔が至極楽しそうなので、イラつく。
「にこちゃん元気頂戴よ!にこちゃんがー可愛く、頬っぺにすりすり〜ってしてくれたら、やる気出るんだけどなっ♡」
「…」
功は自分の頬を指差しながら、二子川に顔を近づける。
二子川はギリギリと奥歯を噛み締めた。空腹とこの馬鹿への怒りで爆発しそうだ。
「うーん…にこちゃんがもし可愛くおねだり出来たら、ご褒美にササミとかも添えてあげようかな!」
「…うぅ………」
(ササミ…ひさかたぶりのタンパク質…)
「どうする?」
「……」
す、すり〜
二子川は渋々と、功に頬擦りをした。
断腸の思いだ。
「…」
「…?」
「かっわいい!」
反応が無いので功を見上げると、抑え込まれて逆にぐりぐりと頬擦りされる。
その勢いが激し過ぎて、顔の肉がズリズリと引き摺られて不快だ。毛並みが乱れる。
「にこちゃんにこちゃん!」
しかし功の勢いはそれだけでは治らなかった。
「うぅ゛〜?…っ、き、きゃん!ぎゃん‼︎」
何となく嫌な予感がして我が身を確認すると、功が後ろから二子川に乗り上げて腰を振り始める。
目ん玉飛び出そう。
(ほんと、朝っぱらからなんなのこのバカ⁈)
猫や犬の獣の行為みたいに、功は勝手に行為を始めた。
心底気持ち悪い。
暴れると前足を押さえつけられた。
「はーっ、はーっ、にこちゃんっ、い、いきそ…っ!にこちゃん…っ、にこちゃんに、ふっ、ぶっかけていいっ?」
「ぎゃ⁈⁈ぎゃんぎゃん‼︎」
(朝から!頭イカれ過ぎだろ!)
「大丈夫大丈夫。汚れた所は、きれーに洗ってあげる♡寧ろ、一緒に朝風呂しよ♡」
こちらは犬の身だ。どんなに暴れても、結局はあちらが本気できたら敵わない。
「ふふふ、あははははっ!あーっ、いくっ、あーっ、でそっ!」
「ぎゃんぎゃんっ!」
「ふふ、嫌なの?嫌かなぁっ?はっ、嫌がってるのいいーっ‼︎もっと、暴れて…っっ、」
抵抗も虚しく、ラストスパートに向けて激しくなる功の勢いに振られ、体が上に下に大きく揺さぶられる。
(くそっ!くそくそくそくそっ‼︎)
ぎゅっと目を瞑った時だった。
「おいおーい、そこの犬二匹、朝からおっ始めんなー。」
「はっ、静流。」
(た、助かった…。)
どこか気怠げな緩い声で、行為は一時中断となった。
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